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ヘブンズ・カンパニー -天国で運命の人に再会しました-  作者: さがわウェンディフェリシア
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二度目の事件

 実は現世の世界にも、このヘブンズ・カンパニーと取引がある人物が永田町界隈ながたちょうかいわいにいたりする。

 知る人ぞ知る、厳重国家機密である。


 その取引は、ヘブンズ・カンパニーでは【啓行みちひらき課】が執り行っている。【啓行課】の課長は猿田彦さるたひこ課長という方で、時々現世の議員会館におもむき、[物事を最も良い方向へと導く]お仕事をされている立派な方だ。


 当然、現世側の取引の相手は存命な政治家になる訳だが、私腹を肥やすような悪事を働く政治家はヘブンズ・カンパニーの存在すら知り得ない。

 薄給でもいいから、人のために、人の役に立ちたいという志の高い政治家のみが取引相手になれる。悲しい事だが、そんな政治家は極々わずかである。

 尚且つ、そんな政治家でさえ、政治家である間のみ[物事を最も良い方向へと導く]啓行みちひらきが賜れる。

 政治家である間には賜れるこの取引だが、引退したり、当選できなかったりすると、次の取引の議員がヘブンズ・カンパニー側から選出され任命される。

取引の出来なくなった政治家はこの取引やヘブンズ・カンパニー関係の記憶は完全に消されるという仕組みらしい。


 現在取引の現世側の政治家は、清澄きよすみという参議院2期目の男が相手で、実にクリーンな政治家なので、猿田彦課長も信用していた。


 「猿田彦課長、お忙しい所いつもありがとうございます。今回のみちひらきも有難く賜ります。

では、次回は来月の二週目の木曜日ですね。」

 清澄議員が、ドアを出している猿田彦課長に向かってそう声を掛けると共に、黒い布を投げかけた。

「清澄さん!? 何を…」

 猿田彦課長が面食らっている隙に、黒い布は猿田彦課長を覆い尽くし、身動きの取れない状態になった。


 「油断したな。その布は弊社ヘルズ・コーポレーション社製の緊縛出来るよう開発された物です。動けないでしょう。ざまぁないですね。くっくっくっ…」

清澄は、抑えきれずに悪い顔で笑っている。

 「あなた…清澄さんではないですね…?」

猿田彦課長は縛り上げられて窮屈な布の中、やっと出せた声でそう言った。

 「そうですね。あのただの人間は、縛り上げてそこのロッカーに投げ込んであります。

あなたが助からなければ、あのただの人間も死ぬことになるでしょうね。くっくっくっ。

 では、参りましょうか。」

清澄に成り代わっていたその男は、本来の黒ずくめのスーツにマントという姿に戻り、右手をあげる動作をすると、猿田彦課長の包まれた黒い布がゆっくりと宙に浮いた。

 そして、黒ずくめの男と共に消えてしまった。


 62階の【啓行みちひらき課】では、退勤時間になっても猿田彦課長が戻らないと騒ぎになっていた。

 86階の【防衛課】の八幡やはた課長に緊急事態の連絡が行き、すぐさま課長会議が開かれることになった。


 議長を務めるのは今回も【正導課】の洒桝しゃます課長が務める。

「猿田彦課長が出かけられたのはどのくらい前ですか?」

啓行みちひらき課】課長補佐の相良さがらに尋ねると、

「午後2時ごろ、お一人で出かけられました。」

「そうですか…そうすると、3時間半ほど前ですね。なぜ、猿田彦課長のアラートがならなかったんでしょうか?彼はストラップを付けていましたか?」

「もちろん付けていたと思います。そうでないと移動できませんから。」


 洒桝しゃます課長は、八幡課長に向かって

「このような場合、どうしたものでしょうか?」

「見ていた人がいないとなると、ラヨンラゼールでの救出は難しいですね。

とりあえず、私と妙見課長で現場検証に向かってみます。」


 八幡課長と妙見課長と二人で会議室から、清澄議員の執務室へと通じるドアを出し、調査にでかけることになった。

「では、行ってまいります。」

「くれぐれもお気をつけて。」


 八幡課長と妙見課長はドアをそっと開け、中の様子をうかがった。

「何か物音がしなかったか?」

妙見課長がそう言いながら、音のした方へと歩いて行った。

 微かに衣擦れの音がした。

「ここか?」

 妙見課長も八幡課長もラヨンラゼールを構えながら、ロッカーの扉を勢いよく開けた。

中には黒い袋状のものが入っていた。

「これ…」

「ヘルズ・コーポレーションのマントの布と同じものだな。開けてみるか。」

二人はさらに慎重に黒い袋を開けると、中から怯え切った顔の清澄議員が現れた。

「清澄さんですか?」

「…はい。」

 まだ怯え切っている清澄議員の肩をポンポンと叩き、

「もう大丈夫ですよ。」

と言いながら、清澄が出易いように袋の口を大きく開けた。


 「ところで、これはどういった事ですか?」

清澄から、この部屋でヘルズ・コーポレーションの使者に襲われて袋に入れられた事、話し声から察すると、使者は自分に成り代わって猿田彦課長をどこかに連れて行った事を聞き出し、清澄議員が入れられていた黒い袋を証拠品として、一旦社に持って帰ることにした。


 帰社した八幡課長と妙見課長の二人が課長会議に復帰し、

「猿田彦課長は清澄議員の執務室で誘拐されたことが分かりました。したがって、ラヨンラゼールでの救出が可能です。

あと、これなんですが…解析をお願いします。」

と黒い袋を【解析課】の塩竈しおがま課長に手渡した。


 取り急ぎ、何台ものラヨンラゼール装置と光の鎧、ハンディのラヨンラゼールが用意され、清澄議員の執務室に設置された。

 八幡課長は清澄議員に人払いをお願いして、春日課長の時のように黒く残った点を探し出し、数人の部隊で猿田彦課長を救出した。


 猿田彦課長は119階の救護室に運ばれた後、愛昏あいぐれ主任からヌティリティフの液を飲まされ、数日の休養で済む程度で、事なきを得た。


今回の救出も最速で成功したようだが、まだまだ序章に過ぎなかった。


猿田彦課長も、本当に事なきを得たんでしょうか?

次回の更新も未定です。

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