第六号
「あ、豆子にはまだ説明してなかったか」
ここからの印の説明は、なんだか回りくどかったので、ちょっとまとめさせてもらうね。
大樹様に認められた妖怪、つまり零咲森の妖怪は、人間に化ける力と、
それぞれに合った力をもらえるらしい。
その力を、みんなは『武器』と呼んでいるんだって。
どうして『武器』って呼ぶの?って、印に尋ねてみると、
「え?さあ、知らない。…まあ、なんとなくかっこいいからじゃない?」
…だそうだ。零咲森のみんなは、大樹様と似て、どうもお気楽な性格みたい。
例えば、月太くんなんかは、『相手の心を読む』事ができるらしい。
どこで読むのかというと、その特徴的な、大きくて真っ黒な『瞳』で読むんだそうだ。
だから、この場合、月太くんの武器は『瞳』という事になる…って、印が言っていた。
分かったような、分からないような…
「なんかね、あんたが笑ったのを見た瞬間、なんていうんだろ、こう、体がしびれたみたいになって、動けなくなっちゃって…」
へ、へえ、そうなんだ。アタシとしては、普通に笑ったつもりなんだけど…
「うん、おいらもそんな感じだった!ねえ豆子、その武器さ、訓練したら、結構強力になるんじゃあないの?」
え、訓練って…零咲森のみんなは、戦ったりするの?
「いや、そんな野蛮なことはしないよ。まあ、喧嘩なら、しょっちゅうしてるけど。」
物騒なことを、平然とした顔で言う印。
やっぱ印は、人間離れしてます…
「火事と喧嘩は零咲森の華、ってね!」
月太くん、にっこり。
それを言うなら、「火事と喧嘩は江戸の華」でしょ!
って、あれ、アタシ、どうしてこんな事知ってるのかな…
「でもさでもさ、それ、印と月太くんのカンチガイかもしれないよ?だから、まだ、アタシの武器が、『笑顔』って決まった訳じゃ…」
「そんなに疑うなら、みんなに聞いてみようか?」
吊り上りぎみの目をきゅっとさせながら、印は、いたずらっこのように言った。
み、みんな、とは…?
「決まってるじゃないか、零咲の妖怪たちに、確かめてもらうんだよぅ!」
久し振りに投稿!
…最近、ネタが尽きていた。やばいよやばいよ…