表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘブンズ・カンパニー -天国で運命の人に再会しました-  作者: さがわウェンディフェリシア
63/76

変化-へんげ-

 光のコートに身を包み、一見誰が誰だか見分けがつかない格好をしているのに、いとも簡単に黒田澄香に拓実を見つけられてしまった。

私たちの向ける武器の方向が下っ端どもから黒田澄香へと一斉に変わった。

課長達も護身術部のメンバーもみんな黒田澄香に向けて攻撃する。だが彼女は、すっかり全身メタルの防護に身を包んだ状態に変わっていた。


 「早瀬君。お久し振りね。あなたに会いたくて、会いたくて。うふふっ…だいぶ手を尽くしたわ。」


 攻撃の手を止め、拓実はゆっくりと立ち上がり、黒田澄香と対峙した。

「なんでこんな事するんだよ。」

「うふふっ。あなたに用があるからよ。」

「俺に復讐したいなら、俺だけを攻撃しろよ。他の人達に迷惑をかけないでくれ。」


 私は、会社でお世話になっていた時あんなに優しかった澄香先輩が、拓実を殺し、私も殺すなんてことが出来る人だとは信じられずにいた。

でも、こうして変わり果てた姿で、今にも拓実に復讐を果たそうとしているのを目の当たりにして黙ってはいられなかった。


 「澄香先輩。どうして…?どうしてこんなこと…?」

「あらぁ、詩織ちゃん。お久し振りねぇ。」

そう言いながら、黒田澄香は素早く右手に持った鞭のような武器を振り下ろした。

「お前ごときが、この私に向かって気軽に話しかけないでちょうだい。」

急にドスの利いた声に変わって全身を覆うのメタルの鱗が鈍く光った。

そして、今度は私に命中するように武器を振るった。

「詩織!!」

拓実が振り下ろされた武器との間に、素早く私を守るように入った。

「ううぅ…」

私は一瞬何が起きたか分からなかった。横を見ると拓実の着ていた光のコートの背中の部分が大きく裂かれていて、うずくまる拓実に大きな裂傷が見えている。

「拓ちゃん!!」

「いやだ。ちょっと手元が狂っちゃったわ。

どう?久し振りの痛みは?この世界でのほほんと過ごしてたから、暫く痛みとは無縁だったんでしょう?」

私は拓実を守るように前に出て、澄香に向かってラヨンラゼールを只管撃ち続けた。

しかし、無情にもラヨンラゼールの光線は、黒田澄香の鈍く光るメタルの鱗に阻まれ、跳ね返された。

 

 「神崎さん!そいつを撃っても無駄だ!」

八幡やはた課長をはじめ、妙見みょうけん課長や愛宕あたご課長、建御たけみ課長らが走り出て、黒田澄香の周りを取り囲むようにラヨンラゼールを構えた。

「私にそれを撃っても無駄って言いながら、あなた達はそれを私に向かって構えてどうするつもりなの?うふふっ。」

黒田澄香は課長達を嘲笑うかのように構えた武器を振り下ろした。

と、同時に回りの空気が変わった。


 「なんだ?」

黒田澄香の様子がおかしい。聞いたことのないギュルギュルという音と共に、何かが起きている。

今の今まで、私達と同じ人間的な大きさだったはずが、2倍3倍と大きくなってきている。


 無駄だと分かっていながら、八幡課長達は黒田澄香にラヨンラゼールを何発も撃ち込んで跳ね返されていた。

手の打ちようのない状態のまま時間だけが過ぎていく。その間にも黒田澄香は形をどんどん変えていく。


 胴体部分は、今までのサイズよりも20倍くらいまで膨らんでいた。そして、首の部分から他の頭がにょきにょきと生えて、元々あった頭も変化し、蛇のような頭が8つになっているように見える。その上、尻尾のようなものも8つ生えてきている。


 「アザゼル様が変化へんげなさっている。」

下っ端たちは喜んで黒田澄香にひれ伏した。

「今よ!」

芳澤ありさとケントくんは下っ端達を一人残らず打ち砕いた。


 「あら、私の仲間をみんな殺ってしまったの?とうとう私一人なのかしら?」

益々、メタルのような鱗を濃くしながら、言葉とは裏腹に不敵な笑みを浮かべ、変化へんげしながらジリジリと拓実との距離を詰めている。

「早瀬くん。近付いてはダメだ!距離を取って!!」

下鴨課長がそう叫ぶと、黒田澄香が一瞬モーションを起こそうとしたのが見えた。


 私は、拓実を捉えようとしている黒田澄香の前に立ちはだかってラヨンラゼールを構えた。

「お前に用はない!!」

身体が巨大化したせいか、声も元の女性の声ではなく、すっかり野太くしゃがれた声になり、変わり果てた姿の黒田澄香に弾き飛ばされた。

その衝撃で私は手に持っていたラヨンラゼールを落としてしまった。


「ふーん。こんなもので私を倒そうとしていたのね。」

運悪く黒田澄香の目の前に滑り落ちてくるくると回転しているラヨンラゼールを、巨大化した体で踏みつけられ、いとも簡単に壊されてしまった。


 その時だった。

後ろから八幡課長の持つ剣が黒田澄香を捉えた。

「うぎゃああぁぁぁぁっ」

剣は8つある頭の真ん中にスパンと入っていった。


 「きさま何をするのだ!」

暫く倒れたまま呻いていた黒田澄香だったが、二分割された体が各々立ち上がった。

「お前なんぞに私は倒せない!!」

二つに分かれた体の一体は八幡課長を投げ飛ばし、もう一体は八幡課長が手放してしまった剣を素早く拾った拓実を、抱えるようにして消えてしまった。


 「どこへ行った?」



次回は、来週月曜日AM7:00更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ