3話 「体育教師現る」
悪夢の自己紹介(まで行かなかったが)は現在姉さんとアキのにらみ合いが展開している。・・・訂正する。一方的に睨む姉さんと状況についていけずにドギマギしてるアキという構図だな。あんたは本当に教師か?
そのとき、キンコ~ンカンコ~ン・・・とゴング、じゃなくてチャイムが鳴る
「どうやらゴングに助けられたようね、アキさん! でもね、勝ったとは思わないことよ、勝負はこれからなんだから」
というなり教室を出て行く姉さん。っていうかあんたにもゴングに聞こえたんだな。
しかし、疲れた~と一息つく暇もなく
「ねーねー、リュウトだから・・・リューくんって先生の何なの~!」
「羨ましい! 羨まし過ぎるぞ! コンチクショウ!」
「ぶ~、ねぇ暴力教師やお堅い生徒会長よりも私の方がいいと思わない?」
とあっという間に周りを取り囲まれることになってしまった。ああ、昨日まであった平穏は一体どこに行ってしまったのだろう
「コラ~! 1時間目は体育でしょ! 喋っていないで更衣室に行きなさい! ・・・な、なによ?」
いまや俺の唯一の救いの女神に思えるアキの声に一斉に好奇の視線が注がれる。アキも騒動の当事者だからたなぁ~
「そんなこといってリューくんを独り占めするつもりなのかな~、あーちゃんは?」
「そ、そんなことはないわ! レミー!!」
どうやら、俺をリューくんと呼ぶ天使っ子の名前はレミーというらしい
「あ、私の名前はママナだよ。覚えておいてね!」
アキに追われながら名前を言っていく悪魔っ子。そして・・・
「ほら! 男子たちはリュウトを案内してあげなさいよね!」
去り際のアキの言葉にヘイヘイとやる気のない言葉を返したその男子たちは・・・
「んじゃ、行くか。体育着は持ってるんだろ?」
「ああ」
「じゃ、案内してやるから付いて来い。行きながらたっぷりと話を聞かせてもらうぞ?」
話すことなど何もないんだけどなぁ~。ん? な、なんだ! アレ!?
「なぁ、今通りかかったのは一体なんだ?」
「ん? イエティだろ? この学園では珍しくもない」
いや、ユーマが平然と歩いている学園って一体何なんだよ
「そんなことよりたっぷりと聞かせてもらうぞ。お前のこと!」
・・・勘弁してくれ
・・・変わり者ぞろいだとは思っていたが教師もか!? いや、姉さんがいる時点で気がつくべきだった
「そこのもの、さっさと整列しろ」
無愛想にそういう教師。いや、それ自体はまだよしとしよう。問題は・・・
「狐?」
見た目が完全に狐だということだ。もっとも2足歩行する狐など俺は今まで見たことないが・・・
「体育教師のアシュラ=ストロング先生だ。あんまり変なことを言うと目をつけられるぞ」
俺を更衣室に案内してくれた男子生徒がそう小声で忠告してくれる。・・・そうか、ここでは俺の感覚の方がおかしいのか
「ふん、転校生か。名前はリュウト=アルブレス・・・よかろう。他のものはランニングをしていろ。男は10週、女は7週だ! 終わったら休んでいてもいい。貴様はこっちだ」
有無を言わさずに俺を引っ張っていくアシュラ先生。とはいってもグランドの中央にだが
「で、何をやればいいんです?」
「ふん、ただの短距離走だ。最近の奴らはどいつもこいつも貧弱でな。オレの感覚で鍛えると問題になる。そこで先ずは能力を見ようというわけだ。貴様はオレを満足させる力を持っているかな」
本当にこの学園の教師は問題がある奴らばかりか? 満足させたらさせたで面倒な気もするが、正直俺もフラストレーションが溜まっているしここで発散させてもらおう
「うぉぉおおおおお!」
カチッという音をたててストップウォッチが押され、それを見たアシュラ先生の口元にニヤリと笑みが浮かぶ
「この学園に来たばかりで100m12秒前半か。ふむ、鍛え抜けばオレのライバルたる存在になれるかも知れぬな」
なんだよ! そのライバルって言うのは!? ここは学園で、あんたは教師! 俺は生徒のはずだろ!
「さて、ではこちらに来い。残りは瞬発力、腕力、脚力・・・エトセトラ・・・というところだ」
そ、そんなにやるのか!? いや、その前に
「他の連中はいいんですか? グランド10週ぐらいならそこまで時間はかからないのでは?」
「敬語などいらん。貴様はオレのライバル予定だからな。名も呼び捨てでいい。さて、貴様の疑問に答えてやろう。オレは走る場所をグランドなどと言ったか?」
・・・いや、確かに言ってはいないが。そしてグランドを走っている奴もいないが。では一体どこを走っているんだ?
「この学園は特殊な磁場があるようでな。ここで鍛えると身体能力が大きく上がる。走るのはこの高等部の校舎周辺だ。たかだか1週2Kmほどだが、奴らなら1時間フルにかけるだろう」
1週2Kmか・・・えっ!? ってことは10週だと・・・ほぼハーフマラソンじゃないか!? 女子の方だって14Km、アキなんてあんな小さな体してるのに大丈夫なんだろうか?
一方その頃
「アシュラ先生にしては軽い運動を指定してくれたね~」
「うんうん、アーくん普段厳しいもんね~。」
「あの先生をアーくんなんて親しげに呼べるのはレミーぐらいのもんよ?」
「ム~、結構アーくん優しいよ? まーちゃんも呼べばいいのに・・・」
「コラ! そこの2人! いくら軽い運動とはいえ、一応授業なのよ! 真面目にやりなさい!!」
「「は~い。」」
どうやら、リュウトの心配は杞憂なようである
「ふうふう、これで最後だよな?」
「ふん、これしきでばてるとは鍛錬が足らん。だが、安心しろ・・・貴様がオレを楽しませるに足るものになるまでオレが鍛えこんでやろう」
どうやらアシュラ先生・・・いや、アシュラが言うにはこいつは格闘部とかいう危険極まりない部活の顧問でもあるらしい。別に入部を誘われたわけではい。部員ではなくても部室にさえいれば怪我をさせても問題はないらしい・・・って入部を誘われるよりも余計まずくないか! それは!!
「くっくっく、楽しみな奴が入ったものだな」
楽しそうに笑うアシュラと反対に俺のテンションは下がっていく一方だった。・・・本当に帰ってきてくれ、昨日までの平穏よ
え~、まだ転入して自己紹介をして1時間目を受けただけのはずなんですが・・・色々と精神的なダメージが重なっているようですね。
リュウト「受けないほうがおかしいだろ! この学園!! っていうかなんなんだ1時間で20キロのランニングって! 本編じゃないんだぞ!」
本編では(戦闘時、リュムの能力増強つきとはいえ)音速の数十倍で走り回ったり、(寝起きや就寝前の)軽い運動で400キロ走ったり最終的には光速なんて遅いねの奴が何を言う。っていうかエルフやら天使やら悪魔やらイエティなんかが大量にいる学園が普通なわけがないだろう? とりあえず魔法はない、戦いも(本編のようには)ない。で一応学校というだけだ。
アキ「魔法はやはりないのか。では私は不利だな」
まぁ、その半面鞭スキルは本編よりも上げておくから♪
アキ「ならよかろう」
・・・うっかり見逃してたけど、もうすっかりあとがきで番外編キャラを守るつもりないでしょ?
アキ「うむ、今更番外編のキャラで話すよりもこっちの方が楽だと気がついてな。まぁ、あとがきまで読んでくれているものはそのようなこと気にはするまい」
・・・いいのだろうか、それで?
リュウト「その前にアキの鞭スキルが上がるって・・・学園でもアキは鞭使うのか?」
それが?
アキ「何か問題あるか?」
リュウト「問題ありまくりだろ!? 俺にはリュム(竜神剣)はいないんだぞ!」
学園で剣を振り回すわけには行かないだろ?
アキ「銃刀法とかといったか?」
リュウト「・・・鞭はいいっていうのか!? となるときっとメイも・・・。はぁ、俺には竜の血も竜神の力もないのに」
その代わり、身体能力は人としては高くてアシュラの特訓もあるみたいだから♪
リュウト「それが余計危ないんだ~~~~!!」




