story #005 脂川と空刈
広大は自然に学校から離れる方向へ、ゆっくりな足取りで歩いていた。
ふと、脂川の空き缶・ペットボトル・ごみを拾って集めている姿が目にはいってきた。
広大「こんにちは」
小さな声で挨拶をした。
脂川「こんにちは」
広大「僕もごみ拾いしてもいいですか」
脂川「もちろん、助かるよ」
広大は鞄を降ろし、無心で拾い集めた、まるで現実逃避するかのように・・・
脂川「ちょっと休憩しよか、君名前は?何歳?」
広大「空刈広大中二です」
脂川「脂川菊雄です、よろしく」
何気ない挨拶を交わした。
二人で拾うとやはり早い。人数が必要だと、感じる。
更に拾い集めた。空刈は無我夢中で。
あっという間に夕方になり、辺りはうす暗くなりつつあった。
空刈「今日はありがとうございました。実は学校で派閥にされてて、登校、雰囲気に限界が来て、悩んでる。親には話していない」
と口を開いた。
脂川「そうか、辛いね、解決するときが必ず来る、そう信じるよ」
空刈「うん、ありがとう」
脂川「会社に勤めているので毎日拾い集めをやれないけど、広大君がよければ、拾い集めすればいいよ。ごみ集めたら、うちに持ってきてくれたらいいから」
空刈「うん、わかった」
脂川「今日はこれで帰宅できるね、登校したフリしなよ」
空刈「うん」
少し笑みを浮かべて、頷いた。
登校することがどうしてもできず、数週間ごみ拾いに一心して過ごす。
学校内では、そんな彼の姿が、噂になっていた。
時は夏休み前になっていた。下校時刻が13:45で生徒を見かける。
そんなある日クラスメイトから声をかけられる。
生徒「こんにちは、元気してる?心配してたんだ、ほんとは声かけたかったんだけど、勇気無くて、みんなと同じ行動してしまったんだ、ごめん・・・」
空刈「あっ・・・・・」
話をしようと思った時には、もう、立ち去ってしまっていた。
心の内を伝えてくれたことが、嬉しかった。夏休みが間近、勇気がなく、結局登校できなかった。そうしている間に夏休みになる。
広大の自宅のポストに書類などが届けられていた。夏休みの書類だ。
課題や、書類、模擬テストなどの連絡事項の通信だ。
夏休みか、ごみ拾いもやりながら、課題を進めていく。
夏休みだから、掲示板を借りて、ごみ拾いを集うっていうのはどうかと、思いつく。
脂川に相談すると、賛成され、広大行動に。
が・・・・
そんな簡単に集まらず、結局変化なしのまま夏休みを過ごした。
そして次に広大は・・・・・