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ヘブンズ・カンパニー -天国で運命の人に再会しました-  作者: さがわウェンディフェリシア
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最終話

子供の頃からずっと一緒だった拓ちゃん。

高校まで勉強を教えてくれた大好きだったお隣の拓ちゃん。

会社に入ってからは恋人になって、より大好きになった拓ちゃん。

そして、黒田澄香に殺され、9年間も拓ちゃんのいない生活があった。

あの頃、私はどうやって拓ちゃんのいない生活を送っていたんだろう。

そして、ここヘブンズ・カンパニーに来て最初に配属された【聞き取り課】で再会した時はモノ凄く嬉しかった。

現世で一緒にいられなかった分、毎日毎日一緒に過ごした。

また一人で過ごす時間はどれくらいになるんだろう…


「早瀬くん。それでは魔法陣の中へお入りください。」

拓実は、私の目を真っ直ぐに見て何か言いた気だった。

魔法陣の光はどんどん強くなっていくのに、私の手を放さずにいた。

もう涙でぐちゃぐちゃになっている顔で必死に笑顔を作り、

「拓ちゃん、行って。私もすぐ行くから。じゃないと魂の迷子になっちゃう。」

と絞り出す。


拓実は意を決したように魔法陣へと一歩ずつゆっくりと入って行った。

「早瀬拓実さん。26年の人生と10年間の社員生活お疲れ様でした。来世もいい人生を。」

そう取り仕切る下鴨課長も耐え切れずに涙を流していた。


子供の頃からずっと一緒だった詩織。

どこに行くにもちょこちょこと後を付いてきた可愛い詩織。

なかなか言えずにいたけど、詩織が高校生の時には俺はすでに詩織が好きだった。

やっと詩織を俺のモノに出来たのに、すぐに離されてしまった。

だから、次の人生ではすぐに詩織を見つけて幸せになろう。

今度こそちゃんと声に出して、詩織に伝えなくては…


光が強くなる魔法陣の中で、

「好きだ、詩織。愛してる。 

絶対にすぐにお前を見つけるから。」


魔法陣の光はさらに強くなり、眩しい円の中で拓実の姿が目を細めてやっと確認できる位になってしまった。

私は急いで、

「拓ちゃん!私も愛してる!!」

と叫んだけど、私の言葉は最後まで拓実に届いたのだろうか。



拓実は転生した。



翌日、私は仕事に復帰した。

あれだけ泣きながら最後を過ごしたのに、なぜか晴れやかな気持ちになっていた。

「詩織さん。大丈夫ですか?もう少しお休みしててもよかったのに…」

芳澤ありさが気遣ってくれたけど、

「大丈夫!今日からバリバリ働いてお【トク】貯めなくっちゃ。」

「それもそうですね。じゃあ、今日お昼何食べます?」

芳澤ありさの明るい笑顔に私も釣られて笑顔になった。


金曜日の終業後、久し振りに護身術部のメンバーが集まった。

そこで、伏見課長が眼鏡を抑えながら、メンバー達に発表する。


「弊社上層部とヘルズ・コーポレーションの上層部が話し合いの結果、今回のことはアザゼルの暴走で、あちらの会社も責任を感じているようです。

そこで、大国主おおくにぬし様より、今回の事柄につきまして、関係者の方々への謝罪と、『知恵派閥殺人リスト』の抹消をお約束いたします、との事です。これはヘブンズ・カンパニーにとって歴史的なことですよ。」

私は芳澤ありさとケントくんと手を取り合って歓喜した。

次の転生後の人生で殺されることが決定事項ではなくなった。


ん…? 大国主おおくにぬし様?


「ヘルズ・コーポレーションは罪ある者を導く会社ではありますが、(イコール)悪ではありませんよ。」


今日の護身術部の活動は武器取り扱いの練習ではなく、戦いを労い慰労会となった。


ふと、私のストラップが光った。振って応答すると、モニターにマイク・アンダーソンが映し出された。

「シオリ。ゲンキかい?タイヘンだったそうだね。タクミが転生してしまったんだろう?

ボクはキミに何をしてあげられるかい?」

「マイク! 久し振り。アメリカ支社の方でも色々とあったって聞いてるけど…無事でよかった。

お願い、マイク。私と拓実のために『Galaxy Romance』を歌って!」

宙に表示されているモニター越しに歌い始めてくれたマイクに、一緒にいた芳澤ありさとケントくんを始め、護身術部のメンバー達もキャーキャーと黄色い悲鳴を上げていた。

「マイク、ありがとう。連絡くれて嬉しかった。またね。」

ツールを切ると、マイクのお陰でより前向きになれた。




「神崎さん。それでは、魔法陣の円の中にお入りください。」

伏見課長の合図に、私は魔法陣の中に入って目を閉じる。


色々あったなぁ。

やっと拓ちゃんと同じ世界へ行ける。


「詩織さん。来世でまた仲良くしてねー。」

「俺もー。詩織ちゃん、またねー。」

拓実がいなくなってから、芳澤ありさとケントくんには本当にお世話になった。今日も、二人で私の転生に付き添ってくれている。

「二人も、すぐ転生だよね。また来世で4人で会おうね。」


私は、伏見課長の方に向き直り感謝を伝えた。

「伏見課長、色々とお世話になりました。また来世が終わったら、伏見課長の元で働かせてくださいね。」

伏見課長はメガネを押さえながら、普段は無表情の顔の口角を少し上げて照れていた。

「神崎詩織さん。33年の人生と3年間の社員生活、お疲れ様でした。来世もいい人生を。」

眩しい光の中、私は真っ暗などこかへと転生した。




「遠山さーん。赤ちゃんの頭見えてきましたよー。」

私、神崎詩織はある街のある家に生を受けた。数日後に『遠山翼』と名付けられる予定だ。

お隣の峰岸家には『涼太』として2年前に生を受けた拓実がいる。


これから15年後にお決まりの幼馴染の恋物語が始まることを、この時のふたりはまだ知らない。


お陰様で最終話まで書き上げることが出来ました。

拙い文章で読みにくい所、伝わりにくい所が多々ありましたことをお詫び申し上げます。

途中、古事記より引用した風な箇所がありますが、史実とは全く関係ありません。


本編はこの回を持って完結となりますが、今後不定期掲載でSSを何話か掲載したいと思っています。

ケントくんのお話や、詩織と拓実の転生後の話などを予定していますので…また読んでいただけたら泣いて喜びます←

あと、コメントなんかも頂けると泣いて喜びます←←


ありがとうございました。

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