勇者と王女の関係に、魔王巻き込まれるー7ー
「それに……いい加減に学びなさいよ。私が木刀を武器にしているわけをさ!」
男達も事前にバトルロイヤルとは聞いておらず、せっかく多数でエリスに攻撃しようにも連携がとれていなければ意味がない。相手の攻撃に巻き込まれないよう注意するのに隙が出来る。
さらに殺すのが目的ではない以上、剣や槍などの重い武器に対して、木刀の軽さではスピードに差が生じる。ジャージと鎧では尚更であり、男達はエリスを捉える事が出来ない。
武術戦闘において重要なのは武器ではなく、どうやって相手を倒すかという発想なのだ。
エリスは男達の攻撃に合わせて、的確に兜と鎧の僅かな隙間にある首元に木刀を叩き込むカウンターで、相手を一撃で倒していく。
マキナも相手の攻撃を華麗に避けるだけではなく、同時に攻撃された時はマンゴーシュで受け流し、レイピアの鐔で相手の剣や槍の刃を折るなどして、ギブアップさせている。レイピアとマンゴーシュは防御重視、武器破壊とマキナは考えて選んだのだ。
そして、残るはエリスとマキナだけになった。
「やはりエリス、貴女と私の戦いになりましたね」
マキナは大歓声の中、全く物怖じしていない。それは王女という立場で慣れているのだろう。それだけでなく、エリスにすぐさま攻撃を仕掛けなかったのも正々堂々、真正面から戦うつもりなのだ。
「私に勝つつもりでいるなら、話し掛けてこないで、仕掛けてこれば良かったのに。アイツ等と戦っている時、マキナなら私を捉えられたかもしれないのにさ。これは戦闘であって、決闘じゃないんだから」
エリスはそう言いながらも、隙などなかった。マキナが何も考えずに攻撃していれば、一瞬にして決着がついていたはずだ。
「私にとっては決闘なんです。それに……貴女を応援する者がいる中で、卑怯な真似など出来ません。私の応援で埋め尽くされる中、応援してくれるなんて良いパートナー……とあれは一体誰なのかしら?」
エリスは誰も応援などしてくれず、必要でさえも思っていなかった。だが、マキナが顔を向けた方を見てみると、エリスを応援している人物が二人いる事が分かった。
声が聞こえずとも、エリスと書かれた大きな旗を振っている店長と、無理矢理応援に付き合わさせた感じのパートナーであるサイガだ。
「店長……後でどうなるか覚えてなさいよ」
二人の応援によって、自分には応援なんて必要ないと、エリスに強く思わせる結果になった。
「良い応援ではありませんか。貴女を本当に応援している……私のとは大違い……」
マキナはエリスに寂しそうな笑顔を向けた。




