悪の始動 王女が魔王の家にやってきた ー6ー
「ミクス王はわしのパートナーではないぞ。他国を牽制するための力を持つ魔族はわしなんじゃろうがな。まぁ、相談役やらマキナの指南役とかをしとる。わしにも色々とあるんじゃ」
アイシャはそれを否定したのだが、パートナーが誰なのかは言わなかった。それに魔法戦闘の時にマキナが『私にも責任がある』と言ったのは、アイシャが自分の指南役だから出た言葉なのだろう。
「なら、次は暴走化の件だ。王様がエリスに事件の解明を頼んだが、何も掴んでいないってわけじゃないんだろ?勝手に弟子扱いにして、俺を巻き込んだんだからな」
「現在の状況でお前が魔王と知られるのは面倒じゃからな。わしの弟子にしたまでじゃ。これでもミクス王には信頼されておるからな。最初はわしに解決するよう頼んできたんじゃが、お前にやらした方が力を取り戻すきっかけになるやもしれんと思い、わしが面倒と思ったからじゃないぞ。ゲート管理局から連絡があったりと忙しい身じゃからな。そこにも寄付しておるんじゃ」
ゲート管理局とパートナー紹介所は同じ系列の会社であり、その名の通り、ゲート関連の仕事を生業としている。例えばパートナーと契約する時に移動するのも、ゲート管理局が小さなゲートを開いたりする。
その管理局がアイシャに連絡してきた内容には違法にゲートが開かれ、何者かが人間界に入り込んだらしいのだ。それも繋がったのが魔界なのか機界なのかは不明であり、そのような事は初めてらしいのだ。
「この違法ゲートは暴走化に関係あるんじゃろうな。魔界が関係しとると思ったが、不明となるとわしが動かんといかん。それに世界征服の邪魔になるようなら、お前が倒す必要があるからな」
「……そのゲートは俺とエリスが見たが、確認したのは俺達だけ。それは俺とエリスが関係してるのか……アイシャは本当に奴等の事を知らないのか?」
「奴等……もしかして、ガイエル達の事か?キースが使ったのはガイエルが得意とした魔法じゃったからな。奴等の内の誰かの仕業と思っておるのか。それなら、ハッキリと言っておこうか。奴等は死んで、復活する事はない。お前が復活出来たのは特別なんじゃ。覚えていないじゃろうがな」
一度死んだとなれば復活出来ないのは当然の事であり、それなのにサイガは復活する事が分かっており、アイシャもそれを知っていた。しかし、サイガはその理由を思い出せずにいた。




