波乱の生徒会選挙 銀髪眼鏡VS魔王 ー3ー
「それが本当なら尚更ね。アンタは魔学でも一位にもなってたわよね。どの役職になろうとしてるのかは知らないけど、会長はマキナに決定だから。去年も一年生ながらマキナが選ばれてるのよ。それに副会長は陰湿眼鏡のキースって男。私達の一つ年上でマキナの側近ね。この二人は今年も確実に選ばれると思うわよ。そうなると残るは書記と会計になるんだけど」
サイガもアイシャが何の役職に推薦しているか見当がつかなかったが、会長と副会長がほぼ確定であるのならば、書記と会計にサイガとエリスを入れようと考えているのかもしれない。
「アンタは生徒達から投票されるとでも思ってるわけ?マキナやキースが選ばれるのは人気があるからで、生徒が投票するからよ。だから、生徒会に入りたい人は書記や会計に集中するわけ。アンタは魔学だけじゃなく、魔法戦闘でもマキナに勝ったんだから、マキナファンはアンタを嫌って投票なんてするわけないじゃない。勿論、私も同じ事だから」
確かにサイガが魔法戦闘で一位になった時、生徒達からブーイングが起きた。それは武器という卑怯な手を使ったよう見えただけでなく、マキナに勝ったという理由もあったのだ。そんな相手に誰も投票するわけがないとエリスは言っているのだ。
アイシャもそれが分かったうえで、サイガに無理難題をやらせようとしているのだ。
しかも、エリスとの会話中、サイガの生徒手帳に学園からの連絡が届いた。それは生徒会選挙に推薦された報告であり、役職は副会長と表示されている。
「物好きもいたもんね……しかも副会長に推薦するなんて。一度受理されたらキャンセルは出来ない……これで諦めがついたんじゃない」
「そうだよな。あいつが簡単な道を選ぶような奴じゃない事を忘れてた」
会長と副会長がマキナとキースと呼ばれる男で揺るがず、生徒達もそう思っているに違いない。それをアイシャは打ち崩せとサイガに言っているのだ。アイシャがサイガを会長にしなかったのは、マキナは会長にしておきたかったのだろう。
「私の言葉を無視するわけ……勝手にするといいわ。私には関係ないんだし……犯罪にだけは手を染めないでよね。用が済んだのなら、さっさと出ていってくれない。晩御飯の準備もちゃんとしておいてよね」
エリスはそう言って、サイガを店から追い出した。




