残虐の策略 魔王倒されるー2ー
「それが分かっているのなら、その場所……墓地に警備隊を配置してもらわなければ。何故早く言わないのですか」
「はぁ!生け贄が必要だって言ってんの。警備隊なんか置いたら、殺してくれって言ってるようなもんじゃない」
魔方陣の完成を阻止するために、その場を守るのはマキナが言うように必要な事だろうが、墓地となれば死霊の場所といっても過言ではない。さらに警備隊を置いた時点で、生け贄を死霊に与えるような物なのだ。
「それに……守るのは場所じゃなくて、残っている会長候補じゃないの。研究施設は死体を盗むため、警備員が殺されたのは分かるけど、会長候補が二人殺されたのには意味があるんじゃないの?残る一人が狙われないのはおかしいと思うけど」
「それは生徒会選挙を中止させるためですか?それだけの理由で……考えられません。誰の得にもならな」
「……キース先輩はマキナ様を会長にしたかったんですよね」
マキナの言葉に、シリアは得になる人物の名前を出した。キースはマキナを会長にしたいはずであり、選挙の中止を狙っていてもおかしくない。
「それを言うなら、エリスも無理に推薦されたのですから、中止を願ってもおかしくありませんよね。キースが関わっているという物証はないはずです」
「マキナには悪いけど、私もキースを疑っているわ。死霊は相棒の存在を口にしてた。キースが違法で死霊をパートナーにしたんじゃないの。私が魔法を使えない事も死霊は知ってたみたいだし」
エリスが勇者という事は多くの者が知っている。だが、魔法を使えないというのは誰もが知る事ではない。紹介所でも、それが書き記されてはいない。
「エリス……貴女までキースを疑うのですか。キースは貴女を敵視していたみたいですが、そこまで堕ちるはずはありません!先程も言いましたが、物証はないでしょ。貴女が魔法を使用出来ないのは学園にいる者なら知っていてもおかしくありませんよね」
「……物証はあるかもしれないな。キースが使った魔法には闇属性が含まれていた。マキナはキースの体に闇属性はないって言っていたな」
サイガはマキナに、キースが闇魔法との合成魔法を使ったのを告げた。
「キースが闇魔法を……使ったとしても、それがどうしたと言うんですか!」
「人間が闇魔法を使ったら、体に合わずに副作用が起きる。それは呪いであったり……死霊が聖骸布を買ったのはエリスから聞いたはずだ。それをキースが使用していたら」
この店に置いてあるのは珍しい物が多く、聖骸布をその一つ。おいそれと置いてある物ではない。
「それは……キースに会いに行ってきます!それを身に付けてさえいなければ」
マキナは話し合いが終わらないうちに、キースと会うために店から出ていってしまった。
「おい!くそっ……俺も一緒に行く。エリスとシリアはアイシャから話を聞いておいてくれ」
サイガはマキナを追いかけた。キースと死霊に繋がりがあるのなら、マキナが危険だからだ。




