波乱の生徒会選挙 銀髪眼鏡VS魔王 ー7ー
「そんな事……私はマキナ様以外の誰かに仕えるなど……」
「いい加減にしなさい。会長にはすでに三名ほど立候補し、登録されているんです。王女の私がルールを破るわけにはいきません」
マキナの言う通り、今朝になって三年の男生徒三名が立候補しているのが確認されている。
「アンタ達、道を塞いでるんじゃないわよ!通れないじゃないの」
険悪な雰囲気の中、それをぶち壊すようにエリスが取り巻き達を怒鳴りつけ、学園までの道を開かせた。
「……ん?アンタはもう絡まれてんの。まぁ、勝手にしとけばいいわ。私は先に行くから」
エリスはサイガとマキナ、キースの会話は自分には関係がないと、さっさと行こうとする。取り巻きはサイガの時のように道を塞がず、前に立たないのは、エリスが怖いのだろう。先程の怒鳴りつけが効いているのだ。
「ちょっと待ちなさい!会計という役職を賭けて勝負する相手に何も言う事はないのですか」
無視して行こうとするエリスに、マキナは声を掛けた。先程とは口調が変わり、怒鳴っている感じではあるのだが、マキナの表情は楽しげだ。
「別に……誰かが勝手に推薦しただけだから。私は会計になりたいなんて思ってないし」
エリスはサイガを睨んだ後、そんな言葉を残して、さっさと学園の中に入っていく。その先で『エリス様、頑張ってください』などの、エリスを応援する声が小さいながらも聞こえてきた。
「……良い勝負になるかもしれませんね。サイガ、貴方もキースと良い勝負をしてください。どちらが勝ってもおかしくないと私は思ってますから」
エリスは勝負する気がないと言われへんもんながらも、きちんと勝負してくるとでもマキナは思っているのだろう。動揺した様子も見せず、取り巻きを連れながら、校門を通り抜けて行く。
キースもサイガを睨みながらも、しんがりを勤めていた。




