波乱の生徒会選挙 銀髪眼鏡VS魔王 ー9ー
「サイガさんがエリス様を会計に推薦してくれたので、私も書記に立候補したんですよ。だからって、マキナ様を嫌ってるわけじゃないですから。けど、会計になるのは……サイガさんはエリス様のパートナーであり、推薦もしたんだから、ファンクラブに協力してくれますよね」
シリアは無理矢理サイガの手にある物を握らせた。賄賂的な物かと思いきや、ファンクラブの会員証で、会員No.0(リーダー)とサイガの名前が書かれていた。リーダーとはエリスのパートナーというのが理由なのかもしれない。
「こんな物なんて」
「私達のリーダーなので、エリス様の情報を提供してくださいね」
シリアはサイガに有無を言わさず、サイガも会員証を返したり、破り捨てる事が出来なかった。
サイガが目覚めてから、関わる者達が変な奴ばかりで、人知れず溜め息を吐いた。
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今日からラキアス学園での授業が始まる。
テストの成績によって取れる授業は変わってくるのだが、基本的に授業時間は一時間で、一日五つ、一週間で三十の授業を受ける事が出来るようになっている。
一週間というのも光、風、火、水、土、闇の属性と無という曜日に分かれた七日間で構成されている。属性の日にはそれぞれの魔力が高まる日であり、無の日は全ての魔力が低下する日である事から休日とされている。
そして、ラキアス学園を卒業するためには百単位を習得しなければならず、授業によっては単位数も違ってくる。上級を習得すれば四単位を貰えたりもする。
サイガはエリス達よりも一年遅れという事もあり、多くの授業を受けなければならない。その授業には必須や選択授業もあるはずなのに、サイガには選択権がなく、アイシャが勝手に授業を選んでいた。
「何じゃ?その不満そうな目は……この方がお互いに都合がいいからじゃぞ。断じて、わしの息抜きなためじゃないからな」
人間界、機界の授業は必須と下位レベルの授業で組まれているのだが、魔学の授業は上級ばかりで、ほぼアイシャが受け持つ授業になっていた。さらに武術、魔法、機工、魔科学などの専門的な授業やゼミもアイシャが担当になっており、今はゼミの時間となっている。
「いや……他の授業はまともにしてるんだなと思っただけだ」
サイガはゼミの前に魔学の授業を受けたのだが、その時は大人バージョンのアイシャであり、厳しくも真面目に授業を進めていた。それはサイガ以外の生徒がいたからで、今は子供バージョンで輸血パックを飲むのと、ペロペロキャンディーを舐めるのを交互に繰り返している。
「一応、教師という立場じゃしな。真面目にやっておらんと生徒会の顧問になれんかもしれん。それに今日はエリスも来ておらんようだし」
アイシャのゼミにはサイガとエリスしかおらず、他の生徒はゼミの内容が分からなかったのか、それともアイシャが拒否したのか。エリスをどうやって入れたのかも分からない。ゼミ内容にエリスが惹かれた可能性もあるが、初日から来ていない。それでも学園には来ているのは確かであり、そうしないと退学になってしまうからだ。
アイシャのゼミはSS学という世界征服学だった。エリスをこのゼミに入れ、生徒会にも入れようとするのは、サイガの世界征服に勇者であるエリスにも協力させようと考えているのだろう。
エリスなら喜んで協力するどころか、リーダーになろうとしてもおかしくないとサイガは思う。




