悪の始動 王女が魔王の家にやってきた ー15ー
「お前らな……とりあえず、俺は学園に行くからな。今日起きた事をもう一度確認しておきたいからな。それにマキナも付き合ってほしい。エリスとはずっと一緒にいなくても……朝と夜のどちらかとか……二人だけで行動するんじゃなく、第三者を加えればいい。勿論、俺や兵士、警備隊もなしだ」
マキナがエリスに口で勝てるわけがないと、サイガは助け船を出した。エリスの考えも完全には否定せず、妥協案を出すのが最善だと判断した。
「……仕方がありません。エリスが言う事にも一理ありましたし、貴方と共に学園に行く事もです。私も学園で起きた事件を一度確認しておかなければなりませんから」
「それでいいわよ。けど、私達と一緒に行動する奴は誰にするのよ?パートナーだと一緒に行動してもおかしくないから駄目って思ってるんでしょ。兵士や警備隊も無理なんだし、そんなのはいないわね」
エリスとマキナが一緒に行動するのに、別の理由がつくのが好ましい。それに秘密を共有するほどに信頼出来る者となるのだが、マキナの取り巻きでは無理がある。
そんな中で、サイガはある人物達が思い浮かんできた。
一人目はアイシャ。エリスとマキナの関係には中立であり、強さも申し分ない。ただ、手伝わせたら報酬が減るとエリスが了承しないだろう。子供バージョンになってエリスとマキナを欺けたとしても、アイシャ自身が断ってきそうだ。
二人目はシリア。エリスファンクラブの一員だが、マキナを嫌っているわけではない。エリスが協力を求めれば、喜んで引き受けてくれそうだ。魔法戦闘に参加していた事で実力があるのは確かであり、情報収集も得意そうだ。問題があるとすれば二人がシリアを認識していない事だ。学園で起きた事を話している時に、シリアの名前を出したが何の反応も見れなかった。マキナは一緒に魔法戦闘を戦ったのにも関わらずだ。
三人目は店長。店長もエリスよりになってしまうが、マキナがバイトするのは目立つかもしれないが、エリスと一緒にいる理由が出来る。それにエリスがバイトに入らなければ、店長は店を閉めてるかもしれないので、一緒に行動してくれるかもしれない。機人の実力は未知数だが、アニメを見る限りは凄そうだ。
「……」
サイガが思い浮かんだのは三人で、知り合いが少ししかいない事に気付いた。マキナやシリアと知り合いになっただけでも奇跡なのかもしれない。




