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異能力MMO  作者: curuss
9/11

能力披露

「動くな。回復結界を作る」

 ぴったりとしたニットのワンピースで、なんと顔どころか首まで髪で隠した女?が命じてきた――

 のと同時に投げられたナイフは、全て地面へと刺さり、なんと七芒星を形作った!

 嘘じゃない! 補助線とばかり電流めいたので魔法陣も描かれたし!

 その女?はシンメトリー強迫でも患ってるのか、三六〇度、どこからみてもヒョロっと同じそうで……まるでボウリングのピンが擬人化したかのようだ。

 念の為に名前を確認してみれば『名前:アンダイン』で『所属:目覚めさせる者たち(エゲイルタイ)』とある。……まあ護衛の一人や二人、連れ歩くか。

 さらにアンダインは中空イベントリ・ウィンドウから石突?を引っ張り出す。

「どうぞ、盟主(クラマス)

「……借りるぞ、アンダイン」

 応えてルシェフが武器らしきものを引っ張り出すも――

 見紛うことなく死神の大鎌(命を刈り取る形)をしていた。……凝らさずとも、忌々しいオーラが見えるし。

 おそらく『個別名称を持つ(ネームド)』等級だろうし、このイベントの抜け穴も理解できてしまった。

 アイテムだ。強力な武具防具を持ち込めば、プレイヤー自身の弱さなんて無視してしまえる。

 そして一般的にMMOで生産系は弱くなりがちだけど、このゲームは全く違うのかもしれない。

 臨機応変な強さは期待できずとも、事前準備を好きなだけできる! それこそ時間が許せば無制限に!

 また経験点の大半は制作関連へ注ぐことになるだろうから、初級レベルな強さの維持も?

 よくよく見てみれば目覚めさせる者たち(エゲイルタイ)の二人以外にも、まだ何名かが俺らのような初心者(ニューピー)の世話を焼いてたりする。

 彼らはいわば『初級クエスト・ビルド』とでもいうべきスタイルだ、きっと。

「少なくともアタッカー不足で、ラスボスの討ち漏らしは無さそうですわ」

 そう娟珠は肩を竦める。……代わりに初心者(ニューピー)がラスボスから一獲千金も無さそうだけどな。

「でも、ラスボスに返り討ちされると、凄く萎えるって聞いたよ?

 いまから魔法を掛けるから、抗わないで。弾かれちゃう」

 答えを待たずファルファッラは、いつの間にか取り出していた杖をバトンのように回し始める。

 ……これは異能の前提動作? それともルーチン?

加護を(ブレスド)!」

 掛け声と共に俺達パーティメンバーの四人は、それぞれが光に包まれた。

「一定ポイントだけ、この光がダメージの肩代わりしてくれますわ」

 いわゆるHPとMPが『オーラ総量』で共用なせいか、このゲームは回復系異能が重く、回復アイテムも高価だった。……そうしないとエンドレス――どこまでも回復が追いつくからだろう。

 そこで肩代わり分を先掛けし、脱法的に疑似回復魔法としたようだった。

 またファルファッラが異能発動で使ってしまった『オーラ総量』も、先程に作られた結界で自然回復が促進されている。

「一応、直接回復もできるけど……ハルト君とノン君の二人は、条件を満たせてないから……」

 この世界(サーバー)で培われてきたであろう、定番セオリーかつコンボの匂いがプンプンする。予想より二人は熟練者だったり?

「という訳で万が一の事故も考えたら、私めがメインの盾役(タンク)ですわ! ノン様には、フォローを!」

「……どうしてボクが前衛タイプだと?」

「……でも、前衛でらっしゃいますわよね?」

 あまりにも不思議そうな娟珠の返しに、またもノンはorzポーズだ。わりと散々だな、今日のノンは。

「ハルト様は、中衛としてファルファッラの護衛を」

 装備は『初心者のナイフ』にがらくた銃サタデーナイトスペシャルのままだったから、『【物理干渉】が×4(長所)』と思うか。

「悪いな、前へ出れなくて」

「大器晩成型なのですから……そこは悠然とお構えになるべきかと」

 まあ『自作の』、『愛用の』、『特注品』、『個別名称(ネームド)』と掛け算な厳つい武装で身を固められれば、いつかは他のビルドを圧倒できるのかもしれない。

 しかし、実際は×4なし(レアタイプ)の『スペシャルに+%』だし――

 その模範解答も、これから模索という為体だ。どうしたものか。

 とにかく今日のところは、イベントに全力投球しておこう。残りカウントも少なくなってきたし。

「そろそろですわよ!」

 俺らへ注意を促しながらも娟珠は、抑えていたオーラを解放する。

 こいつ『【噴出力】が×4(長所)』か!? さらに抜刀し掲げたかと思うと――

「さあ、お食べなさい、気力喰らい(オーライーター)!」

 命令に応えレイピアは、娟珠のオーラを吸い上げていく!

 それで娟珠が纏う包むオーラは薄くなってしまったが、かわりにレイピアの刀身がオーラで包まれ、巨大な光の剣へと変化していく。

 なるほど。どうやら娟珠は【遠隔操作】や【物理干渉】が×1(いちばい)らしい。

 おそらくオーラを飛ばして遠距離攻撃したり、直にオーラへ干渉――例えば剣状に変化させたりが不得手だ。

 となるとノンのように格闘を選択でも良いけれど、しかし、オーラに指向性を与えるアイテムで補うのもありか。

「……いい剣を持ってんな」

「御姉様から、御下がりを御借りしたのです!

 ――御姉様! 娟珠はやりますわ! 見ていて下さいませ!」

 そう観客席へ向けて叫ぶなり、身の丈ほどに育った気力喰らい(オーライーター)を振り回す。あの頭を抱えてる女性が、娟珠の『御姉様』か。

 しかし、娟珠ら二人を見ても分かるように、ギルドや徒党(クラン)の助言や助力は馬鹿にできない。

 そろそろ俺らも検討すべきなんだけど――


 どこぞの徒党(クラン)へ一発かますのが目標な初心者(ニューピー)二人組なんて、受け入れて貰えるのだろうか!?

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