5話 「保健の授業はデンジャラス?」
ここは? 俺は一体どうしたんだっけ?
「気がつきましたか? 転校初日に2度もここに運び込まれたのはあなたが初めてですよ、リュウト君」
ドクター? そうか、俺はまたここに逆戻りか・・・。しかし、今回は倒れる要因が思いつかないのだが? たしかアキの弁当を・・・思い出さないほうがいい気がしてきたな
「まったく、2度もあの子が泣きながら保健室にやってくるなど珍しいことこの上ないですよ。まぁ、諸悪の根源ははっきりしてますが・・・」
お、俺か? 俺なのか!? いや、どっちかといえば姉さんじゃないのか? ・・・今回は関わってないか
「ああ、あなたのことではありませんので安心してください。世の中には知らないほうが幸せなことも多いのですよ。・・・さぁ、今から戻れば5時間目の開始前には教室に戻れますよ? 彼女を安心させてあげてください」
教室のドアをガラッっと開けると一斉に俺に向く視線。その中でも特に・・・
「リュウト~~!! 大丈夫!? 大丈夫なの!? 急に倒れちゃったから心配したんだから~~!!」
視線とよりは突進というべき勢いで泣きながら抱きついてきたアキだろうな。・・・ああ、周りの視線が痛い。好奇とやっかみと嫉妬が入り混じったようなこの視線
「ム~? つまりリューくんが倒れて、その原因はあーちゃん?」
「ア~キ~? あんた、まさか・・・もうリュウトを襲っちゃったの? うう、まさかお堅い生徒会長さんに負けるなんて~~! でも、まだ私はあきらめないんだからぁ~」
よくわかっていないような顔で言うレミーとちょっとアキを睨みながら不満げな顔で言うママナ。同じような顔つきの女生徒たくさん・・・一体何がそんなに不満なんだろう? あとはアキに抱きつかれているという状況にだろうか男共のやっかみの嵐が俺に突き刺さる
しかし、アキの言うみたいに嫌われているって感じはしないな。どっちかというと愛すべき不器用って認識のような? おもちゃにされているとも言うが・・・
「ちょ、ちょっと! 私は何にもしてないって! 何故か急にリュウトが倒れちゃったってだけで・・・」
あはは、ホントなんで倒れたんだろうな、俺
「ほらほら、もうチャイムは鳴っているわよ? 坊やに子猫ちゃんたち? 早く席に着きなさい」
突然聞こえた声に振り向くとそこにいたのは・・・なぁ、なんで俺は目隠しをされているんだ? アキ?
「見ちゃ駄目。毒だから」
「アキちゃん? ・・・どういう意味かしら?」
「ご自分の格好を見てから言ってくれますか? ルーン先生?」
確かに一瞬見えた格好はかなり際どかったが・・・その手の格好は姉さんで見慣れてるからな
「まぁいいわ。で、この子が噂の転校生くんね? あら、話に聞いていたとおり可愛い子ね! どう? 私も彼氏募集中なんだけど?」
「ルーンせ・ん・せ・い? 授業を始めてくれますか? それとどこで噂になっているんでしょうか?」
「もう、せっかちさんねぇ。噂はあなたのおね・・・いえ、理事長がね」
おね? う~ん、普通に考えればだが・・・アキにも姉がいるのか? それも理事長?? いや、アキの家族構成がどうであろうとも俺たちの友人としての付き合いには関係のない話か。・・・で、アキ? 俺は何時まで目隠しをされていればいいんだ? 見えなくても何故かはっきり感じ取れるどす黒いオーラが怖いんだけどなぁ、あっはっはっは・・・
「じゃあ、保健の授業をはじめましょう・・・」
妖艶な笑みを浮かべる先生・・・ルーン=スクリームって名乗ったこの人だが、その笑みを見ている奴は少ないだろうな。特に男連中は・・・
では、どこを見ているのか・・・それを言うと、って言うか見ると俺は殺されそうな気がする。そう、俺の前の席で未だにどす黒いオーラを出しているアキと右隣にいるママナあたりに・・・。左は安全だな。授業開始と同時に熟睡しているレミーだから・・・
「せ・ん・せ・い? 教卓は座るところではありません!」
「あら? いつもどおりじゃない? 立ちぱっなしじゃ疲れるでしょ?」
前のアキの顔を見る勇気なんてない俺にもアキの顔には青筋が浮かんでいるんだろうな~とわかる声色とクスクスと楽しそうに話す先生の声が対照的で・・・とにかく怖い
「だったら椅子に座ってください! いつも座っているからといっていいって訳ではありません!」
まぁ、言っていることはアキが正論だと思うのだが・・・この学校はアキで持っているのではないのだろうか?
「あら? この授業は保健よ? 女の子の体を勉強するのも立派な授業だわ。ほら・・・」
先生が組んでいた足を組みかえると『おお~!!』と周りから歓声が聞こえる・・・男限定でだが。とりあえず、下着ははいてない・・・と
「リュ~ウ~ト~? 今なんかへんなこと考えなかった~?」
「奇遇だねぇ~、アキ。私もそんな気がしたんだぁ~」
あはは、なんでピンポイントでそんなことがわかるんだろう? っていうかなんで俺だけなんだろう?
「スゥスゥ・・・えへへ、ア~く~ん♪」
一人夢の世界に旅立っているレミーが心底羨ましい。いっそのこと俺も寝てしまうか? いやすでに手遅れだな
「フフフ、リュウトくん? もっと見てもいいのよ?」
だからなんで俺なんですか! お願いしますからこれ以上アキたちを刺激しないで下さい! 俺はまだ自殺願望はないんです!!
ピシリ・・・突然聞こえた音の正体はわからないが、なんだろう? さっきから冷や汗が止まらないなぁ~。あはは、事態が好転する雰囲気がまったくないもんなぁ~
「そうですかぁ~。だったら私の鞭を先に味わってくれませんかぁ? 体をみるのが授業だって言うならSMでもやりましょうよ~?」
あはは、アキ・・・なんでキミはそんなものを持っているのかな? っていうかそれは殺傷能力がある鞭なんじゃないか??
「え、えっとアキちゃん? どっちかといえば私の方がS役かな~って思うんだけど?」
「そうですか? でもこの鞭は私の私物ですから♪」
そうか・・・アキの私物なのか。うん、絶対にアキは怒らせないようにしよう。唯一の安らぎが消えるのも早かったなぁ・・・
「あははは・・・じゃ、じゃあ今日の授業はここまでね。あとは自習ってことでよろしく~~!!」
さすがに鞭で叩かれるのは嫌だったらしく教室から逃げ出して行ったルーン先生・・・でもなぁ
「リュウト~、じゃあゆっくりお話できるね」
「私も参加してもいいよねぇ~」
俺のピンチは加速しただけではないだろうか・・・。誰か助けてくれ~~~!!
「思ったよりもアキちゃんは手ごわいわね。あの坊やを手に入れるためには彼女を何とかするのが先決というわけね。フフフ、理事長・・・あなたの挑戦状受けてあげるわ!!」
アキ「害虫駆除完了」
いやいやいや! 前回、平和的に解決してくださいってお願いしたじゃないですかぁ~~! っていうか僕が話し出す前にコメントしないで下さい~~!!
アキ「些細なことだ。しかし、最後のルーンのセリフ・・・聞き捨てならないな。黒幕はメイか」
そうみたいですねぇ。さらに未だに出番なしの校長のレーチェルもいますから・・・。最悪の場合敵にまわしたらいけない3人組を揃って敵に回すことに
リュウト「俺はもっとピンチなんだけど? 姉さんにアキにママナにルーンってどんな拷問だ!? それに前回のあとがきを考えると最低でも彼女も参加してくるんだろ!?」
そりゃもう! メイの策略ってことを考えるとその程度では終わらないでしょうね。まだ他にもいるでしょう? リュウト争奪戦に参加してきそうな未登場キャラは?
アキ「他にも? ま、まさか、あいつらまで出てくるのか・・・」
リュウト「これ以上混沌としてきたら本当に俺の命がいくつあっても足りないんだが・・・」
そこはほら? 主人公補正で♪ それにそのうち何人か脱落していくんじゃないかな? 例えば密かに人気のあるアキとかが・・・はっ!?
アキ「そうか・・・先ず私が・・・か。どうやらメイやルーンの前に駆除しておかねばならない者がいたらしい」
あはは、か、仮にも僕は作者なんですが・・・?
アキ「私たちの邪魔をするものは全て敵という名で問題ない。・・・ちょうど愛用の鞭も手元に戻ってきたことだ。今日はこれでじっくりと行こう」
え・・・えっとリュウト?
リュウト「暴走したアキを俺が止められるとでも思っているのか? ・・・止める気もないがな」
あはは、それでは皆さん、さようなら~~みぎゃあああぁぁあ><




