波乱の生徒会選挙 銀髪眼鏡VS魔王 ー8ー
「何だよアイツは……それよりもエリスを応援する声が聞こえたような……闘技場ではブーイングを受けて、偽勇者と呼ばれてたはずなんだけどな」
サイガは疑問に思った事を独り言のように呟いたのだが、それに対しての返答があった。
「マキナ様だけじゃなく、エリス様にもファンクラブがあるんですよ」
サイガに声を掛けてきたのは、魔法戦闘でサイガが助け、アドバイスをくれた女生徒だった。大きな黒のとんがり帽子に黒のマント。前は顔を見る事が出来なかったが、ショートの紫色の髪に、瓶底眼鏡を掛けで瞳を隠している。身長は子供バージョンのアイシャよりも低く、百五十もないぐらい。
「あ~……誰だ?」
サイガは魔法戦闘の選手紹介を一切見ていなかったため、女生徒の名前を知らなかった。
「……」
サイガの言葉に傷付いたのか、それとも怒ったのか、女生徒の眼鏡がビシッとヒビが入った。
「いや……違うぞ。魔法戦闘で一緒に戦ったのは覚えているからな。ただ、紹介を見ていなかっただけで、名前を知らないだけだから。この学園にも転入してきたばかりだし……すまない」
サイガが謝ると、女生徒の機嫌が治るのとリンクしていたのか、眼鏡も自然に修復されていた。
「そうだったんですね。私の名前はシリアス=バラード。シリアと呼んでください。一応、書記に立候補したので、サイガさんが副会長となって、一緒になった時にはお願いしますね」
シリアは勢いよく頭を下げると帽子が落ち、その反動でまっすぐだった髪の毛が癖毛だったのか、爆発した。
シリアの書記に登録された写真でも頭はボサボサになっている。
「俺が副会長になれるとは思えないけどな。それよりもエリスにファンクラブがあるとか言っていたようだけど」
「そうですよ。エリス様は勇者というのもあるけど、綺麗な姿にも関わらず、男よりも男らしく……乱暴な口調や素っ気ない態度が良いって人達がいるんですよね。ファンクラブも最初は表立って行動してたんですけど、エリス様がそれを嫌がって、自身で潰したんです。それでもファンは諦めを知らず、隠れて活動してたんです。そんな中、選挙で投票が必要となったのであれば、再び表に立つことにしたって事です。ちなみに私が会員No.1なんですけどね」
シリアは名刺を渡すように、サイガに渡したのは自分の会員証であり、エリスのイラストと共に会員No.1とシリアの名前が書かれてる。それはシリアがエリスファンクラブを作り上げた事になる。




