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ヘブンズ・カンパニー -天国で運命の人に再会しました-  作者: さがわウェンディフェリシア
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ヘルズ・コーポレーション対策

 眩しさに目が慣れてくると、そこには伏見課長と下鴨課長が立っていた。

「課長。助けて頂いてありがとうございます。」

「危なかったですね。間に合ってよかったです。」

また、課長たちに助けられた。きっとまた始末書だ。


 「残念でしたね。明日は牛や馬に乗ってまた船旅で帰って来る予定でしたのに。」

そうか。行きの船でははしゃいだ割に色々体験できなかったので、帰りに、と期待していたのに…

悔しがる私を見て拓実は「また来年一緒に帰ろう。」と言ってくれた。

「因みに、今回の件は不可抗力なので始末書は書かなくて結構ですよ。報告書を書いてもらうことになりますが…」

と、伏見課長が眼鏡を押さえながら言った。

「不可抗力?」

「そうです。お盆の海が危険なのは確かですが、あなた達のように…その…」

伏見課長は言いにくそうに言い淀んだ。

「俺たちのように殺された人間ってことですか?」

「はい。そういう方々はヘルズ・コーポレーションに狙われやすいという事実があるんです。」

「やはりそうですか。」

拓実には思い当たることがあったらしい。そういう私も、ここに強制送還されるのは二度目だし、寛樹の時の件もある。


 「狙われやすい方々が一緒に行動されていたので、`オンブロ’も成長が早かったのでしょう。」

あの黒紫には`オンブロ’という名前がついていたようだ。

私は納得がいかず、

「それは…じゃあ拓ちゃんと一緒にいちゃいけないってことですか?」

というと、下鴨課長はゆっくりと説明してくれた。

「そうではありません。誰にも二人が一緒にいることを制限なんて出来ません。ただ、この所ヘルズ・コーポレーションの動きが活発になってきているんです。先日、伏見課長からお使いを頼まれたでしょう。あれも、この先を見越しての研修のようなものです。」


やはり、地下13階へのお使いには意味があった。でも私には、ヘルズ・コーポレーションが活発化しているのと、地下13階に慣れるのが必要な事が結びつかなかった。

「あの、どういうことでしょう?」

「矢野さんにお話してはいないのですか?」

下鴨課長は拓実に向かってそう言った。

「ただ、怖がらせるだけだと思って。」

拓実は、私の方には顔を向けない様にしてそう言った。

「そうですか。では、追々のご説明ということにしておきましょう。」


 拓実の余計な一言で、肝心な所を教えてもらえなかった。

うぉーい!めっちゃ気になるじゃないの!!

私は拓実を睨むように見上げた。拓実は長年の対私たいわたしへのスキルでスルーを決め込んでいた。

でも、私もバカじゃない。『ヘルズ・コーポレーションの活発化』、『狙われやすい』、『怖がらせるだけ』このキーワードでなんとなく察してしまった。身を守る術を磨いておかなくてはいけないという危機感が植え付けられた。


 お盆休みも終わり、通常業務の日々が戻ってきた。私は、お盆にあったことと、『ヘルズ・コーポレーションの活発化』、『狙われやすい』、『怖がらせるだけ』というキーワードを入手したことを芳澤ありさに話した。

「やっぱり。私もそんな気がしてた。護身術磨いておかないとね。」

芳澤がストラップ・ボウの名手だということはもう知っている。

「近く、戦いがおこりそうね。」

なんだか、芳澤はワクワクしているように見える。

「私ね、子供の頃から少女漫画より少年漫画派だったの。戦う漫画が大好きでね。あと、戦隊物も好き。女の子の主人公物と言えば、セー〇―ムーンが大好きだったの。」

意外だ。こんなかわいい顔して中身はまるで戦士のようだ。私はゴリゴリの少女漫画派だったので、愛だの恋だの恋愛攻略の漫画はたくさん読んできた。だからと言って、あまり活かせてはいないんだけど。

どうやって戦うか…とは考えたこともない。今からでも何か読んでおくべきかな…?


 「ねえ、拓ちゃんは護身研修でどれが得意だった?」

今日はビールジョッキを片手に唐揚げを頬張っている拓実に聞いてみた。

「俺は全部得意。」

「私、ストラップ・ボウが苦手で…護身研修の時、最後のゲームも私のせいで負けちゃったの。上手くなるコツってある?」

「練習するなら付き合うけど。」

やっぱ、上達するには練習あるのみなのか…

「距離がある時の攻撃では、ボウはウィップより有効だから上手くなっておいた方がいいよ。」

「そうだね…」私はだし巻き卵をつつきながらそう答えた。

この前の海辺での件も、拓実がドアを出す間に、私がボウで攻撃が出来ればもう少し違っただろう。課長たちのお陰で難を逃れたけど。

そういえば、お盆には移動制限されていなかったのに、どうやって課長たちは危機を察知出来たんだろう?

拓実は揚げ出し豆腐を食べながら涼しい顔で、

「俺がドアを出しながらアラート飛ばしたから。」

と言っていた。

「そんなこと出来るの?」

「出来るよ、俺はね。」

出た。ドヤ顔だ。でも、守ってくれたし、ここは素直にお礼を言っておこう。

「拓ちゃん。ありがとう。」

「詩織を守るのは俺の仕事だからね。」

またそういう殺し文句言って…

…最終的に守ってくれたのは課長たちだけど…


次回は…なにやら始まる予感…?

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