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竜神伝説 番外編  作者: KAZ
幸せのユートピア
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11話 「するべき行動」

 朝、目が覚める。全身がひどく痛いのはなんなのだろう・・・ううん、本当はわかっている。ただ、それが悪夢だと現実から目をそらしたいだけだって


「やっぱり夢じゃないか」


 壁と床にこびりついた血、記憶にある光景よりはだいぶ薄くなってはいるけど木材に染み付いた血はそう簡単に隠せるもんじゃない


「ああ、それ? ちょっと私が擦りむいてね・・・なによ?」


 目の下にクマを作っているあたり必死で隠そうとしてくれたのは嬉しい、けれどあまりといえばあまりな理由を持ち出してきた姉さんにジト目で俺は応える


「いちいち説明がいる?」


「・・・悪かったわよ」


 自分でも無理があると思うんだったら言わないで欲しいという思いと、無理矢理にでも捻り出したのだろう答えに少し嬉しい思いがする


「だいたい先生は・・・」


「リュウトくん?」


 へっ? と姉さんの声に疑問の声を発し


「あっ・・・」


 それはどっちの声だったのか、ともかく俺の意識は闇に沈んだ





「ちょっとやりすぎちゃったかしら? リュウトくんならば大丈夫だとは思うんだけど、やっぱりあれは体に負担がかかって疲れているのかしら?」


 少しやりすぎたって言ってもスキンシップで気絶してしまった・・・のはいつものことかしら? でもそれでよかったのかもしれない。私も頑張ったけど血の跡はやっぱりそう簡単には隠せなくて、板の張替えなんてやっている時間もなかったし


「リュウトくん、ここから出て行くなんて言わないわよね」


 体は大丈夫でも心は大丈夫ではない。普段は優しくて臆病なリュウトくん、自分がやったことに怯えてほかの誰かを傷つけることが怖くて出て行ってしまうかもしれない。それが今の私にとって一番怖いこと。ここにいる誰もがリュウトくんのことが大好きだっていうのに


「大丈夫よ、きっと」


 私の独り言を聞いてこんな事を言うのは私を除けばここで一番年上のエルザちゃん。この子はもうそろそろ独り立ちする時期なのかもしれないし、こんないい加減な事を言う子じゃないと思うんだけど


「どうしてそう思うのかしら?」


「あら? 愛する姉を放って出ていくような弟じゃないわよ、リュウトは」


「愛するって・・・わ、私とリュウトくんはそんな関係じゃないわよ!?」


「誰も姉さんのことだなんて言ってないわ。リュウトくんが愛する姉って言ったら私のことでしょ?」


 二人してにらみ合う。なぜだかわからないけど、ここで引いたらダメな気がするわ


「あのね・・・」




 どこからか聞こえる言い争うような声で俺は目を覚ます。体がピキピキと痛むことからきっと姉さんの所為で気絶したんだろうな


「・・・でもこれが最後か」


 外で生きていけるだけの力と知識は持っていると思う。アランさんからもらったこの力と知識でみんなを守るんだってそう思っていたけど万が一それが俺の守りたいものに向かったら・・・記憶のない、けれど感触だけは残った暴走は俺にそう思わせるには十分すぎた


「出ていかないとな」


 どれぐらい思い悩んでいたのか明るかったはずの外はすっかりと暗くなり、聞こえていた言い争う声ももう聞こえなかった。部屋の外に何故か姉さんとエリザ姉さんがいるのは気がついていたが中から天井の板を外せるような足の踏み場はないし壁を壊すわけにもいかないから普通に出よう。何でもないように出ればきっとわからないさ


「あら? どこに行くのかしら、リュウトくん」


「ちょっと風にあたりに・・・って一体何があったんだ!?」


 予想どうりの言葉に当たり障りのない返答を・・・っと思ったらそこにいたのは顔中に引っかき傷を作った姉さんと両手両足を固定したエリザ姉さんが


「いたずらな子猫ちゃんと軽いスキンシップしていただけよ」


「相手の両手両足の関節を外すのが軽いスキンシップなの?」


「リュウトくんと同じ感覚だったのよ。あれでもだいぶ手加減したのよ? ちゃんと関節だって入れたじゃない」


「私はリュウトくんとは違って入れられてもすぐには動かせないんだけど」


 つまり姉さんとエリザ姉さんは喧嘩をしたわけか。珍し・・・くもないか? でもこんな騒動も今日で最後なんだって思うとこみ上げてくるものがあるな


「で、リュウトくんはどこに行くのかしら?」


「だ、だから風に当たりに・・・」


 さっきまで言い争いをしていたはずなのに俺の方をじっと真剣な顔で見る姉さんたちにたじろいで


「リュウト、ただ風にに当たりに行くだけならば、どうしてそんなに泣きそうな顔をしているの?」


「べ、別にそんな顔なんて・・・」


 しているのかもしれない。エリザ姉さんの言葉にそう思う。ただ、それを認めるわけにはいかないというだけで


「ここにリュウトくんを怖がる子はいないわ。でもね、あなたがここを出ていくことを怖がる子はいっぱいいるの」


 ふわりと笑って俺を胸に抱きしめる姉さん。そんなことを言われたら出て行きたくなくなってしまうじゃないか


「姉さん、なんてずるいことしているの。私にもリュウトを抱かせてよ!」


「ダメよ。これはお姉ちゃん特権」


「私だってリュウトのお姉ちゃんよ! 姉さんはリュウトにとっては先生でしょ!」


 あ、あのエリザ姉さん? 両方から抱きつかれるとその呼吸が・・・そのまま俺が再び意識を手放すのはもう少し後のこと

というわけで、まだリュウトが呼吸が必要な時代でした・・・なくても大丈夫な今が異常なんですけどね


マリア「リュウトくんがまだ人間やっていた時代よねぇ。あと、私のお姉ちゃんぶりがすごいわね!」


ママナ「関節外されてもすぐ動けるようになるとか・・・人間ってそうだっけ? 私は一応悪魔だからよくわからないけど」


リュウト「あの当時はまだ力も受け継いでいないし人間の範囲内だったはずなんだが、そういわれるとな?」


つまるところリュウトはかなり初期の頃から人間離れしていたってことですね。さてさて、そろそろリュウトの物語も大きく動き出す頃。次回も更新されましたらよろしくお願いします

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