波乱の生徒会選挙 銀髪眼鏡VS魔王 ー2ー
「……ふぅ。さっきの笑顔は客用ね。私がレジをして、笑顔を向けた方が商品が多く売れるのよ。アニメでやっている勇者に顔が似てるから、私の笑顔を見るためだけに商品を買う奴もいるんだから」
エリスが客に向けたのは満面の笑顔ではなく、実際は人を馬鹿にした笑みであり、サイガはそれを知ってしまった。
「客もいなくなって一段落ついた事だし、さっきの話に戻るわよ。あっ……これはアンタがお金を払ってよね。情報料ってやつよ」
エリスは店内に客がいなくなったのをいい事に、商品のお菓子を開けて、一人で食べ始めた。
「仕事中にそんな事をしていいのかよ。店長に何か」
店内に店長の姿が見えない事に、サイガは今気付いた。
「店長?ああ……大きな旗を振ったお仕置きとして体を分解したのよ。本当はこの時間は店長のはずなんだけど、私が代わって稼がせてもらってるわけ。帰ってくるのに時間が掛かると思うわ。……アンタは店長に無理矢理付き合わせられただけと思うから、今回は許してあげるわ」
学園では武術戦闘が人間界、魔法戦闘は魔界とするならば、機界にも実技があってもおかしくない。それはその日に行われるのではなく、時間を掛けて作り出した物を体育館で展示し、教師や生徒達から評価をもらう形になっている。これに関しては一日経たなければ誰が一位なのか分からない。その展示された物の中に店長の頭部が飾られ、生徒に助けを求めている。
「それで……生徒会の事だけど、まずは生徒手帳で生徒会や選挙について調べられるから、まずはそれを見てみなさいよ」
サイガはエリスの言葉通りに、慣れない手つきで生徒会や選挙の事を調べた。
生徒会は会長、副会長、書記、会計の四つの役職で構成されている。生徒会は他の委員を指示する事や、アイシャが言っていた事を主に仕事にしている。付け加えるとすれば、各委員長も勝負に参加する事もあるというぐらいだろう。
選挙は立候補や推薦で選ばれた者を、四月最終日に生徒の投票で決める形となっている。立候補や推薦される者は成績優秀者でなければならない。成績優秀者は上位百位内、もしくは各教科や戦闘において三位内に入る者である。
「これがどうしたんだ?俺やエリスも魔法戦闘と武術戦闘で一位、優勝したんだから問題ないだろ」
「そうなの?魔法戦闘を見ずに、店長をバラして店に向かったから」
エリスはサイガが参加した魔法戦闘を見ていなかった。サイガの魔法戦闘よりもバイトを優先したのだ。そこはパートナーとして応援するべきだろとサイガは心の中だけで思う事にした。




