敵襲来
いくつものラヨンラゼールが地下13階の大扉の前に設置された。
執務室から大扉へ抜ける狭い廊下にも沢山のラヨンラゼールが増設された。
だが、大扉の【仕分け課】、【啓行課】、【天候課】、【海洋課】、【聞き取り課】の課紋が次々に光り出した。
ゴゴゴゴゴゴゴ……
地響きを立てながら、大扉はゆっくりと開いてしまった。
ヘブンズ・カンパニーに大音量のアラートが鳴り響いた。
いよいよだ…誰もがそう思った。
開ききった大扉の向こう側には、黒紫の煙が立ち込めていて、アザゼルこと黒田澄香を中心に、この女の取り巻き達がズラリと並んでいた。
先頭を切って、下っ端の3人の使者が飛び込んできた。
ラヨンラゼールが、その姿を捉え、マントを溶かす青い光のタイプDと強い攻撃のタイプAの光線を発射し、みごと撃ち砕いた。3人の体は消えてなくなった。と同時に黒田澄香の足は黒く鈍く光るメタルのような物質が大きくなっていく。
「あれは…?」
「あの女…」
戦闘の最前線にいる八幡課長や妙見課長は、顔を見合わせた。
黒田澄香は、死んだ仲間を自己防衛の道具として取り入れる術を持っている。
「これは、面倒臭い敵ですね。」
その後も次々に突っ込んでくる下っ端達に、設置されているラヨンラゼールが攻撃され、破壊されてしまった。
課長陣営もラヨンラゼールで攻撃し、敵を撃ってはいるが、追い付かない。
狭い廊下のラヨンラゼールも次々と壊され、とうとう地下13階の執務室へと乗り込まれてしまった。
大勢の敵達が黒田澄香を取り囲むように、周りに向かって銃のような武器を構えている。
地下13階で重労働をしていた罪のない人々も避難を余儀なくされ、波照主任に連れられて、いつの間にかいなくなっていた。
八幡課長は、勇敢に一歩前へ進み出て、
「君たちの要求はなんだ?なぜこのドアを破った?」
と聞くと黒田澄香は、
「早瀬拓実を出しなさい。」
と課長陣営に向かって要求した。
「早瀬君?早瀬君ってあの、下鴨課長の補佐の?」
と武装した課長達がざわついた。
「なぜ、早瀬君を差し出さなければならないのだ?」
「理由なんかどうでもいいのよ。出すの?出さないの?」
「罪なき者を、危険には晒せられない。断る。」
八幡課長は、キッパリとそう言った。
黒田澄香の目が冷たく、そして深い黒紫色に染まった。彼女は剣を構えると、踊るように素早く1周回ってみせた。
取り巻きが何人も、その剣の餌食になり倒れた。
「アザゼル様…何をなさるのです?」
周りの下っ端どもの亡骸を吸収し、黒田澄香の黒く鈍く光るメタルのような物質がますます大きくなった。
「あれ以上、メタルの防御着が大きくなったらマズい…攻撃が一切効かなくなる。」
八幡課長は焦っていた。でも、絶対に拓実を差し出す訳にはいかない。
暫くの睨み合いの後、痺れを切らした黒田澄香が周りに
「移動するわよ。」
と言って、マントを翻した。
途端に奴等は、消えた。
妙見課長の持っている敵レーダーには、奴等が1階のエントランスへ移動したと記されていた。課長陣営は黒いドアを出し、1階エントランスへと移動した。
1階、エントランスの受付付近には大音量のアラートの他に、けたたましくサイレンもなっていた。
「詩織さん。奴等来ましたよ。」
勇ましくラヨンラゼールを構える芳澤ありさの横で、私の足はブルブルと震えて、立っていることもままならなかった。
次々に襲ってくる黒紫の影に向けてラヨンラゼールを発射させる。
芳澤ありさの戦闘能力はバカ高い。八幡課長張りにどんどんと敵を消し去っていく。
一緒にいた拓実やケントくんも参戦して敵を倒していた。
ふと何かの気配に拓実が顔をあげると、そこには黒く鈍く光るメタルに全身が覆われた黒田澄香が、不気味な笑顔を浮かべて見下ろしていた。
「見つけた。」
た…拓実…
次回は、来週月曜日AM7:00更新予定です……出来れば……




