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ヘブンズ・カンパニー -天国で運命の人に再会しました-  作者: さがわウェンディフェリシア
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そして、また事件

 今日の夕食は、拓実と私の他に芳澤ありさとケントくんが一緒に火鍋を囲んでいる。


 「ねえ、拓ちゃん。部長階級の人達が結構存在してるって知ってた?」

鈿女うずめ部長と、磐長いわなが部長位しか知らないなぁ。他にもいるの?」

「いるらしいの。ビックリだよ。あのね、日本やまと部長とか、伊邪那岐いざなぎ部長とか、伊邪那美いざなみ部長とか…」

「え?それって…」

拓実は驚いてビールを注いだグラスを倒してしまった。

「あ、やべ…」

そう言いながら、ストラップを一振りして後片付けをする。

「でしょ。驚くよね。まさかのかみさ…」

「俺さ、うちの天候課の浅間課長に聞いたけど、日本支社長って…なんだっけな…ア…アメ…アマ…ベランダじゃなくて…」

「え?アマテラス!?」

ケントくん以外の3人が声を揃えて大声で叫んでしまった。

「あ、そうそう。そのアメテラス。」

「アマテラスね!!」

芳澤ありさはケントくんの間違いを食い気味に、[ご立腹スパイス]のかかったツッコみで訂正した。

「俺、天候課で下の世界の天候にかかわるからさ、支社長がなんだか[太陽]に関係するんだか何だかで、たまに課長とやりとりがあってさ。」

 他の3人は黙りこくって考え込んでしまった。ケントくんの知識が低すぎるからという訳ではなく、ヘブンズ・カンパニー上層部メンバーが、思ったよりもヘビーだったからである。


 「もしかしてさ、ヘルズ・コーポレーションの偉いさんも…?」

「あ、それ俺聞いたことある。ヘルズの内部は二層に分かれてて、営業職の上層と、重労働の下層になってるって。で、下層を取り仕切ってるのは閻魔えんまだって。」

拓実は、自社の支社長の名前は知らないのに、ヘルズ・コーポレーションの重役の名前は知っているという…謎の在籍10年選手だ。


 翌週、立て続けに事件が起きた。

ケントくんの所属する天候課の浅間課長が、ケントくんと下の世界に天候の視察に行っている時に誘拐された。

ケントくんは無事だったが、目の前で浅間課長が誘拐されるのを何も出来ずにいたことを落ち込んだ。

「芦谷さん、大丈夫ですよ。あなたの目撃情報で、簡単に浅間課長を救出してみせますから。」

八幡課長は、いつもの優しさでケントくんを励まし、言った通りにあっという間にやり遂げてくれた。

 

 同じ週に、海洋課の豊川課長が誘拐された。何人かと行動を共にしていて目撃情報も多数だったが、場所が海という事で痕跡の洗い出しに多少時間がかかってしまった。

 それでも、八幡課長を始め、精鋭達は難なく豊川課長を救出してみせた。


 ケントくんが落ち込んでいるので、芳澤ありさと拓実と私で居酒屋で慰労会を催すことにした。

「今日は、俺たちがご馳走するから、たくさん飲んで不満をブチまけていいよ。」

「そうそう。飲も飲も。」

「俺…あんなに浅間課長に毎日お世話になって、こんなに尊敬して止まないのに…なんで何も出来なかったんだろう。」

「私も、私のせいで春日課長が誘拐された時には、本当に落ち込んだし、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。だからケントくんの気持ち分かるよ。」

「俺、もっと護身術の練習に身を入れる。俺の技はまだまだだって思い知らされた。」

「確かに、俺も護身術はもっと確実な物にしないといけないと思う。このところ、課長誘拐事件が立て続けに4件もおきて……4件?」

「拓ちゃん…?」

「早瀬さん、何か思い付いちゃったんですか?」

「これ…もしかして…」


 拓実はすぐさま下鴨課長に連絡をした。

「課長。これ、俺の勘違いならいいんですけど、もしかしてと思って…」

「早瀬さん。私もたぶん同じことを考えています。明日、早速課長会議を開きたいと思います。」


 翌朝、朝一から課長会議が開かれた。

課長会議の間は全ての業務が時間調整により停止される。

私達4人は、課長会議には当然入れてはもらえないけど、暇に飽かして拓実を中心に独自に考察会をすることにした。


 「みんなで地下13階のドアの視察に行ったよね。あの時の事思い出してみて。」

拓実は、私達にヒントを与える。

「ドアに沢山の課紋があったよね。あれだよ。」

「5つ光るとドアが開くっていう…?」

「そう。で、誘拐されているのは課長ばかり。」

「でも、課長はみんな無事に帰って来てるよ。」

「早瀬さん。もしかして…やつらが課長の情報をどうにかしてスキミングして、それをコピーして使う事が出来たら…ってこと?」

「そう。芳澤さん。それが心配なんだ。下鴨課長も同じことを考えてた。」

「なるほど。あと一人分の課長の情報でドアが開けられちゃうって考えたら…ヤバくない?」

「相当ヤバいよね。」

「だから課長も朝一で会議開いたんだと思うよ。セキュリティ強化のために、例えば必要な課長の課紋の数を増やすとか。」

「いよいよ戦いが始まるのね。」

「ありさちゃん、嬉しそうに見えるんだけど?」

「戦いが始まる前に食い止めることを考えるべきじゃない?」

「ケントくん、珍しく真っ当な事言うじゃん。」

「珍しくって何だよぉ。」

私たちの考察会は、平和に爆笑で閉会した。


ドアは開かれてしまうのか…?それとも守れるのか…?

次回は、来週月曜日AM7:00更新予定です。

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