6話 「安全な部活探し?」
悪夢のような5時間目が終わり、比較的平和な6時間目は生物の授業・・・もっとも5時間目の余韻で殺気だっていたアキとママナを筆頭にした女子一同(1名除外)のおかげで一般の感覚では十分殺伐とした授業だとも思うが。被害者は俺と先生に集中しているのは何故なんだろう? 白衣がドクターを連想させるルル先生は涙目になりながら授業してたぞ? はぁ、お互いにここでは常識人は辛いですよね
とまぁ、そんな6時間目も一応無事に終わって・・・
「は~い! HRの時間だぞ~♪」
何が嬉しいのか上機嫌で入ってきたマリア姉さん・・・。ふう、これで長かった学校の1日も終わるわけだから見なかったことにしよう
「え~っと、今日は特に連絡事項なし! 配布物もないか~、残念! あっ、リュウトくんはこの後部活巡りして行ってね、この学校は部活全員参加なのよ」
・・・つまり、俺の一日はまだ終わらないってことか?
「私のお勧めはプロレス愛好会! 愛好会なんて名称だけどちゃんと本格的なリングもあって技をかけられるし、かけてもらえる! どう?」
うん、本格的に『命の危険』がある部活だな。まぁ、わかってはいるけど一応聞いておこうか
「その愛好会は誰が顧問なんだ?」
「もっちろん私! 興味ある? 今ならここに名前を書いてくれればすぐに入部できるぞ♪」
そりゃ、入部届けに名前書けば今でなくてもどの部活でもそうだろう? とりあえず結論としては
「却下! 普段から誰かにプロレス技はかけられてる身なんだ! 部活でまで味わいたいとは思わない!!」
姉さんは不満そうに顔を膨らませていたけど、あんたがやっても可愛くはない。やったのがアキなら・・・いや、そうじゃなくてだな
「なぁ、アキはどこに入っているんだ?」
アキにはアキで危険がいっぱいなのはわかったが、それでも数少ない『比較的』安全な場所だ。部活も一緒な方が心強い
「私は生徒会に入っているから部活には参加してないわ。まぁ、たまに時間があるときに顔を出す程度のところはあるんだけど・・・」
あ~、そりゃそうか。さすがに生徒会には簡単に入りますはないしな。ってゆうか入れないしな。諦めて自分に合いそうな『安全な』部活を探すとしよう
「ねぇ! じゃあ私が入っている部活はどうかな? 調理部なんだけど」
元気に横から飛び出してきたのはママナ。調理部か~、料理は嫌いじゃないんだが普段家で作っている身としては部活でまで作りたくない気もする。とりあえず候補ってところにしておこうか
「とりあえず他を回ってみるよ。よさげなところがなかったらお世話になるかな」
「ぶ~、そこは即決しようよぉ~。でも、待っているからちゃんと来てね!」
とこちらもぷく~って顔を膨らませる。仕草は同じでも圧倒的にこっちの方が可愛いな。比較対象が姉さんなのが原因だろうけど。・・・考えてみればママナもこの学園では見た目の割には安パイなんだよな。うん、調理部・・・有りかも知れない
とまぁ、それでもこれはこれ、それはそれで一応別の部活は探す。すでに可能性の目は低そうだと思ってしまっているのが悲しいが、他にもっと安全で楽しいそうな部活がある可能性だって、けして0ではないはずだ! ・・・たぶん
「ぬっ? リュウトか・・・そうか部活巡りをしているんだな。ちょうどいい、我が格闘部を見ていけ」
とりあえずとフラフラ見て回っていた俺の首根っこを捕まえてむりやり連行するはアシュラ・・・なんで周りの連中は誰も止めないんだろう。そうか、止めないんじゃなくて止められないんだな
「今日のところはお前の鍛錬はやらないが、ここでは30人ほどの部員が自らを鍛えることに精を出してる。無論、オレとの戦いもありだ」
うわ~、前に廊下ですれ違ったイエティを初め明らかに肉体派の人間じゃない方々ばっかり・・・。その中にこのメンツだと逆に異彩を放つ見知った顔も1人いた気がしたが、きっと気のせいだろう。うん、俺はそう決めたぞ!
「りゅ、リュウト・・・ここに入るとろくなことにならないぞ~! お、俺のようになる前に早く・・・グフ!」
聞こえない! 何も聞こえないぞ! だからきっとこれは気のせいだ。だからさようならだ、ユウ=ムツキに似たような奴! そうけして本人じゃないんだ!!
「まったく、見所があると思ったゆえに『無理やり』入部させたのだが、期待はずれだな。貴様はそうはならんと・・・ぬっ、もう別のところに行ったのか案外せっかちな奴だ」
お、俺は逃げたんじゃないぞ!? あ、あくまで次の部活を探しに行っただけだ。じ、時間は無限にあるわけじゃないからなぁ~、あっはっはっは・・・はぁ
とりあえず無難なところで陸上部にでも・・・爆発!?
「こら~、そこは地雷が埋まっているって言っただろう! 危険を回避しながら早く走り抜ける! これが基本だぞ!!」
・・・うん、陸上部はやめよう。そ、そうだな体育系じゃなくて・・・おっ! パソコン部! ここなら危険は・・・なんだ? この発電中につき漏電注意って? 自家発電? うん、ドアに触れるのも危なさそうだな
その後も
水泳部
「な、なんで渦潮がプールに発生してるんだ!?」
演劇部
「あの使っている武器は本物に見えるのは俺だけか?」
野球部
「た、珠が見えない!? 着弾(?)したと思われる場所はクレーターが出来てるし!? どんな球速だよ!」
ダンス部
「・・・ブレイクダンスで周りの奴をけちらしているのは何者だ?」
などなど、どこに行っても安全とはいえない部活ばかりで
「結局、ここになるのか」
見上げる先には調理部の文字。なにせ、悩む前に他の部活は全滅だったもんなぁ。せめて、せめて! ここだけは危険とは無縁でいてくれ! ・・・絶対に部活を選ぶ基準じゃないよなぁ、これって
「ん? あ~、リュウト~! 待ってたよ~!」
ガラッとドアをかけた瞬間に満面の笑みのママナが出迎えてくれる。周りを見る限り危険物も危険人物もいそうにない。・・・ここはこの学園唯一のオアシスだ
「えっとママナ、入部届けってどこにあるのかな? あと、ここの部長さんと顧問の先生は?」
「はい! これが入部届け! あとね、ここの部長は私なんだよ~。それに顧問は私のお母さん! 驚いた?」
うん、確かに驚いたけど・・・今までの驚きに比べればこのぐらいが一体なんだと・・・ああ、俺もすでに一般の感覚から離れていってる。さらさらと入部届けに名前を書いてママナに渡すと
「うん、ありがとう! えへへ、この部はちょっと部員少ないからね。リュウトが入ってくれて助かったよ♪ 予算だけはアキのおかげで部員の割には多めだけど」
「ん? なんでアキはここを贔屓にしてるんだ?」
「別に贔屓って程でもないよ。ちょっと審査は甘目かもしれないけど・・・それはアキが直接ここに来るから良く知っているからだし」
・・・えっ? ってことはアキの言っていたたまに顔を出すところってここか。なぜだろう? アキと調理って言葉が凄く不安に感じるのは・・・
「あ~! リューくんもここに入ってくれるの~! えへへ、じゃあお祝いにわたしの料理をプレゼントだよ~」
他の人の陰になっていたようで見逃していたがレミーもここの部員だったらしい。まぁ、彼女は基本的に人畜無害っぽいから大丈夫だろう。じゃあ、折角だし・・・
「あっ! リュウト! レミーの料理は食べちゃ駄目~~~!!」
「ムグ!? ・・・そ、そのなんていうか・・・ど、独創的な味で・・・」
目が、目が回るぞ・・・こ、これは本当に危ない・・・かも・・・
「あれ? リューくん、寝ちゃった?」
「な、何を言っているのよぉ~!! す、すぐに保健室に運ばないと!!」
「リュウト君・・・またですか?」
ドクター、俺も来たくてここに来てるんじゃないんです・・・。
リュウトの部活探しは無事に終わったようですね^^
リュウト「このどこら辺が無事といえる要素があるんだ? しっかりと保健室に放り込まれているじゃないか!」
レミーの毒入り料理(文字通りの意味、本人は毒が効かない)を食べて、この作品では一応普通の人間のキミが生きていたというのは十分に無事の範疇だと思うけど?
リュウト「生きてさえいれば無事・・・俺は一体どんな学園生活を送る羽目になるんだ・・・」
さぁ? まあ次は学校じゃなくて家での話になるから命の危険はないよ・・・たぶん
リュウト「家には家で姉さんがいるからなぁ。まぁ、それは今までも同じだったわけだから大丈夫だろう・・・たぶん」
アキ「そなたはまだマシじゃ。私の家にはメイがいるのじゃぞ? 今回の騒動について色々言われるのは火を見るより明らかだ」
まぁ、そこらへんはヒーローとヒロインの宿命だと思って!
リュウト「普通、学園物の主役は命の危機には直面しない!」
アキ「ヒロインだというならリュウトと付き合う権利ぐらいは保障せい!」
え、えっと・・・お後がよろしいようで><
リュウト/アキ「待て~~~!!」




