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ヘブンズ・カンパニー -天国で運命の人に再会しました-  作者: さがわウェンディフェリシア
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ヘルズ・コーポレーション製

 【啓行みちひらき課】猿田彦課長の救出のための課長会議の後、【解析課】の塩竈しおがま課長は、ワクワクしながら八幡課長から手渡された黒い布を77階の自分の執務室の大テーブルの上に広げた。

 見たところ、決して厚みがある訳ではない。もちろんペラペラに薄い生地でもない。本当に普通の、なんて事のない生地だ。

強いて言うなら、見た目は理科室のカーテンに似ている。

「これにはどんな秘密があるのかな?」

「塩竈課長、顔がニヤけてますよ。」

 塩竈課長は、自身の生前の記憶こそないが、ゴリゴリの理系脳で、解析をするのが楽しくて仕方がないらしい。

「この布に色々秘密があると思うと、解き明かしたくてワクワクしないか?」

「不謹慎ですよ。ほんと、好きですね…」

課長補佐の成田は呆れながら、塩竈課長のサポートに就く。


 「どれどれ…少し刻んで、この溶液とこの溶液に浸してみるか。

 ふんふん、なるほど。」

どうやらアラートを飛ばすための電波が遮断される仕組みが織り込まれているらしい。

「こりゃ、アラートは飛ばせないね。

…それから…この部分は強く引っ張ると縮む繊維が織り込まれている。これが、緊縛する仕組みだね。

えぇーっと…それから…」

 塩竈課長は、次々と解析を進めていく。

「これは、物質移動の繊維か。それからこれは浮遊出来る繊維。

あ…これは…完全遮光出来る繊維だな。」

「完全遮光って…それって、強い光が効かないってことですか?ラヨンラゼールの光も通さないって?」

「いや、今はラヨンラゼールほどの強い光には対応していないが、もっと開発が進んでしまうと時間の問題かもしれないな。」


 塩竈課長は、対ヘルズ・コーポレーションの対策セクションのある【企画課】の太宰課長と、【開発課】の下鴨課長に連絡をして、ラヨンラゼールを強化するための企画開発を提案した。

【開発課】の下鴨課長は、課長補佐の拓実にもこの提案を共有し、課をあげて開発に取り組んでいた。


 「拓ちゃん、最近なんだか忙しそうだね。」

「ああ、詩織にも関係する事なんだけど、まだ発表出来ないんだ。たぶん近く話せる時が来ると思うよ。」

「私にも関係あるの?」

詩織は受付での仕事に、ラヨンラゼールを常備して使用しているので当然関係が大ありなんだが、課をまたいでの共有がまだ許可されていない。

「う、うん…まぁ…

ところで、これ旨いから食べてみる?」

あ、話を逸らした。長い付き合いだから、ごまかそうとしているのがバレバレなんだけど、まだ発表できない話らしいから、スルーしておいてあげよう。

 私の[思い]を聞き取っているはずの拓実は知らん顔を決め込んでいた。


 数日後、下鴨課長は拓実を連れ立って、【企画課】の太宰課長と課長補佐の夏目と共に、77階の【解析課】の塩竈しおがま課長を訪ねた。

塩竈課長のお気に入りの大テーブルに企画書が並べられ、【解析課】課長補佐の成田も同席した。


 「まずは太宰課長、企画書のご説明をお願いできますか?」

「はい。ラヨンラゼールの出力を上げる事を提案いたします。そして、今よりも多数のラヨンラゼールの設置をするといいのではないかと…」

「なるほど。では次に下鴨課長、企画書のご説明をいただけますか?」

「はい。まず現在のラヨンラゼールのタイプA(敵を攻撃する時に使う強い光)とタイプC(壁や床などを穴をあける時に使用する一番強い光)の仕様を更に強くします。それと、対マント対策として、タイプDを設けマントを溶かす仕様にするのはどうでしょう?」

「マントを溶かす…?なるほど。それはいいかもしれませんね。少しでも穴をあけるとか生地が薄くなればラヨンラゼールの効果が発揮出来ますね。」


 その後、タイプAとタイプCの出力アップと、タイプDの構造開発、台数を増やす方向で話がまとまった。

 

 【開発課】の下鴨課長と拓実は自分達の課へ戻る道々、塩竈課長の知識の豊富さに圧倒されていた。仕様を変える提案はしたけれど、具体的に設計に移していくのは塩竈課長の仕事なのだ。

「俺も生前、大学理系だったんですけど、あの溢れるような知識は大学の教授達より凄いと思います。

俺、意見何も言えなかった。」

「そんなことはありませんよ。早瀬さんは提案で活躍されたじゃないですか。塩竈課長はあの仕事を1000年以上続けられているんですから。あとは、塩竈課長に任せておけば大丈夫です。」


 数日後、タイプDを装備したラヨンラゼールの試作品が出来上がった。

【解析課】の塩竈しおがま課長に、【開発課】の下鴨課長と課長補佐の拓実、【企画課】の太宰課長と課長補佐の夏目の他に八幡やはた課長、愛宕あたご課長、妙見みょうけん課長、建御たけみ課長、【振り分け課】の伏見課長、ラヨンラゼール取り扱い責任者の芳澤ありさと私が、77階の大会議室に呼ばれた。


 「お忙しいところ、お越しいただき申し訳ありません。

本日お越しいただいたのは、ラヨンラゼールのタイプDの試作品が出来上がりましたので、感想を伺いたいなと思いまして…」

 拓実がごまかしてたのはコレか。ラヨンラゼールの強化の話しだったのか。これなら別に話してもいい内容だったんじゃないのかな?

 拓実は、私の[思い]が聞こえているはずなのに、こちらをチラリとも見ずにラヨンラゼールの仕様を調べている。


 ヘルズ・コーポレーション製の布を模した生地が用意され、 それぞれが、タイプDの試し撃ちをしてみる。

 タイプDの光線は青色に光る。青の光があたった生地は、火が付いたように穴が広がっていく。

「さすが、塩竈課長。これ、完璧じゃないですか。」

 試し撃ちをした課長達が口々に塩竈課長に賞賛を述べ、本格的に増産する事に決定した。


 さらに数日後、受付カウンターには、新しい仕様になったラヨンラゼールが数台設置された。

 それだけでなく、各課にも数台ずつの設置、今まで武器の取り扱いの講習を受けた事のない人々にも広く講習を受けてもらう事になった。


ラヨンラゼールも進化!!戦いの備えは万端…なのかな…?

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