表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

第弐号

人間は、「(いん)」という名前らしい。

真っ黒な髪の毛は、とても短く、桜色のほっぺたの辺りまでしか伸びていない。

わざと、そうしてるのかな…

前髪は、真っ白なピンで留めてある。髪が黒いから、そのピンは、まるで光っているかのよう。

目は少し吊り上りぎみだけど、とても優しそうな光を帯びている。

鼻筋もスッて通っていて…とっても綺麗な顔立ち。

この印という人間は、ホントに人間なのかな…?

そんな事を考えてると、ふいに、印は、こっちを向いて、言った。


「あ、そうそう、あんたは何?」


え……ええっ?そんな、イキナリ「何?」って聞かれても、分からないよ…

こっちが聞きたいくらい…


「だよねえ、私も、普通の人よりはいろんな妖怪と接してるけど、

あんたみたいなのは、見た事ないよ…」

そう言って印は、困ったような顔になった。

……ん?んん?今、妖怪って言わなかった?アタシ、妖怪なのかな… 何故か、お豆腐持ってるけど…

ていうか、印は、「いろんな妖怪」と接してるの?人間なのに?…うーん、ますます「印」という人間が分からなくなってきた…


「あんた、豆腐小僧の親戚かなにか?」


…あのう、まず、「豆腐小僧」自体知らないんですけど…


「ううん、なんだろうねえ…あ、ここら辺かな? …おーい、月太ー?いるんでしょー?!」


いきなり印が、大声を出すもんだから、少しびっくりする。


「印、『ゲッタ』って――」


「ゲッタなら、おいらの事だよ。」


後ろから声がした。

振り向くと、大体、アタシと同じ背丈の、男の子――かな?――が立っていた。

男の子っぽいけど、人間じゃあないみたい。

少し大きめの頭には、とっても大きい、真っ黒な目が二つ。その目の中には、何か白いものが…

印の、要するに人間の目で言うと、その白いものは、黒目の部分に当たる――のかな?

髪の毛も、割と長いみたいで、頭のてっぺんの辺りでキュッと結わえている。

鼻なんかは、申し訳程度に、真ん中にちょこんとあるだけだけど、口はこれまた大きく、鋭い歯が覗いている。…こ、怖いなあ。


「あ、そんな所にいたのか。」

印がそう言うと、その「ゲッタ」と呼ばれた男の子は、大きな目を三日月型にさせて、くすくすと笑う。

そして、アタシの方を向くと、こう言った。


「おいら、天邪鬼(あまんじゃく)月太(げった)。――月に、あの、太って書くの。」


「月太」くんかあ――なんていうか、素敵な名前。

…えーと、天邪鬼?だっけ。良く知らないけど、額に角が生えてるから、鬼の仲間?


「うん、そだよ。あんたの言うとおり。…嬉しいなあ、鬼って言ってくれた!久しぶりだよう、うふふ」

月太くんは、「鬼」と言われた事がそんなに嬉しかったのか、にこにこしながらその場でぴょんぴょんと跳ねている。

…何が、そんなに嬉しかったんだろう…


「いや、あのね――」

印が、アタシの近くまで来て、理由を教えてくれた。


「ほら、アイツ、角あるし目もあんなだから、確かに異形の物って一目で分かるんだけどね、

形は人間に近いでしょう。」

うんうん、確かに。

「だからね、『鬼』でなくて、『小僧』に間違われやすいんだな、アイツ」

へーえ、なるほど、そういう訳か。――なんか、可哀相…


「ねえ、改めて聞くけど、ここ、どこ?」

私の問いに、印と月太くんは、ほぼ同時にポンと手を打つ。

二人の顔には、「忘れてた!」という言葉が浮かんでるよ…


「ここはねえ、『零咲森』っていう森なんだよ!」


月太くんが、満面の笑みで答えてくれた。

笑顔は素敵な事だと思うけど、月太くんの笑顔は、ちょっと怖い…


「れ、れいざき、もり?」

なんだか難しい名前だから、知らず知らずの内に繰り返していた。


「そ。漢数字の零って字に、『花が咲く』の咲く、んで、森って書いて、零咲森。

どーしてこんな名前なのかは、私も知らない。」

印が、丁寧に解説してくれた。

アタシの頭の中で、「零咲森」という単語が完成する。


「零咲森、零咲森…なんだかよく分からないけど、かっこいい名前だねえ」

うっとりしながらアタシが言うと、月太くんは、また笑顔になった。


「でしょ、でしょう。おいら、これから、あんたと仲良くやっていけそうだよ!」

楽しそうにそう言った後、月太くんはにわかにハッとした顔になる。

そして、アタシに、おずおずと聞いた。


「そういや、あんた、何て種族なの?」


――すっかり、その事を忘れてたよ。

なんて答えたらいいか、アタシがおろおろしてると、代わりに印が答えてくれた。


「まあまあ、まずは、とにかく、大樹様のところへ行こうじゃないの。大樹様なら、きっと分かるよ」


……またまた、訳の分からん単語が出てきたぞ…

あ、アタシ、一体どこへ連れて行かれるんだろう……



第二話投稿できました!

…う~ん、どうも私、人の顔とかを説明するのが苦手なようです…

誰か教えて下さい(泣)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ