story #002 脂川の目に飛び込んできたのは・・・
施工途中の工事現場敷地に、捨てられた廃棄物。
掲げられた看板を見ると、工事完成予定日が1年以上経過していた。
"食事処 風格" 山達建設と提示してある。
脂川はこの会社のことを調べた。取引上の資材トラブルで、工事中断されていた。なるほど、なるほど・・・・・
不法投棄場所になってしまったのね。
タイヤ、洗濯機、自転車、缶、瓶などが10センチくらいになっている。
業者が不法投棄したのか?個人が不法投棄?でも、両方なのか?
脂川の頭の中でいろんな思いがぐるぐるしていた。
工事現場の所在地は、ギリギリ美加市だ。
脂川は美加市をキレイに戻したいと、強く思う。
隣の町「空散町」にある、書店へ行き新書を購入。帰宅する途中、やっぱり気になる工事現場の不法投棄の事実を住民に知らせたいと純粋に思う。一人では何もできないからだ。
住民一人一人の意識がとても大事になってくるからだ。
どうしたらいいのかと、ぼーっと立ち尽くしていた。写真に収めたいが勝手に撮るのも遠慮したい。5~10分経過した後、何の考えも浮かばないまま、現場を立ち去る。
その様子を木の陰から見ていた、そして、立ち尽くしていた脂川は写真に撮られていた。
そんなことは本人は知らない。
数日後、自宅に警察が来て、1枚の写真を見せられ、
警察「これあなたですね。」
脂川「はい」
警察「事情は署でお願いします」
まるでドラマのワンシーンに、ワープした感じだ。
逃げる理由もないので、連行されたのだ。
何が起こったのか全く理由がわからない脂川。