死体消失 勇者VS魔王 ー1ー
四月八日 光
サイガはマキナと学園に行く事になっていたのだが、朝から別行動となっていた。それはマキナには迎えの車が来ていて、サイガが乗る事が出来なかったからだ。一緒にマキナと車で登校するとなると生徒達の注目は計り知れないのが理由だ。
一方、エリスは言葉通りに学園には行かず、サイガが作った朝食を食べた後、店に向かった。店長に頼むというのもあるが、聞き込みという名目でバイトをするつもりなのだ。生徒会選挙でバイトは禁止されているが、この状況を利用しないわけがない。
「おはようございます。いつものようにエリス様と一緒に登校してないんですね」
サイガが一人で歩いていると、シリアが声を掛けてきた。帽子や自転車に乗ってではなく、歩いて登校している。
「いつものようにって……パートナーと一緒に行動してる奴ってあんまり見かけないぞ。そんな事よりも、シリアに頼みたい事があるんだ」
「頼みたい事ですか?高いですよ……なんて冗談です。暴走化事件の新しい情報が知りたいんですか?」
「そう……暴走化事件の事で……新しい情報!どこでそんなのを仕入れてくるんだよ。それも聞きたいけど」
サイガはエリスやマキナと共に暴走化事件を解決するための行動に、内密で協力する事を頼んだ。
「勿論OKに決まってます。私を選んで貰えるなんて光栄ですし、エリス様だけでなく、マキナ様とも行動出来るなんて皆に自慢……しては駄目なんですよね。それで今からどうするんですか?」
シリアはエリスやマキナと行動出来る事に興奮し過ぎて、鼻血を出していた。
「とりあえず鼻血を止める事だろ。紙を詰めるなり、回復魔法を使うなり出来るんだろ。その後で、新しい情報を聞きたい」
「はっ!すみません。回復魔法は使えないんで……これでいいかな。新しい情報を聞きたいんですよね」
シリアは鼻の両方の穴に紙を詰め、その姿に恥ずかしさもなく、普通に歩いてる。回復魔法だけでなく、魔法にはそれぞれにセンスが必要であり、サイガも回復魔法を使えないのだ。
「これを調べたのは好奇心のためでして……今日になって、キース先輩に殺された暴走化した魔界の者達が消えたらしいです。それも死体安置所とされている場所を警備してた人も殺されていて、それも首が切り離されていたらしいです。何者かが死体を奪うために殺したんでしょうか……それとも」
シリアが手にいれた情報は新鮮な物だった。出所は秘密らしいのだが、親指と人差し指で円を作った。サイガはそれの意味がお金だと知っており、情報をお金で買ったのだろう。




