願い事
とあるペンキ屋を経営してるK氏は自分の願い事が必ず叶うことに喜びをえていた。叶うといっても、寝る前に念じた願い事がその夜だけ叶う。どんな願い事をしてそれが叶っても次の日は普通の一日が始まる訳だ。でも一時的な物とはいえ願いが叶うのは嬉しい
「昨日はステーキをたべたいと願ったら見事ステーキがたくさん出てきて、たらふく食べた。今日はなにを食べようか。いや食べ物じゃなくてもいい、女を呼んでもいい、好きな動物と遊ぶのもいいかもしれない。」
このように毎日の夜を楽しみにしていたK氏だが、ある日悪徳業者に目をつけられ、店舗改装のため10年間コツコツ貯めていた貯金を全て失った。もうK氏は絶望の淵に立たされていた。
「俺の10年間はなんだったんだ。もうなにもする気がしない。私は全てを失った。」
ずっとメソメソ泣いていたK氏はふと疑問をもった。
「あの詐欺師を殺したいという願ったらどうなるのだろう?やはり夜だけ願いは叶うのだろうか?」
もう捕まってもなんでもいいと思っていたK氏はその夜その願いを念じた。
翌朝…
「フフフ、昨日はものすごい快感だった。あの詐欺師のみじめな顔は忘れられない。あんな事までしたのに俺は殺人犯でもなんでもない。最高だ」
…だかしかし次の日は普通に始まる。実際は詐欺師も生きてるし金もない。結局なにも希望がないK氏はやがて死にたいと感じるようになってきた。
「俺はもう生きてる資格なんかない。今日の夜は自殺を願おう。」
……そしてK氏はその夜、自分の死を念じ続けた……
…3日後…
「今朝、行方不明になっていた老舗ペンキ屋のK氏が自宅でなくなっているのが発見されました。自殺の可能性が高い模様です。K氏は以前からシンナーを服用しており………