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変態魔王+貧困勇者+エトセトラ=SS  作者: Gan
久方ぶりの魔王meets勇者
42/209

波乱の生徒会選挙 銀髪眼鏡VS魔王 ー15ー

「何してくれるんだよ。長い髪の方が雰囲気が出ていたのに……この姿だと本当に人間と変わらなくなるだろ!」



「へ~……アンタの顔をハッキリ見れなかったんだけど、悪くないじゃん。こっちの方が良いわよ。まぁ、全く魔族に見えなくなったけどさ」



サイガの目を隠す長い髪が短くなった事で、エリスはサイガの顔をきちんと見れるようになった。目や耳、歯に特徴はなく、角なども生えていない。その姿は人間となんら変わりがない。



「それが嫌なんだよ……ってこれは」



商店街にある店の店頭にTVが置かれており、アニメが映されている。それはエルナの冒険第一期の『魔界編』の再放送だった。



「エルナの冒険がどうしたのよ?この回は……ガイエルとの戦いのようね」



勇者エルナが最初に戦った魔王は残虐のガイエル。エルナは仲間である王女キーナ、戦士リオン、魔法使いファリス、場違いな感じの遊び人オウマの五人で戦っていた。



「この遊び人のオウマはアニメオリジナルキャラらしいわよ。魔王サイガと戦う前、アーク兄弟を倒す隙を作るために自ら命を犠牲にするの。私はアニメの中でオウマが一番好きなんだけど、オウマ以外の文献とかは色々残っているのに、オウマだけは何も残ってないのよ。だから、製作者側が暗い話だけにはしないように作られたんじゃないかって噂よ。最初に仲間になったのがオウマなのも怪しいってね」



エリスは自分に似ているエルナが出ている事から、アニメは好きではないと思っていたのだが、そうでもないらしい。サイガが『見た事がない』と言えば、エルナとオウマの出会いを語り出した。



エルナの最初の仲間であるオウマ。


オウマが飢え死にしそうなところを助けたのがエルナであり、その恩を返すために共に行動する。時にはエルナと離れて行動するが、エルナがピンチになれば助けに戻ってくる。職業が遊び人にであり、何も出来ないように思えるが、オウマの機転で勝利に繋げるようになっていた。そのためにエルナの冒険のファンからはオウマを贔屓しすぎだと声が集まった事もある。



「そういえば……アンタの名前ってサイガ=オウマよね。魔王と遊び人の名前が合わさってるのは珍しい。きっと、アンタの親はアニメのファンね」



「……そんなわけないだろ。服を買うんじゃないのか。ついでに晩飯用の材料も買いたいから、さっさと済ませよう」



サイガはエリスにそう言いながらも昔を思い出していた。遊び人のオウマはアニメオリジナルキャラではなく、エルナのパーティーに確かに存在していた事を。



★



買い物が終わり、自転車の修理が終わる頃には夕空から夜空に変化しようとしていた。商店街も学生よりも、仕事帰りの大人達が増え、居酒屋に向かう者や、露店で家の土産を買う者達で溢れている。



「自転車も直ったら事だし、家に帰るとしますか」



買った物が多く、サイガとエリスは自転車で荷物を乗せるだけにして、押して帰る事にした。エリスは機嫌が良かったのか、サイガに全ての荷物を押し付けて、自転車で帰る事はなかった。



サイガはふと商店街にある時計台を見ると六時六分を示し、違う時計の秒針が六秒を指した時、夜空に巨大な穴が出現し、その

穴に引っ張られているのか、重圧なのか地震のような震えをサイガとエリスは感じ取った。



それは七分になった時には止まり、巨大な穴も夜空から消えていた。



「さっきの地震……空にゲートみたいなのが見てたんだけど……サイガも見たわよね」



エリスはサイガに確認するように聞いてくる。それは周囲にいる誰もが何もなかったように行動しているからだ。



「……ああ。空にゲートが開いたのは俺にも見えた。エリスが感じたのは地震じゃない。震えたように感じたのは、ゲートから流れ出した殺気からだ。けど、ゲートが開いたのに気付いたのが俺達だけだなんて」



「きゃあああ!」



巨大な穴が消えたのも束の間、商店街から女性の悲鳴が聞こえてきた。


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