勇者と王女の関係に、魔王巻き込まれるー13ー
「方法がないわけじゃないさ」
サイガが目を向けたのは武術戦闘の時にマキナが落としたレイピアとマンゴーシュ。魔法戦闘が開始されても回収されていなかったのだ。
「私が落としたレイピアとマンゴーシュ……ですが、ゴーレムの体を削るのに強度が足りない可能性も……補助魔法で上げたとしても吸収されてしまう……それでも……やるしかないんですね」
レイピアは細く、突くのがメインの武器。削る時には折れてしまう。マンゴーシュはレイピアよりは丈夫だが、折れないという保証はない。
「何言ってるんですか!魔法戦闘に武器なんかを使ったら、観客に何を言われるか……それにゴーレムに近付けるわけがない」
選手の一人がゴーレムの攻撃を避ける際、サイガ達の声が聞こえ、反対し出した。選手はこんな状況であるのにも関わらず観客の視線を気にしているのだ。それに自分達ではゴーレムに近付けるわけがないと。
「……私なら」
マキナは武術戦闘に参加するほどに身体能力は高い。ゴーレムの攻撃も掻い潜れる。選手はその考えがあったとしても、『砕』という文字を刻む事で確実に倒せるという保証がないのに、王女であるマキナを危険に晒すわけにはいかないのだ。
それをマキナは察し、自分が行くと口にしようとした。マキナ自身が言い出し、ゴーレムを武器で倒しても観客から罵声はないと考えたからだ。
「あ~!くそっ……俺がやる。アンタは武術戦闘で疲れてるし、エリスの攻撃で武器を持てたとしても力が入らないだろ」
マキナの腕を見ると、エリスに攻撃された箇所が紫色に変色している。
「……気付いていたんですか。だからといって」
「アンタ以外でゴーレムの攻撃を掻い潜れるのは俺だけだ。俺は防御系の魔法は使えないし、D判定で魔法を使える回数も少ない。それに……俺しか出来ない事もある……っと、俺が一位になる事は許してくれよ」
サイガはマキナが何かを言おうとする前に行動に移した。




