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ヘブンズ・カンパニー -天国で運命の人に再会しました-  作者: さがわウェンディフェリシア
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戦士候補生

 ある日の昼休憩中、元ストーム&ハリケーンのケントくんと偶然バッタリ会った。

「あ、ケントくん。」

「ああ、受付の…えっと…」

「矢野です。矢野詩織。」

「矢野さん。その節はお世話になりました。俺、恨むのやめたから、もう変な影ないでしょ?」

そういえば、すっかり影が浄化している。

「よかった。どう?こっちに慣れた?」

「うーん…俺、バイトすらしたことなくて、アイドルしかやって来なかったからさ、事務仕事に慣れないんだよな…あ、でも、あれは楽しかった。護身研修。」

「え?もう研修行ったの?」

「うん。結構難しかったけど、楽しかったなぁ。」

「ケントくんはどこの支社で受けたの?」

「シンガポール支社。俺、割とアジアの人たちには有名人だから、サイン求められたりしちゃって大変だったけど。」

ケントくんのその一言で、マイク・アンダーソンの事を思い出していた。

「ねえ、ケントくんは何が得意?」

「あれ?矢野さんも研修行ってるの?あの研修って殺された人だけって聞いたけど。」

「そうなの。私も…」

「そうなんだ。俺はどれも得意だけど、ソードが一番得意かな。剣を使った立ち回りは、ドラマや舞台でやってたからね。」

と、説明しながら剣を振る仕草をして見せた。綺麗な顔で、綺麗なポーズで格好よく様になっていた。

 ああ…おばあちゃんに見せたかった…

「おばあちゃん?俺のファンなの?」

「筋金入りのね。私も子供の頃、おばあちゃんと一緒にライブに行ったよ。」

「ありがとう。おばあちゃんによろしく言っておいて。」

「それが…ケントくんがここへ来る少し前に転生しちゃったの。きっと残念がってると思う。」

おばあちゃん、ジョリー事務所にコネはなかったけど、ケントくんが、今おばあちゃんの存在を知ってくれたよ。よかったね。

「ねえ、今度一緒に食事行こうよ。」

彼のチャラさは相変わらずだった。


 なぜか、私の周りの護身研修経験者はみんなボウが得意だ。マイク、拓実、芳澤ありさ、そしてケントくん。

護身研修では結構苦手そうな人の方が多かったと思うんだけど…。これは、いよいよ誰かに訓練してもらおうかな。ま、誰かと言えば決まっているけど。

「ねえ、拓ちゃん。」

「でしょうね。やっぱりそれは俺の役目だよね。明日、食事の後に少しやる?」

「うーん…あまり気が乗らないけど…やるしかないよね。」

「じゃあさ、他の護身研修経験者も呼んで、みんなでやったらどうかな。」

「あ、それいい!」

私は芳澤ありさと、ケントくんにも声をかけてみた。二人共二つ返事でOKだった。


 翌日、4人で食事をした後、課長に許可を取って、広めの会議室を借りて練習することにした。

なぜか、伏見課長や下鴨課長、お久し振りの【聞き取り課】の出雲課長まで同席してくれた。

「課長たちから見られると、凄くプレッシャーなんですけど…」

「大丈夫ですよ。私達も練習に参加するだけです。」

護身研修の時の順番通り、まずソードから練習することになった。

私が護身研修を受けたのは去年の年末なので、8か月も前の話だ。久し振りなので、ソードを出すことにも少し手間取ってしまった。

 

「剣は接近戦の時には有効だけど、扱うのは難しいよね。特に女の子は力で負けちゃうから。」

ケントくんがそういうと、芳澤ありさは自信満々に剣裁きを見せた。

「すごいね。」

美しい剣裁きに、ケントくんや課長たちも感心していた。

「私、子供の頃に剣道やってたから♡」

こんなに強いのに、ストーカーに殺られちゃったのか…

「油断してたの。だって、部屋で眠っている間だったから。」


 剣の扱いの経験者の芳澤とケントくんが詳しく剣筋や剣裁きを教えてくれた。

「とにかく、まず剣を振って慣れる事が大事だよ。」

ストラップから出したソードとはいえ、ずっと振っていると結構疲れる。下の世界で同じことをしたら、もっと疲労感があるだろうけど。

「ちょっと休憩。」

私はそう言ってその場に座り込んだ。課長たちも次々に座り込んでいた。


 続いてウィップの練習に入った。

まず、瓶を3本机の上に置いて、それをウィップで割る。これは、拓実が一番上手かった。ウィップで瓶を巻き取って手元に持ってくるなんて上級テクまでやってのけた。

「早瀬さん、すごいっすね。俺も頑張ろっと。」

芳澤ありさもソードやボウほど得意ではないが、何回かに1回は瓶を割っている。

「こうしてみると私って落ちこぼれだな…」

結構練習しているのに、ちっとも瓶を倒すことも出来ない。

「ああああああ。休憩!!」と言ってまた座り込んだ。

「誰のための練習なんだよ。もうちょっと頑張ろうよ。」

拓実はそう言うけど、私が座り込んだので、みんな休憩に入った。


 なんだか、芳澤ありさとケントくんがいい雰囲気で練習している。

あれ?これはもしかして…

なんて下世話な事を考えていたら、課長たちが

「今日はお開きにしましょう。また次の機会で。」

と、しめられてしまった。

今日は肝心のボウの練習までいけなかった…


次の更新は19日の予定です。

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