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ヘブンズ・カンパニー -天国で運命の人に再会しました-  作者: さがわウェンディフェリシア
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ラヨンラゼール講習

 この所、オンブロの出現がより頻繁になってきた。

 連日のように課長会議が開かれ、受付にもラヨンラゼールのハンディタイプを数台設置することになった。

 そこで、八幡課長による[ラヨンラゼール使い方講習]が開かれた。

 この講習、私と芳澤ありさは必須で受講しなければならない。なぜかと言うと、私達は武器が扱える人として責任者に祭り上げられてしまったからである。


「ありさちゃん…私、責任者なんて器じゃないんだけど…」

「詩織さんより私の方が…だって若輩者じゃくはいものだし…」

 二人とも指名されているのに、その二人でなすり付け合っても仕方のない話だが、責任者という強制的に[責任]を持たなければいけないという立場が重荷でしかない。


「矢野さん…じゃなくて、神崎さん。心配いらないよ。ラヨンラゼールの取り扱いは難しくないからね。慌てずしっかり確認すれば、あんなに心強い武器はないよ。」

八幡課長は、見るからに強そうなガタイのいい身体なのに、明るく優しい笑顔でそう言ってくれた。


 「じゃあ、受付の方々のためのラヨンラゼール講習を始めましょうか。」

八幡課長がそう言うと、受講者にラヨンラゼールの模型が配られた。

「大まかに言うと、ラヨンラゼールは3つのタイプの攻撃が出来ます。

この、右側の部分にダイヤル状のものがあるでしょう?これで、タイプを切り替えます。

まず、[タイプA]これは、対ヘルズ・コーポレーションの人間に対しての攻撃に用います。

かなり強い光が発射されます。ダイヤルをAにセットして、この引き金を引くだけです。

より、的中率を上げたい場合は、この上部の照準を合わせます。ですが、実際そんな時間は勿体ないので目視でも充分あてることは可能です。ただし、距離的にはあまり遠距離には向きません。ある程度近付いて撃つことが大事です。


そして、[タイプB]です。これは、弊社の人間がオンブロに取り憑かれたり、中身を傷つけたくない場合に使います。[タイプA]よりは、かなり弱い光になります。中心よりも外側の、主にオンブロにあてるようにします。万が一、中心にあたってもそれほどダメージはありません。2~3日もすれば回復する程度の怪我で済むと思います。


 最後に[タイプC]です。これは、光の防具を身につけていないと危険なレベルの攻撃です。

先日の春日課長救出時に使用したように、壁や床に穴が開くほどの威力があります。こちらでの使用は避けてください。もし、[タイプA]で攻撃しきれない時には、私達部隊が出向きます。皆さんは大変危険なので使用しないようにしてください。


 では、実際に配られた模型で実践してみましょう。」


 普段、受付カウンターに座ってお仕事をしている社員達が各々、銃のような形のものを構えている。違和感しかない。

ふと横を見ると、嬉しそうにラヨンラゼールを構えている芳澤ありさが目に入った。

「ありさちゃん、楽しそうだね。」

「だって、戦う武器ですよ。ストラップの武器より数倍強いじゃないですかぁ。」

「講習が始まる前はあんなに消極的だったのに…」

「いや、だって責任者は嫌ですけど、武器の扱いは楽しいじゃないですかぁ。」

そうだった。芳澤ありさはそういう人だった。


「これは模型だけど、実際に受付にオンブロが現れた時はホンモノなんだよね…」

「そりゃ、そうですよ。模型じゃ意味ないじゃないですか。」

芳澤ありさに言われなくても分かっているけど、なんとなく怖い。

「怖くても戦うしかないんですよ、詩織さん。」

絶対私より芳澤ありさの方が責任者向きだと思う。


 「使い方の講習は以上です。あとは、オンブロが出たら実際に使ってみてください。

数台を持ち回りで使用していただきますが、神崎詩織さんと芳澤ありささんは責任者として、お二人のカウンター席に常備されます。

では、皆さん取り扱いには充分注意をしてご使用ください。」


 ラヨンラゼール使い方講習の数日後は、平穏無事で何事も起こらなかった。

「せっかく使い方覚えたのに、全然来ないじゃないのよぉー。」

芳澤ありさは、実際にホンモノのラヨンラゼールを使ってみたくてしょうがないらしい。

私は、[武器]というだけで怖いのに。でも、こういう人が近くにいると心強い。

「詩織さん。早く撃ってみたいですよね。奴ら早く来ないかな?」

敵の襲来を待ち望むのもどうかと思うけど、私も忘れないうちに一度くらいは体験しておきたいと、思い始めていた。



 「来ましたよ、詩織さん。」

そう言いながら、芳澤ありさはダイヤルを[タイプA]に合わせ、ラヨンラゼールを構えた。

言われて振り返り見ると、伏見課長を襲ったオンブロと同じような恰好をしたヘルズ・コーポレーションの使者が低い体勢で身構えていた。

私も、慌てて芳澤ありさと並び、[タイプA]にセットしたラヨンラゼールを構えた。

「行きますよ、詩織さん。3…2…」

芳澤ありさが、息を合わせるためにカウントダウンをしてくれたのに、私は1を待たずに撃ってしまった。

「あ、ずるいですよ。私も撃ちまーす!」

2人がかりで撃ったラヨンラゼールは、見事にヘルズ・コーポレーションの使者を打ち砕き、木っ端微塵となった。


 「やったぁ!!」

思ったより簡単だった。大した武器だ。私は芳澤ありさとハイタッチをして喜んだ。


 でもこれが、これから始まる戦いの幕開けだと気づいていなかった。


戦いの火蓋が切って落とされたようです…

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