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ヘブンズ・カンパニー -天国で運命の人に再会しました-  作者: さがわウェンディフェリシア
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護身研修 3

 研修4日目、「今日は31ページのストラップ・シールドの実習です。」講師はそう言うと、またもストラップを首から外し、大きな円を描くようにシールドを出した。もう4日目ともなると、研修生達からの歓声も上がらなくなった。

 研修生達もそれぞれ円を描いてシールドを出した。

「意外と簡単だね。ボウが難しかったから、シールドは楽ちん。」

研修生達が簡単にシールドの出し方をクリアしたので、ここからはまた二手に分かれて、鬼ごっこのようなサバイバルゲームをすることになった。

今日のチーム分けは、私がチームA、マイクはチームBだ。

 講師陣から各人に、中に色水の入った水鉄砲を渡された。これを敵チームに向けて撃って、撃たれた方はシールドを使って避ける。最終的に色水の汚れが多い方のチームが負けという訳だ。

「それでは、用意スタート!」

合図と共に、ゲームが始まった。私はというとマイク狙いだ。連日お世話になっているというのに、勝負の世界にはそんなこと関係ない。

「マイク!覚悟!」私の水鉄砲攻撃はシールドで交わされた。「シオリ、僕は女性は撃てないよ。」そう言いながら私の横を通り過ぎて、振り向きざまに撃ってきた。

「ずるい。不意打ち!」頭に来たのでマイクに向かって撃ちまくってやった。

今日の結果はチームA の勝利。私のチームの勝ちだった。マイクは私だけでなく、たくさんの人から狙われて、色水でぐちょぐちょになっていた。


 今日も恒例のマイクとディナーとミニライブだ。

「マイク、私の友達の拓実があなたの大ファンなの。電話してもいい?」

「もちろんOKだよ。」

私は宙に向かってストラップを振り、拓実に電話をした。

「拓ちゃん。マイクと一緒なの。マイク、私の友達の拓実。」

「…友達?」せっかくマイクに紹介したのに、拓実の機嫌が悪い。

「タクミ。ハロー。君の大事なシオリを借りて申し訳ないね。」

「マイク、俺は詩織の友達じゃなくて、恋人だから。」拓実は憮然とした表情でせっかく大スターと生電話のチャンスだというのに、マイクに八つ当たりをしている。

「シオリ、恋人ならそう言ってよ。タクミが心配してるじゃないか。」

拓実は意外とやきもち焼きだ。ま、友達と紹介した私が悪かったんだけど。

「拓ちゃん、せっかくマイクが話してくれてるのに。マイクごめんね。」

「OKだよ。シオリは本当にタクミに愛されてるんだね。」

拓実も反省したのか、「すいません。俺…」と謝って、いかに自分がマイクのファンだったかを語り始めた。


 研修5日目。「今日からは、武器と防具を一緒に扱う実習です。」

ん?どういうこと?

「武器と防具は一緒に出すことはできません。ストラップは一つですから。ですので、武器で攻撃しながら、守る時はシールドを出す、という練習をしましょう。」

 講師が二人でお手本を見せてくれた。一人がソードで攻撃していると、もう一人はシールドで攻撃を防いでいる。と、攻守逆転して、シールドを扱ってた講師がウィップに、ソードを扱ってた講師がシールドに変えた。

「いかに早く切り替えるかが大事です。まず、ソードを出してください。」

研修生それぞれが、難なくソードを出した。

「それでは、それを素早くシールドに切り替えてください。」

む…難しい。上手くいったかと思っても、シールドの持ち手がソードの先になっていて握れなかったり、シールドになっても、ソードのように細くてとても守れないものが出来上がる。ゆっくりやれば、どちらも簡単に出せるようにはなっていたが、素早くというのが難しい。

丸一日かけてソードからシールド、シールドからウィップの練習をさせられた。


「疲れたー。マイク、今日は私がご馳走する。いつも奢ってもらってばかりだから。お酒飲みたいよね。パブ行こう。」

「シオリ、お酒はタクミに叱られるから、健全なディナーにしよう。」

拓実の存在を知ってから、マイクは訳の分からない口説き方はしなくなった。スターなのに、こういう所はちゃんとしている。何度も言うが、本当にいい人だ。仕方がないので、お酒はホテルに帰ってから飲むことにする。

「日本食にする?寿司とか、天ぷらとか?マイク何がいい?」

「ラーメン。」

アメリカのヘブンズ・カンパニーの3階の飲食フロアにもラーメン屋さんがあるんだろうか?

…あったよ。狭い店で、カウンターとテーブル席が数席しかないような店だったけど。他に客も見当たらなく貸し切り状態だった。

「今日はミニライブはなしだね。」私はミニライブも嬉しかったけど、マイクとゆっくり話がしたかった。

「マイクが亡くなった時って、全世界にトップニュースで扱われてたけど、死因って発表されてなかったよね。」

マイクは、少し考えてゆっくりと口を開いた。

「僕は、ファンに刺されたんだ。そのファンっていうのが事務所の社長の息子だったから、発表されなかったんだよ。」

「え?マイクって殺されたの?」

「そうだよ。この護身研修って、殺された人が受けるものだから。シオリもそうだろう?」

「待って。これって殺された人が受ける研修なの?私、やっぱり殺されてたんだ。」

「シオリは知らなかったのかい?」

「ううん。薄々感じてた。誰に殺されたのかも。私、たぶん旦那に殺されてる。」

「旦那?拓実は?」

「私、旦那と結婚する前に拓実と付き合ってたの。でも、拓実が殺されて。たぶん会社の先輩もグルだ。」

「タクミも殺されたのかい?」

「そう。拓実も最初殺されたって気付いてなかったの…あれ?ごめん。ちょっと考えることあるから私帰るね。」

次回、詩織の死因が明らかになります。

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