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なんとも間抜けなきっかけ

「魔女殿! 急で悪いがひとつ頼みが……」


バン! と勢いよく扉が開いて、逆光の中大きな体がズンズンとこちらへ近づいてくる。

私は慌てて声を張り上げた。


「待て! 今はまずい……!」


「おっと」


「ああああ〜〜〜!!!!」


おっと、なんて気の抜けた声を上げたうっかり騎士ことアークは、気持ちよくすっ転ぶ。


ドス! ガシャン! なんていう聞きたくない音と共に、一見細く見えるけど騎士だけにしっかり鍛え上げられた肉体がボロッちい棚に盛大にぶつかった。


もちろんその肉体を受け止めた書棚は倒れそうなくらいに大揺れに揺れて、もうもうと埃が立ち込める。


うわぁ……最悪。


かなりデキる、部隊長も務めるほどのお方だと聞いているのに、この人ときたら私の家を訪ねるたびにこうして大なり小なり何かしらやらかして帰るのよね。今日はぶつかったのが書棚でまだ被害が少なくて良かった。


なんて考えていた私の頭に。


ゴスッ!


酷い音を立てて、固い何かが落ちてきた。



***



……頭が割れるように痛い。


最初に感じたのはそれだけだった。


「あっ!!!!! 目が開いた! 良かったぁぁぁぁぁ!!!!!」


「〜〜〜〜〜〜!!」


割れんばかりのデカい声。ただでさえ痛かった頭に思いっきり響いて、私はキュッと顰めて両手で耳を塞ぐ。


「……?」


その時、僅かな異変に気がついた。


あれ? 思ってたのと感触が違う。耳があるはずのところがなんかモフッとしてる?


しかしその異変について考えてる暇なんて微塵もなかった。


「良かった! 魔女殿、気がついて良かったぁぁぁぁぁ!!!!」


がしっと抱きつかれ、驚いている間に両脇の下をガッと支えられたかと思うと頭上より高く持ち上げられて、私は思わず悲鳴をあげる。


「ひぇぇ、何!? こわ!! イタタタタタ」


「大丈夫か! あ、頭が痛いのか!? でっかい瓶が落っこって来たもんなぁ」


「それ、死ぬヤツ……」


心配そうに見上げられ、そろそろと目線の高さにおろされる。アークの真っ青な空みたいに明るい瞳が大きく間近に見えて、私はあまりの恥ずかしさに身を捩る。けれどドジっ子とはいえさすがは騎士。アークの手は力強くて貧弱な私如きでは話にならない。


そもそも、とことんうっかりサンのくせに、顔は飛び切りカッコよくて人懐っこいからタチが悪いんだ。


魔術漬けで男の人となんてろくに話した事もない私にとって、依頼だと言っては頻繁に訪ねて来てポカをやらかし、からからと笑いながらくだらない話をしてくれるこの人は、どうしたって好ましい。


さらにカッコいいんだから惚れない筈がないじゃない。

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