勇者と王女の関係に、魔王巻き込まれるー4ー
サイガは先に進むと生徒達がテスト結果に騒いでいた。そこにはマキナが人学一位と惜しくも機学が二位だと分かった。それは前回よりも機学の成績は上がったようなのだが、魔学が一位から二位に落ちていたのだ。その原因はサイガが一位を取ってしまったからだった。
アイシャが魔法戦闘でもと言ったのは、サイガがすでに魔学で一位を取っていたからである。
一位は名前だけでなく、顔写真も公開され、生徒達はサイガに注目するようになった。
「へぇ~……アンタって頭が良いのね」
いつの間にかエリスはサイガの隣にいて、小さな声で『もっと見ておけば良かった』と口にしている。
エリスのテスト結果は最下位から数えた方が早く、サイガも魔学は一位だが、機学は0点で最下位であり、人学もエリスより下の成績で、総合はエリスと変わらない。
「なるほど……どこかで見た顔だと思えば、昨日エリスの隣にいた魔族でしたか。今も一緒にいるという事は、彼女のパートナーのようですね。面白い……貴方は魔法戦闘に登録されているみたいなので、エリス同様に私が倒してみせます」
マキナが通る時、波が分かれるように道が出来る。マキナはサイガにも宣戦布告するためだけにサイガにも近寄り、言い終えた後は測定が行われる場所に行ってしまった。
魔法戦闘が面白くなるとアイシャが言ったのは、エリス同様にサイガもマキナに目をつけられる事を示していたかもしれない。
「言っておくけど、マキナを相手にするのは面倒だから。まぁ……私にとっては対象が増えたのは嬉しいんだけど。ここにいても注目されるし、私達も測定の方へ行くわよ」
エリスはサイガを連れて、身体能力・魔力測定が行われる場所に向かった。測定は男女別に行われず、それぞれAからEまでの五段階に分かれて評価される。
身体能力はスピードやパワーなどを様々なもので測定し、魔力は現在の魔力量を機械で測定と魔法の発動も見て、どれくらいの魔法が使えるかを判断する。
サイガは身体能力B、魔力はD判定と判断された。魔王でありながらも総合力Cと全くもって普通だった。エリスに関しては身体能力Aで、魔力はEと極端な結果になっている。
エリスの魔力がE判定になったのは、体から魔力が0と計測され、魔法が一切使用出来ないのが原因だった。だが、エリスに魔力がないと計測された事にサイガは疑問を持った。他の人間や魔族が計測した時にはきちんと反応している。これが潜在能力も測るのなら別だが、現在のサイガの魔力も正しいといえる。
機械が壊れていないのは理解したが、勇者が魔力を持たないのはおかしい。前勇者であるエルナが用いた聖装具は魔力なしでは使用出来ない。
それだけではなく、サイガはエリスから微弱ながら魔力を感じられた。魔力とは時間の経過により回復するのだが、エリスの魔力は一でも回復すれば、すぐに使われているようなのだ。
「エリス……お前に魔力がないなんて嘘だろ」
「ん?どうでもいいじゃない。魔力がなくても問題ないし」
エリスはその事について答えなかった。サイガはエリスのプロフィール以上の事は何も知らない。エリスは家に一緒にいても部屋に入れてもらえず、バイトで忙しい。お互いに何も知らないに等しい。サイガが魔王である事もエリスは信用しておらず、契約も金の力を使ったと思っているかもしれない。




