勇者と王女の関係に、魔王巻き込まれるー12ー
「何を言ってるんですか?当然の事をしているだけです。それに……ある意味私にも責任がありますから。それよりも……どうなんですか?知っているのなら」
「あれはゴーレムという魔動人形だ。普通の魔法では吸収され、エネルギーとなるだけだ。動き出せば、自然からの魔力も吸収してしまい、エネルギー切れはない。倒す方法は、ゴーレムの体に刻まれている文字の一部を削ると崩れ去るのだけど……」
「ゴーレムに刻まれている文字の一部を消せば……」
サイガとマキナはその文字を見つけるが、言葉を失った。
サイガの知っているゴーレムはemeth『真理』という言葉が刻まれ、頭のeを削る事でmeth『死んだ』という意味になり、崩れ去る形となっていた。
だが、このゴーレムに刻まれているのは『石』という一文字だけが黒く光っている。アイシャが通常の文字にするわけがなく、その一文字を削ればいいだけのはずもない。
「あの石の文字が関係してるのは分かるが、どう削ればいいか」
サイガが行動に移せないのはそういった理由だった。どう削ればいいのか分からず、間違えれば破壊は不可能となる。
「あ……あの……どう削ればいいのか分かったかもしれないです」
サイガとマキナの側には誰もいない。風の魔法の一種で、遠くの者と会話をする事が出来、その魔力の流れから、先程サイガが助けた選手だと分かった。大きな帽子で顔は見えなかったが、声からして女子だという事は分かる。女子はサイガとマキナの会話を盗み聞きしていたのだ。
「分かったとは……貴女もゴーレムの知識があるのですか?」
マキナはそれを咎めず、情報を優先した。
「マキナ様……ゴーレムの知識とは違うのですが……アニメの話で……最近、このアニメの話で白髪が特徴的な魔族の女の子と盛り上がった事を思い出したんです」
「白髪の女の子!それで問題ない。教えてくれ」
サイガはその魔族の少女が子供バージョンのアイシャであるのなら、そのアニメを参考にしている可能性が高い。
「そのアニメの特徴は魔法に似た……文字が力を持っている話で、火という文字で倒せない相手を、火を足す事で炎にして威力を上げたり、水に白を加えて泉にしたり……」
つまり、一文字に何かの文字を加える事で違う意味を宿させる。ゴーレムを破壊するために『石』に違った意味にさせるとすれば『砕』という文字にして、ゴーレムを砕けばいいのだ。
「私はそのアニメを知るわけではないですが……やってみる価値はあると思います。そうなると『砕』という文字が思い浮かぶわけですが、どうやって削るかです。魔法は吸収されますし……」




