死体消失 勇者VS魔王 ー5ー
「はぁ……シリアの言った通り、死体安置所に行こうと思ってる。その前に……関係ない事かもしれないが、聞きたい事があるんだ。俺とエリスの二人がパートナー関係という事は知ってるよな。二人にはパートナーはいないのか?」
マキナが取り巻きに囲まれているのは頻繁に見るのだが、その中にパートナーがいるようには、サイガには思えなかった。シリアもサイガと会う時は一人の時ばかり。
「私にパートナーはいませんよ。私の場合、王位を引き継ぐ時と決められてますから。それでも……小さな頃に約束した魔族の子供はいたんですが……一緒に遊んで、側にいてくれた……それが無理なのは分かった時は悲しかった事を覚えています」
マキナは王族の権力の維持のため、金の力で強力なパートナーと契約しなければならないのだ。アイシャはパートナーでないが、他国の脅威になっているのは自分だと言っていた。
つまり、王には他にパートナーが存在し、後にマキナへと引き継がれるのか、それよりも強力なパートナーと契約という流れなのだろう。それにマキナと約束した魔族の子供は長い間人間界にいたとすれば誰かのパートナーとなっているはず。それをマキナは知って、無理だと判断したのだ。
「私もパートナーはいませんね。いたほうが研究がはかどるんでしょうけど、いい人に巡り会えなくて。その証拠に腕輪をつけてないでしょ」
シリアにもパートナーはいなかった。その証拠に、マキナとシリアは契約の腕輪を身につけていない。だが、魔族や魔獣、機人の数からして契約している人間の方が圧倒的に多いはず。その中でアイシャや店長のパートナーも気になるのだが、サイガが聞きたい事は他にあった。
「全員がパートナー関係を結んでいるわけじゃないんだな。それなら、キースにパートナーはいないのか?」
サイガが聞きたかったのはマキナとシリアのパートナーの有無ではなく、キースにパートナーがいるかどうか。魔族のパートナーがいれば闇魔法の使い方や知識を教えてもらう事が可能であり、協力させているかもしれないのだ。
「キースには……私の知る限りではいないはずです。最近になって契約したかは分かりませんが……調べてみましょうか」
マキナは小さな端末を取り出し、魔力を込めた。それは携帯電話であり、魔力や電力を込める事で他の携帯電話や固定電話に繋げる事が出来、連絡を入れたのはキースにではなく、パートナー紹介所。
パートナーは非公開に出来ず、ある程度の情報なら閲覧可能となっている。その事でサイガは魔王という事は隠したままで、エリスのパートナーだという事を誰もが知る事が出来たのだ。




