死体消失 勇者VS魔王 ー7ー
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サイガとマキナ、シリアは学園を休む事にし、死体安置所に向かった。
死体安置所は病院や警備所にもあるのだが、暴走化が何故起きるのかを調べてために、巨大な施設である研究所内部の方へと運ばれたのだ。
その研究所は中央の建物が受付になっており、そこから東西南北に分かれて様々な分野の研究、実験が行われている施設へと向かう事が出来る。受付が必要なのは案内だけでなく、施設によっては防護服などの着用などが必要になってくるからである。
そして、今回行くのは東側の研究施設。人間や魔族などの死体を解剖して死因を把握したり、体の構造を知るなど様々な研究をし、死体が研究のメインとされる場所。
マキナが先に連絡を入れていた事で、サイガ達はスムーズに研究所の中に入る事が出来た。それは事件が起きたのにも関わらず、封鎖される事なく、職員達は何事もなかったように研究に没頭しているからだった。ここで殺された警備員の死体も研究の一貫に過ぎないのだろう。
「お待ちしていました。ここからの案内や説明は私が受け持つ事になっております」
サイガ達を案内するのは職員ではなく、調査に来た警備隊の一人だった。警備員が殺された事で、ここを守るために補充要員として残されたらしい。
「分かりました。警備員が殺された事、死体が消失した情報は聞いています。他に知り得た事はないですか?」
マキナは堂々としており、サイガの家の中や学園とは雰囲気が少し変わった。こういう現場では、マキナの王族としてのオーラがはっきりと分かってくる。
「警備員の死体を発見したのは他部署の職員らしく、こちらにいた魔族のパートナーに会いに行こうとしたらという形なのですが……私達が来た時には一部変化が起きたらしいのです。大量に流れていた血が奇妙な文字に変化していたようなのです。それと……殺されたのは警備員だけでなく、発見した職員のパートナーの魔族もです。それは血から分かったようなのですが、その死体も消えたようなのです」
人間と魔族は赤と緑で、血のの色は違っている。そこから判断したのだろう。この事件が暴走化の魔族の犯行とは警備隊は考えておらず、暴走化が起きていれば止める者がいなかった以上は、研究所全体に被害が起きていたはずだからだ。
警備隊に研究施設内部を案内してもらうが、極秘の研究なのか窓も設置されてなく、中を見る事が出来ない。部屋にも数字が描かれているだけでどの研究なのか暗号化されていた。
そして、犯行が行われた現場は死体が片付けられた状態でも、すぐに分かった。それは床に文字が描かれており、学園とは違った形ではあるが、魔方陣を完成されるためのピースである事はサイガは分かっていた。
「暴走化の死体が置かれていたのは……文字が描かれている場所の前にある部屋です。何者かが奪ったとして、私達は動く事になっていますが……」
警備隊ではそういう判断で動く事になったようだ。だが、そう思うのには不審な点がいくつもある。




