表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

後日談

先輩からメールが来た。

こうしてやり取りするのは1ヶ月ぶりくらいか。


この間のメールは確かこうだった。


「オレテレビに出てるから見てくれ!」


正直どうでもよかったけど一番親しみやすい人だったのでちょっとは観た。

先輩は始まりから終わりまでゲストとして何もしゃべることなく椅子に座ってた。

番組は教育内容のものであった。


全てそんな風だったが先輩はすでに6回くらいテレビに出演していた。

もちろん深夜枠ばかりだったが。


「ニート決まりました・・・」


ちょうど先輩は就職活動真っ最中である。

4月のこの時期にニート確定とはどういうことか。

返信しようとするとメールにはまだ続きがあったことに気がつく。


「ニート決まりました・・・――――――嘘です(笑)」


励ましの言葉を考えていたらこれだ。

全くもって意味がわからなかった。

先輩の性格だとただ単に構って欲しかっただけのような気がしてきた。


しばらく俺と先輩のどうでもいいメールのやり取りが続いた。


「俺が気がつかなかったらどうするんすか!(笑)」


「ばれたか(笑)」


「どうでもいいメールしないでくださいよ」


「いや落ちまくりなんでね(汗)手応えなしだし。いっぱいおっぱいな生活送ってるよ」


「手応えなくても幸せそうな響きですね」


どう考えても女に囲まれてるようにしか聞こえない。

でも奥手でシャイな先輩の性格上それはありえなかった。

意味わかんねーな,と思いながらも先輩のメールに付き合ってた。


「いっぱいいっぱいと同じ意味~」


そんな日本語はアリエナイ。

本当になんなんだか。


「紛らわしいんで統一してくださいよ(汗)自信もそろそろなくなっちゃいましたか?」


「自信ない。とりあえず自信よりいっぱいおっぱいが欲しいな~」


俺は笑いを堪えずにはいられなかった。

別におっぱいという単語を連発しているからおかしいんじゃない。

先輩がこうして昔のように元気でわけのわからないこと言ってるのがなんだか嬉しかったのだ。

この人と関わってると高校生活を懐かしく思う。


「どう捉えても今回のは文章そのままの意味以外ありませんよ!(笑)」


「そこ気にしない!」


「そこ以外気にするとこありませんよ!楽しすぎて酔いが冷めちゃったじゃないすか(笑)」


送った後に気がつく。

冷めるというのは誤字だ。

しかしそれは俺の気分を上手に表現しているような気がした。


早く寝ようという気が冷めたのだ。

少し先輩とメールしていたい。


「ニートになりたい!」


「俺の方がなりたいですよ!」


本心だった。

ただニート生活ができるだけの金があればの話だが。


「ニートわ一日中おっぱいのこと考えてても何ら問題ないからなぁ~」


先輩の頭がおっぱいだらけなことがよくわかった日だった。

しかし彼は飢えているというわけではない。

日常的に平気でこんなことをあっけらかんと言う人だった。


それと男はこういうやり取りも日常的である。

別に先輩がおっぱいを何回連呼しようとただ面白いだけだった。


「このメール一生保存しますね。名言です。ニートを志望する立派な理由になります」


「ふふふ」


「先輩のメール名言が多すぎて困ります」


「迷言な名言じゃなくて!」


「本心は迷言だと思ってたんですけど先輩心読みました?(汗)ちょっと驚きです・・・」


メールはこんな中途半端な終わり方だった。

先輩は寝たわけじゃなく携帯でSNSの日記を書いていたようだ。


俺は先輩からメールが来ないのを感じるとすぐに眠ろうとしていた。

元々さっさと寝る予定だったのだ。


意識が遠のいていく時間に先輩のせいで高校生活を思い出す。

あの頃の俺は天狗だった。

なんでもできると勘違していたあの頃。

全能感を持っていた。


思い出したくないことも思い出しながら俺は夢の世界へと落ちていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ