波乱の生徒会選挙 銀髪眼鏡VS魔王 ー10ー
「それにこの部屋はわしに用意された部屋じゃからな。外から見えんし、カギを掛けておるから、この姿を見られる事はないんじゃよ」
教師達が集まる場所として職員室という部屋はあるが、それ以外に教師は個々に部屋が与えられている。それは独自の研究をし、論文を書いたりする場所であるのと同時にゼミとして使用する場所ともされている。
「そこに文句があるわけじゃないんだけどな。というか……アイシャは傍観者でいると言いながら、俺を生徒会に入れようとするし、授業も勝手に決めたりと全然傍観してないよな」
「何を言っておるんじゃ。わしはお前に意見を言っておるだけで、行動するのはお前じゃろ。そうでもしなければ何も行動を起こすつもりはないんじゃろうが」
アイシャは意見と言っているがその範疇を超えている気がしないわけではないのだが、何も言われなかったら行動しないのは確かであり、サイガも反論する事が出来なかった。
「……そうですよ。それで……これから俺はどうすればいいんだよ?会長に立候補した三年みたいに演説でもすればいいのか」
昼休みや次の授業までの空いた時間を利用して、会長候補達それぞれが演説しており、生徒達に投票してもらえるように頼んでいた。他にエリスファンクラブも演説をしていたのだが、エリスに叩き潰されていた。
「それはお前に任せる。今回のお前の行動は思っていた以上に迅速じゃった。ファンクラブNo.1のシリアが書記に立候補し、お前と手を組む事になったのなら、利用出来る駒が増えたわけじゃからな。何も言わずとも、お前の行動はお見通しじゃぞ」
アイシャは蝙蝠を使って監視をしていたのか、サイガがシリアに無理矢理協力関係にされた事を知っていた。
「エリスの情報で協力してくれるのなら安いもんじゃろ。それにお前の知らないエリスの情報も手に入れる事が出来るやもしれん。そう……よくやったと誉めてやりたいところじゃが……エリスを推薦するのは良かったが、それが早すぎた。そのせいでマキナは会長ではなく、会計に立候補してしまった。これが問題なんじゃ」
アイシャもマキナが会長に立候補すると思っていた。 マキナが会長に立候補すれば、当選は確実であり、サイガとエリス、マキナの三人が生徒会に入る予定だった。その計画が破綻となったのだ。アイシャの力があれば、会長が三年だろうと傀儡にする事が出来るだろうが、王女の権力を手に入れる事が出来ないのが駄目みたいなのだ。




