死体消失 勇者VS魔王 ー3ー
「まぁ……こういう事だな。俺やエリス、シリアだけなら門前払いされるだけだからな」
「なるほど……貴方達、私達は王の命により、暴走化事件の調査をする事になりました。ですから、この先へと通してもらえないでしょうか」
「ま、マキナ様!勿論です。キース隊長にはこちらから連絡しておきます」
警備隊はマキナに敬礼し、サイガ達が通るのを許した。
この場所を封鎖したのはキースの命令だったらしい。生徒の介入を防ぐためなのか、シリアみたいに研究目的で現場を荒らされる可能性があるのは確かだ。だが、現場保存が目的ならば、キースは警備隊が来るまで動くべきではないはずなのだ。そのせいで、サイガやシリアが死体を見る事が出来ただけでなく、すでに荒らされていてもおかしくない。
それならば、何のために封鎖するのか。死体はすでに片付けられていたのだが、ある場所に変化が起きていたからだった。
それは会長候補の死体があった場所。校舎の壁には魔法の痕跡が残っていて、大量の血飛沫の形跡があるはずだった。だが、その血飛沫は形を成し、一つの文字となっていた。
「これは……魔界の文字に似ているような……キースはこれが何か分からない事を理由に、生徒達を遠ざけたのでしょうか。魔族である貴方なら、この意味が分かりますか?」
「これは……召喚の儀式……ある魔方陣を完成されるために必要な文字に似ている。それを考えると闇魔法の使い手となるんだが」
闇魔法なら、会長候補のパートナーも使えるのだが、本人も殺されている。これが会長候補を殺していない証拠になり、サイガはキースが頭に思い浮かんだ。この魔方陣を生み出し、使える魔族は一人しかサイガは知らない。その魔族は断頭台の刃も使う事が出来た。
「危険な魔方陣なら、完成する前に壊してしまいましょうよ。これを壊すには特別な力とか、何かの反動はないんですか?」
「反動はないが」
シリアはサイガはの言葉を最後まで聞かず、反動がない事を知っただけで、攻撃魔法で壁を壊した。しかし、文字は消えず、宙に浮いた状態になり、触れる事も出来ないようになった。
「これは術者を倒すしか消す方法はない。しかも、発動すれば術者を倒しても意味がない」
この魔方陣がある事で、会長候補を殺したのがパートナーでない事が分かる。だが、キースはこの文字を発見した時にでも、王やマキナに連絡を入れなかったのか。王の側にはアイシャがおり、この文字の意味を知る事が出来たはずだ。




