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変態魔王+貧困勇者+エトセトラ=SS  作者: Gan
久方ぶりの魔王meets勇者
2/209

魔王復活にバイト中の勇者 ー2ー


「なるほどな。城の中に人間がいる事は分かった。俺が昔の姿なのも中途半端に復活したからなんだろうな。だが、アイシャ……お前には色々と言う事があるぞ」



サイガはアイシャが用意してくれた黒一色でまとめられた服を着ており、魔王城の食堂にアイシャと座り、蝙蝠達が運んでくる料理を食べていた。



魔界には時間という概念はなかったのだが、人間や機人と共に生活するため、時間を知る必要があり、アイシャは勝手に時計を置いていた。そして、今は十五時で昼食には遅いのだが、長い間眠っていたサイガにとっては何でもいいから腹の中に入れたかった。



「何じゃ?子供の姿は何かと都合が良いからじゃな。人間界では何かと物を与えられやすいし、移動のための金も少なくて済む。まぁ……状況に応じて元の姿に戻ったりもしているがな。蝙蝠達よ……わしに一パック頼む」



蝙蝠達がアイシャに持ってきたのは人間の輸血パック。別に血が足りないというわけではない。アイシャというのは呼称であり、本名はアイシャリウス=ワーエンド。真祖と呼ばれるヴァンパイアであり、最古の魔族。サイガとアイシャは長い付き合いなのだ。



能力は蝙蝠を操る事は当然として、変身能力、記憶操作も出来、力や魔法も魔王だったサイガと同等の力を持っている。長年生きた事で太陽の光なども克服し、弱点も無くしている。



逃げ出した観光客達も蝙蝠達を使い、迷路を迷わせないようにしただけでなく、サイガと出会った記憶だけを消し、他のガイドに後を任せた。



「違う!そうじゃなくて、俺の城を色々と変えた件だ。玉座の間も誰かが戦ったみたいに破壊されてるし、巨大迷路も俺が迷ってしまうだろ!結界を消すのもアイシャしか出来ないからな」



「そう言うな。現在では力よりも金が物を言う事もある。利用出来るのは使わんと損じゃろ?サイガとエルナのアニメもやってるのが良いタイミングじゃったしな。勿論、そのアニメも情報は少し与えたんじゃが、色々と変わってしまったがな」



魔王城の結界はサイガが目覚めるために棺に力を注ぐためではなかった。結界があるのにも関わらず、玉座の間でエルナとサイガが戦っている事にして、巨大迷路も作ったのも、アニメで話題になり、観光客達を呼んで儲けるためのアイシャの策略だった。



「はぁ……そういうところは昔と変わってないんだな」



サイガは溜め息を吐きながらも、運ばれてきた料理を全部平らげた。



「変わってなくて安心したじゃろ?それよりも……お金儲けは好きなんじゃが、最近面白味がなくてな。お前が目覚めてくれたおかけで退屈せずに済みそうじゃ。勿論、目覚めたからには世界征服を目指すんじゃろ?」



「もしかして……暇潰しなために俺を中途半端に起こしたんじゃないだろうな。そのせいで力だけでなく、魔力も全然なんだぞ。それに俺は世界征服に興味ないの。のんびりしたいんだよ。以前もガイエル、ジャギ、ワイズとキリスが俺やアーク兄弟が止めるのを無視した結果がああだろ。俺にとってはいい迷惑だったし……アイシャも知ってるだろ」



残虐のガイエル、死霊のジャギ、道化師のワイズ、鬼竜のキリス、豪炎と冷静のアーク兄弟は魔界の五大陸を支配する王であるのだが、アイシャはそこに含まれていない。



「それに世界征服なら、お前がやればいいだろ。今の俺よりも強いのは当然として、昔の俺とも同等かそれ以上だっただろ?」



「わしは傍観者でいたいんじゃ。前も戦いには参加せんかったしな。サイガはなんやかんやで関わったじゃろ。ガイエル達とは違った形でな……クックックッ」



アイシャはサイガと同等の力を持ちながらも支配する事に興味がなかった。アニメにもアイシャが出てくる場面はなく、歴史にも記されていない。



「ああ……参加したとも。その笑い方からして、知ってるんだろ……そうだ!ガイエル達は復活してないのか?奴等に頼めば」



サイガは自分が復活したのであれば、他の魔王も蘇っているかのうせいもあると考えた。



「復活してるかも知らんし、奴等は好かん。サイガだから面白いんじゃ。サイガは力を取り戻すためと思えばいい。その第一歩として、現在の世界を知るために人間界の学園に通ってもらうぞ」



「人間界の学園って……お前……やっぱり、そのつもりで俺を中途半端に復活させたんだな!」



サイガは昔からアイシャに弱みを握られ、大事な事以外は逆らえずにいるのだ。



「偶然じゃ。それよりも善は急げという。人間界に行くためには手続きが必要なんじゃ。昔のように竜に乗って行けばいいわけじゃないんじゃからな」



昔は魔族や魔獣が人間界に行くためには空に出来た巨大な穴を通り抜ければ良かっただけなのだが、今では巨大な魔力で造られたゲートがあり、ある条件を満たさなければ行けないようになっていた。



そして、アイシャが用意したのはTV電話。機界で造られ、遠くにいる相手と連絡出来るだけでなく、姿も見えるという優れ物。そのTV電話に付いている数種類のボタンをアイシャはいくつも押すと、スーツを着た、三つ目で緑の肌をした男魔族がTVに映し出された。



魔族は翼や角があったり、肌の色が違ったり、三つ目など特徴的な部分は多いのだが、それ以外は人間とさして変わりがない。大きさも人間それぞれあるように、魔族はその幅が広いだけと思えばいいだろう。アイシャも耳と犬歯が尖っているだけで、サイガに至っては人間とまるっきり一緒なのだ。



「こちらは魔界のパートナー紹介所です。貴方に相応しいパートナーを見つけ、その世界に行く事が出来るようにお手伝いさせていただいております。おや……アイシャリウス様でしたか。アイシャリウス様はパートナーが決まっておいでですが、一体どのような件で?」



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