悪の始動 王女が魔王の家にやってきた ー13ー
「この料理は何ですか!たった数分でこの美味しさなんて」
「……」
マキナは初めて食べる料理なのか、その料理を絶賛する一方で、エリスはサイガをジト目で見ながら、それを食べている。
サイガが作ったのはカップ麺。人間界に来て、サイガが一番驚いたのはカップ麺の存在だった。たった三分で作れるだけでなく、味も間違いない。それに卵を入れただけで豪華に見えたりする。
マキナは王宮料理ばかりでカップ麺など食べた事がなく、サイガも目覚めてから食品がここまで発達していた事に衝撃を受け、家に常備するようになった。
だが、エリスは違う。サイガがカップ麺の存在を知ったのもエリスが食べているのを見たからだ。料理の出来ないエリスは、一人暮らしの時に期限切れの弁当とカップ麺にお世話になっていたのだ。二人と反応が違うのは当然だ。
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「そんな事があったんですか。ですが、シリアという者が言ったように、学園が休みになる事も、選挙が中止になる事はないでしょうね」
食べなから話すのはマナー違反であるとマキナは嫌い、カップ麺を食べ終えた後、台所も片付けた事でようやく話を進める事が出来た。
「それと……キースの事は……私も多忙だったのもありますが、距離を取っているようでして」
サイガはキースがあの魔法を使わないように、マキナに言ってもらうつもりだったが、マキナから距離を取っているのなら、それも無理のようだ。
「街を救う行為は素晴らしいと思うのですが……やはり、やり過ぎという声も一部から出ているんです。私と会おうとしないのも、それがあるからかもしれませんね」
キースは街や人々を救っているが、相手を殺す事はないと抗議があったという話があった。それは暴走化した者のパートナーであったり、その友達だったりする。
「アイツの事はいいでしょ。自分がやった行動なんだし、狙われるのは当然よ。警備隊も他にいるのに、連携もしないで自分の手柄にしてるんでしょ」
エリスはキースの話を切り上げたかった。あの一件だけでなく、キースが殺し続けている事に対して腹を立てていた。それを考えると、パートナーが殺された相手はエリス以上に怒りを覚えただろう。




