1話 「転校初日」
学園パラレル編は本編とは全く関係のない話です
竜神伝説のキャラたちがとある学園の生徒や教師だったらどうなるか・・・でも魔法はないけど普通の学園じゃやっぱりありません
ここは某国の某都市にあるという私立竜神学園。・・・こんな名前だが暴力団の育成学校なんかではけしてない。幼稚園から大学までのエスカレーター式の一流校だ
そして俺の名はリュウト=アルブレス。本来、こんな一流校に通えるほどの金も頭もないのだが、何故か今日からここの高等部に通うことになる。ことの起こりは1週間前・・・
「あ~、リュウトくん」
ニコニコ~って人のよさそうな顔を『表面上』は作りながら、話しかけてきたのはマリア=ストル。両親を幼い時になくした俺を引き取ってくれたご近所さんだ。俺もその昔は憧れていたこともあるように黙って立ってさえいれば美人って言われるんだろうけどなぁ~
「ん? 何? 姉さん」
ちなみにこの人、姉さんって呼ばないと怒る。それはもう激怒する。抵抗は・・・するだけ無駄だと諦めた。なお、本人は『マリアお姉さま』ならなお良しなどとふざけたことを言ってくれたがこちらは全力で却下した
「実はねぇ、私、転任することになったのよ」
姉さんの仕事は高校教師。怒ると容赦なくプロレス技を仕掛けたり、子供以上にたちの悪い大人の悪戯を仕掛けるこの人がどうしてなれたのか、俺は世界の七不思議に加えてもいいと思っている
「そうか、まぁ俺ももう子供でも無いし、バイトでもしながら暮らすから大丈夫だよ」
正直不安はある。慣れ親しんだ姉さんとの別れも寂しくもある。だが、若い女性(まだ25歳なのだ)の家に俺のようなものが居候していると言うのも問題はある。・・・もっとも、この人に彼氏がいないのはもっと根本的な理由だとは思うが。ともかくこれ以上姉さんに迷惑をかけるわけにはいかない・・・と思ったのだが
「な~に言ってるのかな~! リュウトくんも一緒に決まってるじゃない」
「はっ?」
「はい、これ。転校先の学校のパンフレット。勿論、私が赴任する学校よ♪ 拒否権なんて無いからね!」
「はぁ~~~!?」
と、こんな感じである。はっきり言ってパンフレットなど読む気にもなれず、放置していたのだが転入試験もなしで教師の家族を(それも無償らしい)受け入れた学校がこんな一流校なんて誰が想像するだろうか。・・・姉さん、一体何をやらかしてこんな無茶を押し通したんだ?
「まぁ、ともかく・・・高校区画の職員室ってどこだ?」
まったく、こんなに広いんなら案内の一人でもおいて欲しいものだ。あ、いやパンフレットには地図が載っていたのかな? 読んで無いけど
「ん? あなた、見かけない顔ね。転校生? とりあえず名前を言いなさい」
いきなり声をかけてきたのは中学生くらいの女の子(何故か耳が長いのは見なかったことにしよう)。偉そうな口ぶりが印象的だが、黙っていれば可愛いって言う感じかな? 俺の周りにはどうしてあくの強い女性ばかりが集まるのだろう? まぁ、ここは先輩として一応・・・
「キミは中等部の子かな? 先輩にそんな口ぶりは感心しないぞ」
俺はあんまりそういうことに拘るほうでは無いんだが、こういったことを教えてあげるのも年上の勤め。ただし、怯えさせないように明るく笑顔で・・・?
「だ、誰が中等部ですって!? 私はあなたと同じ高等部よ! 制服を見ればわかるでしょ!」
えっ? 制服って変わる・・・のか?
「パンフレットの51ページ! さっさと開く!」
俺がわかっていないと感じ取ったのか、苛立ったように女の子は言う。それにしたがって焦って鞄を漁る俺も相当に情けないに違いない
「こっちが女子中等部の制服、こっちが女子高等部の制服よ」
あ~、たしかにまったく違うな。んで、この子のは高等部の制服だと
「ご、ごめん。ほら、俺今日転校したばかりでさ、こんな細かいところまで覚えていなかったんだ」
本当は一字たりとも読んではいないのだが、一応こういう。(本を読むのは好きなんだが、パンフレットなんて何の面白みも無いものなぁ)
「くすっ、しょうの無い子ね。その様子だと職員室の場所もわからないのでしょう? 私が案内してあげるわ」
あ、笑った! ちょっと小ばかにされた気もするが今の笑顔はちょっと可愛かったな。それに思ったよりも面倒見がよくて優しいようだ
「ああ、ありがとう。俺はリュウト、リュウト=アルブレスだ。キミは?」
今更無駄な気もするが、自己紹介の基本はにこやかな笑顔。初対面の印象は後々まで尾を引く大事なことだからな
「わ、私はアキ=シルフォードよ。あ、あなたは特別にアキと呼ばせてあげる。その代わり私もリュウトって呼ぶわ」
「うん、よろしく。アキさん」
「・・・アキさんじゃないわ。アキよ」
「・・・じゃあ、あらためて、よろしく、アキ」
「う、うん」
なんだろう、こんな人初めて。私の耳、絶対珍しいのに何にも言わなかった。それにきっと私の態度癇に障るものだったと思うのにあんなに可愛くて綺麗な笑顔・・・。プルプル、だ、駄目よ。私は高等部の生徒会長なんだから! あ、甘い顔をしてたら駄目なの! その・・・特定の生徒を贔屓しちゃ駄目なんだから
で、でも・・・私の物にしたいなぁ・・・きゃ~、私ったら何を考えてるのよ~~~!!
何故か赤くなったり青くなったり、真剣な顔をしたと思ったらにやけてみたりと百面相をやっているアキの案内で俺は職員室までは来ることができた。きっと、1人だったら相当迷っただろうな
「先生、転校生を連れてきましたが・・・」
「お、アキさん。さっすが生徒会長ね。気が効くわ♪」
俺はその声を聞いた時に思わず、回れ右をして帰りたくなった。なんとなくこの先の展開が予想できる
「はい! リュウトくんの担任の先生のマリアお姉ちゃんです。よろしくぅ~♪」
・・・姉さん、本当に一体どんな手段使ったんだ? 普通身内が担任ってありえないだろ?
「(リュウト、私が生徒会長って聞いても驚かないでくれた。ドキドキ・・・じゃなくて!)せ、先生? いくらなんでも転校生にいきなりそんな態度は! いえ、前々から思っていましたが、もう少し教師らしく・・・」
「ん? ああ、この子は私の彼氏って言いたいけど弟みたいなもんだからね。ん~? アキさんその顔はさてはリュウトくん狙ってるな~? 駄目よ~、いくらアキさんでもリュウトくんはあげないんだから」
「ね、狙ってません!」
はぁ、アキもこの破天荒教師には苦労してるんだろうな。っていうかまだ転任してきてそれほど経っていないはずなんだけど・・・
「アキ・・・この人のペースで話すとなにも出来なくなるから。で、ねえ・・・じゃなくて先生、俺の教室は?」
危ない危ない、つい姉さんって呼ぶところだった。一応ここでは教師と生徒だからな。姉さんに自覚があるかは怪しいけどちゃんとけじめはつけないと・・・
「せ・・・とよ・・・い・・・。」
ん? 今なんていった? ぐへ!? へ、ヘッドロックって!?
「先生と呼んじゃ嫌~! お姉ちゃんと呼びなさい!」
なっ! 身内に姉さんとか母さんとか呼ばれて先生と呼べっていう話は結構あるけど、先生と呼ぶなってあんたホントに教師の自覚あるのか~!!
「せ、先生! リュウト、泡吹いてる! これ以上やったら死んじゃいます!!」
「お姉ちゃんがいいの~~~!!」
ああ、視界が白く・・・どうやら教室の前に保健室に行くことになりそうだな
リュウト「こっちの世界でも俺は倒れることになるのか・・・。でもアキは大分雰囲気が違うな」
立場に応じて言葉遣いも変える。結構アキは芸達者なのです
アキ「芸でやってるわけじゃないんだけど・・・。だって普通、じゃないみたいだけど女学生が本編の女王様と同じように話したらさすがにおかしいでしょ?」
そこがいいって言う人もいそうですけどね。まぁ、どの道中身は変りません。そしてやっぱりリュウトにはさっそくKOされています^^しかし、なんというかこのアキは・・・ツンデレ風味?
アキ「違うわよ!」
リュウト「しかし姉さんが担任の時点ですでにカオスだけど、他の人の配役は? って言うか本当にこれ続くのか?」
試作の上に番外編ですからねぇ。読者の皆様の反応しだいということで、ネタに詰まったら息抜きで書くかもしれないけど、本編はプロット最後まであるから読みたい人がいなければこのままお蔵入りかも
リュウト「逆を言えば読みたい人がいれば書くってことか。で、配役は?」
アシュラが体育教師!
リュウト「まぁ、適任だな」
ルーンが保健の先生!
アキ「ちょっと待て! なんでルーンがいるのだ! 彼女は敵なのだぞ!?」
・・・アキ、本編にキャラが戻ってる。いや、この世界では敵じゃないし・・・他の担当できると思う? あのルーンに・・・。
アキ「保健も出来ぬと思う。というよりはリュウトが狙われる。・・・奴には路上の水商売のお姉さんで十分だ。むしろ出てくるな」
健全小説だから! そんなキャラ出せないから! で、リュウトを守るのはアキに頑張ってもらうと♪ あとはレミー・ママナは同級生、ドクターは保険医、レーチェルが校長で、メイが理事長
アキ「ほ、他はいいとして、なんでお姉ちゃんが理事長!? また私の普通が失われていく」
レーチェルとどっちにしようかと悩んだんですが、レーチェルに経営は出来ないだろうと・・・。っていうよりもアキ、キミが普通を望むのが間違い
リュウト「アキ、俺この学園で無事に過ごす自信ないんだけど」
アキ「大丈夫、私もまったく無いから」




