番外編 俺の恋人 2
ふと気付くと、なにやら眩しい場所に転送されてた。
「なんだ、ここ?」
なんか書類を書かされ受付番号を渡され、案内に従って奥に進んでいくと、いくつもの窓口があった。
俺はまだ理解が出来ずにいた。
「10604番の番号札を持ちのお客様、36番窓口までお越しください。」
俺の番号が呼ばれた。
受付のお姉さんは、可愛い人だった。
カウンター越しに一生懸命に説明してくれる姿が好印象だった。
そう思いながらふと顔をあげると、顔バレしてしまった。
なんでも、彼女のおばあちゃんが俺の大ファンだって…
この子自身は俺のファンじゃないのかよ…
何の気なしに隣のカウンターを見ると、もっと可愛い子がこっちを見ていた。
うわっ…めっちゃ可愛い。めっちゃ俺好み。
これが、俺とありさちゃんのファーストコンタクトだった。
その後、入社式とやらに参加させられたけど、あまりの退屈さにエスケープを決め込んだら、さっきの受付のお姉さんに出くわして注意された。
なんでも、人を恨んだり、勝手な事してると『オンブロ』と呼ばれる黒紫の影が増えちゃうらしい。
そんなこと言われてもな…
「おーい、賢人。」
呼ばれて振り返ると、そこには俺が16歳の頃に亡くなった親父がいた。
俺、親父の事大好きだったんだよなぁ。
子供の頃、よく遊んでくれたし、愛情深い人だった。
病気して入退院を繰り返すようになってからは、寂しくてダンスやボイトレに夢中になっていったんだ。
「親父、俺アイドルとして成功したんだぜ。」
「知ってるよ。お前の様子は毎年夏に里帰りして見守ってたからな。凄いじゃないか、賢人。」
俺は親父に会えた嬉しさと、子供の時のように褒められた満足感から涙が止まらなかった。
ある時、受付のお姉さんにバッタリあった。
みんなで護身術部を発足しようという話になった。
そこには、あの日、俺がヘブンズ・カンパニーにやって来たあの日にカウンター越しに目が合ったあの瞬間から忘れる事が出来なかった彼女もいた。
めちゃめちゃ可愛いのに、武器を持たせると途端に戦士に変わるそのギャップにもやられた。
今まで自分から好きになった事なかったし、告白なんてされるもので、した事なんかなかったから、どうやって攻めたらいいのか分からない。
詩織ちゃんを利用して、ヤキモチ妬かせる作戦に出てみたり、二人で食事に行くことが出来たりしたけど…進捗は今一つ。
でも、詩織ちゃんの計らいでアミューズメントパークでWデートすることになった。
観覧車の中で思い切って彼女に告白をした。けど、これ以上ない拒否をされた。
その後…えっと…どうしたっけなぁ? あまりにも必死だったからよく覚えてないや。
でも、ひとつだけ覚えているのは、漢を決め込んで彼女にキスした。
このキスで俺自身、自信がついて押して押して押しまくったんだ。
人を好きになるって、こういう感覚なんだな。知らなかったよ。
今までの彼女たちには悪いけど、恋愛じゃなかったんだな。
俺は、彼女を守りたい。俺だけの彼女になって欲しい。生まれ変わってもありさちゃんと一緒にいたい、と強く思った。
「ベターハーフの石?」
お世話になってる浅間課長から、そんな便利な石の存在を聞いた。
俺は早速どんな石があるのか、幾らくらいで買えるのか調べまくった。
ありさちゃんには、これが似合うな。
カタログの中から、ピンク色の中にオーロラのような輝きを放つ半球の石を見つけた。
た…高ぇ…
でも、これからもありさちゃんと過ごせるなら安いもんだ。
【トク】を貯めて、やっとの思いで購入したその石を、俺は渡せずにいた。
断られたらどうしよう…
とりあえず、雰囲気のいいレストランを予約して挑んでみる。
「ありさちゃん、これからも俺と…」
「ごめんね。私まだそこまで決心できてない。ケントくんのことは好きだけど…」
…断られた…
その2週間後、俺はまた雰囲気のいいバーで挑んだ。
「ありさちゃん、これからも俺と…」
「ごめんね。まだ…」
さらにその2週間後…
玉砕…
石を受け取って貰えないまま、ヘルズのバケモノとの戦いが始まってしまった。
次も続きます。




