死体消失 勇者VS魔王 ー6ー
「……はい……ありがとうございました。キースは誰とも契約を結んでないようなんですが……エラーが出て、魔族と契約した事になってるようです。以前に表示された候補者でなく、エラーだとしても誰と契約したかも不明だと……」
キースの実力に合った候補者とは契約をしていない。だが、アクシデントが起きた事によって、誰とも契約出来ないようになっているようであり、それは誰かと契約したと判断され、エラーとなっているようなのだ。それは今起きている事に関係があるのかもしれない。
(そんな事あるのか?)
(……エラーが起きたとなると、違法契約の可能性はあるんじゃが、キースほどの実力であれば、上位の魔族と契約出来るはずなんじゃ……謎のゲートが関係してるやもしれんな)
「……違法の契約か」
サイガはアイシャとの頭の中での会話において、その言葉が口に出てしまった。
「サイガは……キースを疑っているのですね。魔法の使用を注意しろと言っていましたし……彼は正義感の強い人間です。今回はやり過ぎたかもしれませんが、街の平和を思っての事。警備隊に志願して、部隊長までなったんですから」
マキナはサイガの真意を察し、キースを疑うのは間違いだと指摘してきた。
「……悪い。こんな時に仲間割れをしても仕方ない。だが、俺は誰にでも疑いを持つべきだと思っている。勿論、マキナが俺を疑おうとも文句はない」
「そうですよね。私もサイガさんの言う通りだと思います。サイガさんも悪気があったわけじゃなくて、犯人を捜すのって、誰かを疑う事から始まるわけですから。関係者を真っ先に疑うのは当然ですよ」
シリアはサイガを擁護した。シリアもキースを疑う気持ちがあるのだ。キースが集団に襲われている現場を見れば、犯人ではないと思う。それが計算された事で、集団に襲われた事自体、キースが仕組んだと考えているのかもしれない。暴走化事件を全て裁いているという疑問を、その出来事によって被害者となり、疑いが消そうとした可能性があるからだ。
「……そうですね。誰かを疑わなければならないのに、キースだけを外すわけにもいきません。私が無実を証明すればいいだけですから。そのためにも……死体安置所となれば……研究施設。連絡をいれて、すぐに入れるようにしておきましょう。学園が終わるのを待っている暇はありません。すぐにでも行きましょう」
マキナとキースは長い付き合いであり、お互いに信用している。だからこそ、キースの無実を証明したいのだろう。だが、この数日会っておらず、携帯電話で連絡も取っていない。キースはマキナを信奉している感じがしていたのに、そこに違和感が生まれ、マキナもキースと連絡する事を躊躇っていた。それはパートナーを知るのを本人ではなく、紹介所に聞いたからだ。




