波乱の生徒会選挙 銀髪眼鏡VS魔王 ー6ー
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四月四日
サイガがいつものように一人で学園に向かうと、校門前で生徒達が集まっているのが見てた。その中心は案の定マキナであり、そこにはキースもいて、マキナを説得しているようだ。
サイガはそれを無視して校門を通り抜けようとしたのだが、取り巻き達は見つけて道を塞いできた。そして、マキナの説得を中断したキースがサイガの方へ足を向けた。その表情は冷たく、殺意すら感じるほどだ。
「貴様が偽勇者のパートナーか。貴様が立場も考えず、副会長になろうとしてるのは許してやる。推薦されたからには仕方がないからな。だが、偽勇者を会計に推薦したのは許せん。そのおかげで、マキナ様が会計などに立候補してしまったのだぞ」
「いやいや……エリスを推薦したのは認めるけど、マキナが会計に立候補したのは、本人の意志だろ。俺は全く関係ない。さっきみたいにマキナを説得すればいいだら」
何故かエリスを推薦したのがサイガと周囲に知られているようなのだが、エリス以外に文句を言われる筋合いはない。
「そうです。これは私の意志……キースは何も言わず、サイガと副会長の座を賭けた勝負に集中しなさい。私もエリスとの勝負に集中したいのです」
サイガとキースの会話にマキナが割り込んできた。
「……しかし、マキナ様には会長こそが相応しい。会計など……偽勇者との勝負も、勝つのはマキナ様に決まっています」
その言葉にサイガも頷いた。エリスとマキナが会計で勝負しても、生徒の投票ではマキナの勝利は目に見えてる。
「勝負は何が起きるか分かりません。去年、私は会長を勤めましたし、どのような仕事かも理解しました。他の役職に就く事も勉強になるでしょう。キースも私以外の指示に従うのも将来のためになるかもしれませんよ」
サイガはエリスがマキナと勝負するどころか、会計になるつもりがない事をこの雰囲気のせいで言う事が出来ずにいる。




