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竜神伝説 番外編  作者: KAZ
幸せのユートピア
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14話 「プレゼントの入手法」

 今日は孤児院に行商人が来る日・・・とは言っても町に行く行商が孤児院に泊まっていくついでに売ってくれるだけなんだが


「えっと、これはいくら?」


 そんな中、俺が目を付けたのは一袋のお菓子。それ自体は別に欲しいわけではないんだが、袋を縛るのに使っているリボンが欲しかった・・・それをプレゼントなんて言ったらママナ姉ちゃんは怒るだろうか?


「これかい? 正直売れ残りでね、元値はそれなりにするし、町にもっていけば百は必ず売れる。ただねぇ、次の町までに腐るまではいかなくても売れる状態かというと・・・よし、大まけで30ジルでどうだい?」


「買う!」


 姉さんたちが珍しいものを見たという顔で俺を見ているが正直気にならない。俺としてはママナ姉ちゃんにプレゼントできるものができたというだけで十分・・・あ、中身のお菓子は行商人が帰った後に弟・妹たちにプレゼントした


「リュウトくん、私には?」


 なんて手を出してきた姉さんにはどうしようかと思ったけど・・・




 そうやって手に入れたリボンをいつ渡そうかと、いざ渡そうとすると妙に緊張して渡せなかったりで数日が経ち


「リュウトくん、今日からは森に行っちゃだめよ」


 朝、唐突に言われた姉さんの言葉が気になった。なにしろ今日『は』でもなく今日から『しばらく』でもない。まるでもうママナ姉ちゃんに会うなって言っているみたいじゃないか。前に姉さんが言っていた討伐隊だって二週間前に終わったはずだし


「・・・いつまで?」


「ずっとよ。もう、あの子に会いに行っちゃだめ」


「なんで!!」


 答えられた返事につい感情のままに言ってしまう。俺にとってはママナ姉ちゃんは姉さんや孤児院のみんなと同じぐらいに大切な存在なのに


「・・・また討伐隊がくるのよ。森の中に女の子の悪魔がいたって・・・夜になにかと会話していたのを見たっていう人がいたの」


 悪魔、ママナ姉ちゃんがそう呼ばれる種族であることは知っている。あの森の中にいる悪魔がママナ姉ちゃんだけだということも・・・つまり討伐隊はママナ姉ちゃんを狙っていて、見られた会話は俺との・・・っ!


「リュウトくん! 待ちなさい! ダメなの・・・あの子に会っていたらあなたまで・・・」


 俺は自分でも気づかないうちに走り出していた。後ろで姉さんが叫んでいたことも聞こえていたが、止まれなかった




「ママナ姉ちゃん、どこだろう」


 迷いの森なんて呼ばれる森の中、いつもだったら夜に入り口で指笛を吹けばママナ姉ちゃんの方からやってきてくれるが、今回は勿論違う。かと言って前のように指笛を吹きながら移動したらママナ姉ちゃんを狙っている連中まで呼んでしまう


「いやだ、絶対に」


 脳裏に誰とも知らない連中に襲われて殺されるママナ姉ちゃんの姿がよぎる。ママナ姉ちゃんが見つかったのは俺なんかと話をしていたからだ。俺のせいで誰かが傷つく。命を狙われている。それは今まで感じたこともないほどに大きな恐怖だった


「・・・!?」


 森の中で聞こえた声。魔獣のものでも魔物のものでもない。もちろん、ママナ姉ちゃんでも・・・だとしたらこの森に住むというエルフか、それとも討伐隊。だからこそ、俺は耳を澄ませる


「はっ、こんなおいしい仕事もねぇぜ。お前もそう思うだろ?」


「・・・ああ、悪魔とはいえまだ小さい女だという。それも被害などまったく出ていないところを見るとろくに戦えない臆病者・・・その割にこの討伐金額はあまりにも高い」


「それに話していたっていうやつも男だが、まだガキだって話だ。悪魔か魅了されたバカなガキかは知らねぇが、悪魔ならばそいつも殺せばさらに報酬が上乗せだぜ」


 俺も対象ってことか、そして姉さんが言っていたことの意味はこれか・・・そんな冷静な思考もわずかにはあったが、無害であることが分かっていながら金なんかのためにママナ姉ちゃんを殺そうとするこいつらが心底憎かった


 そして気が付いた時には俺は一人血だまりの中にいた。俺は本当になぜ? 嫌悪感といら立ちがある。罪悪感だけはあまりないのがせめてもの救いなのだろうか? そして足元に落ちていた石・・・ただの石じゃないみたいだが、姉さんにあげると余計な詮索が入りそうだし、あのリボンでも巻いてママナ姉ちゃんのところに持って行こうかな?

こちらではお久しぶりです。意外と手間取った今回の話はママナへのプレゼントの話。3部に出てきた石と8部で触れられているリボン、どちらもママナがリュウトからの最初のプレゼントと言っていた理由がこれです


ママナ「同時にもらったものだから、どっちも最初で間違いないよぉ」


リュウト「お菓子の袋を縛っていたリボンだけというのは子供ながらにどうかと思ったのもあってな」


マリア「意外とこういうところはまめなのよね、リュウトくんは」


とこんな感じの裏事情でしたというところでしょうか。次回は肝心のプレゼントを渡すところになります。今回ほどはお待たせしないと思いますのでどうかお待ちいただければと思います。では

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