波乱の生徒会選挙 銀髪眼鏡VS魔王 ー12ー
「マキナ!何で……取り巻き達は」
いつもマキナの周囲には取り巻きがいるのに姿が見えず、側近のキースの姿もなく、今はマキナ一人しかいない。
そのせいで紙を渡したのがマキナだったとはサイガも思わなかった。
「私も一人でいる時ぐらいありますよ。それに……一人の方が私には……」
マキナの雰囲気は取り巻きがいる時や魔法戦闘の時とは違い、高貴なオーラは出ておらず、ただの一生徒と変わらないようにサイガには見えた。
「……そうか。マキナは何もしないのか?まぁ……マキナがしなくても取り巻き達が何かしているか」
エリスのファンクラブが動いている以上、マキナの取り巻き達も対抗してる可能性はある。
「いえ……動いていたとしても、貴方達とは逆の事をしているかもしれませんね。キース達は私を会長にしたいようですから……それでは用がありますので」
マキナはレイピアを持っている事から武術の鍛練にでも行くつもりなのだろう。
「なぁ……生徒達はマキナに会長になってほしいと思っているはずだ。それなのに何で会計になろうとするんだ?エリスに対抗してるのは分かるけど……嫌ってるわけじゃないんだろ」
エリスの事を嫌っているのならば対抗心を燃やす必要もなく、無視すればいいだけのはず。
「サイガ……貴方もそうなんですが……エリスも私を様付けで呼ばないんですよ」
「それはどういう……」
マキナは言葉の意味を言わず、サイガに頭を下げた後、鍛練する場所に歩いていく。それをサイガは追いかける事が出来なかった。
「ちょっと……何してんのよ。アンタは本当に私を生徒会に入れたいわけね」
サイガはマキナに目を向けていたせいで、周囲の警戒を疎かにしてしまい、エリスが来るのに気付かなかった。それにしても、大きな学園の中で、数少ない顔見知りと連続で出会うのはどんな確率だろう。




