シリーズ第一弾『双子のエルフとはぐれ火龍』のネタバレです。よければ本編を読む前に是非どうぞ。登場人物紹介と用語解説と第一弾の粗すぎるあらすじ〜初出しネタも少しはありますよ〜
まずはお詫びと訂正を。
前作内で組織本部のあるユシェイグの位置を、紫二、三番と黒二、三番に囲まれた、と書いておりましたが、正しくは紫二、三番と青二、三番です。
すみません。
【登場人物紹介】
●リー(本名リーシュ)
茶髪に金茶の瞳。童顔小柄の大剣持ち、高所恐怖症な実は二十二歳。とっくに成人(十六歳)しているのに外見から酒の提供を渋られることも、顔と酒量のギャップに引かれることも、しばしば。
人の身に龍の魂を持つといわれる龍の愛子であり、黄金龍アディーリアの片割れ。片割れ同士は絆を結ぶと互いの感情と居場所がわかるようになるが、今はアディーリアからの一方向のみ。龍の愛子の特性として、龍に好かれ、出逢った龍には近付くと居場所を知られ、エルフという種に魅了されない。
依頼を受けて主に魔物に関する問題を解決する請負人組織に所属する、中級請負人。龍に関する依頼、通称百番案件の担当となった。
少々口は悪いが、基本はお人好し。文句を言いつつ世話を焼く。残念エルフと残念龍へのツッコミに忙殺されるが、傍から見ると本人もツッコミどころ満載。身長と剣の長さの兼ね合いで、曲芸めいた抜き方でしか剣を抜けず、軽装備であることにも理由あり。ともに本人はその理由を頑なに認めない。
●ウェルトナック(人の姿時カナート)
メルシナ村の護り龍の水龍。村に隣接する森の中の池に家族と棲む。魔物の頂点である龍は、魔物から畏れられる存在。護り龍は魔物避けとして人里に棲む龍のこと。昔は人の世を旅歩いていたらしく、知り合いも多い。それゆえか龍には本来必要のない食事や酒を好む、子沢山の恐妻家。
●アディーリア
ウェルトナックの末子の水龍で珍しい黄金龍。まだ幼く、リーとの絆を結ぶもあまり制御はできない。片割れであるリーのことが大好き。幼さゆえか性格か、リーが来るとべったりで容赦なく大好きを振りまく、どこまでも素直で無邪気な子龍。
●エリア(本名エリア・シェーザ・アス・ミオライト)
リーが知り合ったエルフの双子。フェイより明るい赤髪、赤い瞳。エルフ年齢二十歳、人換算は十六歳ほど。世間知らずのマイペース。常識外れなエルフ理論と双子理論を展開してはリーにツッコまれる日々。魔法に長けるエルフではあるが、魔力量、技量、威力ともに中の下くらいであまり役に立たない。
●ティナ(本名ティナ・シェーザ・アス・ミオライト)
リーが知り合ったエルフの双子。金髪、金の瞳。エルフ年齢二十歳、人換算は十六歳ほど。無口なマイペース。大事なことは喋る模様。魔法に関しては高い素質を持つが、補助的な魔法が使えないぶっ放しオンリー。なぜか加減ができず高威力な初級魔法を二発撃つと昏倒するのであまり役に立たない。
●フェイ(龍の名エルトジェフ)
リーが知り合ったドマーノ山に住む火龍。真紅の髪、真紅の瞳。幼い頃にウェルトナックとともに人の世を旅歩いていたためか、龍の常識には少し疎い。かといって人の常識もあるとはいえない難儀な龍。独り立ちしきれずドマーノ山に百年ほど籠もっていたが、リーを介してウェルトナックと再会、現在はリーとともに旅をする。龍は基本的に飛ぶことが苦手だが、移動手段としてこき使われることも。
●ジーク、シエラ、ナバル
金細工師のリーの兄(二十九歳、茶/金茶)、姉(二十七歳、茶/金茶)、菓子職人の義兄(二十八歳、濃茶/黒)。故郷のバドック村に住む幼馴染同士。幼い頃に父母を亡くしたリーにとっては親代わりの一面も。リーもジークもシエラには勝てないが、シエラも夫のナバルには弱い。
●ネイエフィール
バドック村の護り龍の地龍。リーのことは生まれた時から知っており、大切に思っている。それゆえか少し過保護気味。
●トマル(龍の名チェドラームト)
請負人組織本部にいる地龍で百番案件の担当。普段は人の姿で敷地内の庭師をしている。リーとは請負人養成所時代からの知り合い。フェイ、ウェルトナック、ネイエフィールと旧知。
●セイン(本名セイン・ワクラー・アド・ロットシェル)
金髪、青い瞳のエルフで養成所の対魔法担当教師。組織内では別の立場もある模様。物腰穏やかな優男風ではあるが、時折黒さが洩れる一面も。妻は本部の、次女ラミエは紫三番の、それぞれ組織職員かつ食堂勤務。
●ラミエ(本名ラミエ・ワクラー・アス・ロットシェル)
金髪、青い瞳のエルフで組織職員。エルフ年齢三十二歳、人換算は二十歳ほど。人を絆すエルフの特性から、揉め事への抑制役として紫三番の食堂に派遣されている。エルフに慣れない人々からの好意に悩む日々であったが、養成所に入りに来た頃のリーと出逢い、その在り方を見て立ち直った。恋愛はマイナスに振り切る予定だった作者の思惑を捻じ伏せ、徐々にリーを誑し込む困ったちゃん。
●ミゼット
紫銀の髪、金の瞳のエルフで表向きは組織職員だが、実は裏ボス。今の請負人組織の方針を定めた初代組織長の妻。見た目は二十代後半。年齢を記そうとすると某かの力が働き邪魔をする。陰では『ねぇさん』と親しみと畏怖を込めて呼ばれている。ラミエの見習い時代の指導役。素質と経験を兼ね備えるため、魔法の実力はかなりのもの。
●マルク
銀灰の髪、銀の瞳の請負人組織の組織副長の風龍。見た目は五十歳前、細身の長身。運営面に関しては少々懸念の残る組織長に代わり時折魔物の頂点らしい脅しも入れつつ組織をそつなく纏め上げる、押しの強い御仁。働きに見合った報酬を支払うことに異論はない。
●レジスト
第十代組織長。少し若く見られがちな四十三歳。戦闘能力は組織随一、人望も厚い。表裏がなくまっすぐな性格だが、それゆえ細かなことは不得手なので、組織の運営面はマルクに丸投げしている。ミゼットに年齢を尋ねてキレられたことがある。
●グレイル、デイン
レジストの同期かつ友人で上級請負人。レジストと共闘ができる数少ない人員。グレイルは大剣持ち。レジストとミゼットの件の騒動時には訳のわからぬまま巻き込まれ誤爆。
●アーキス
銀髪で藍色の瞳の中級請負人。リーの同期で親友。二十二歳。優しげな外見に似合わぬ酒豪で、リーとふたり揃うとますます手が止まらない。人付き合いに長け、養成所時代に孤立しかけたリーを助けたことがある。色々と聡いが押しつけることはない気遣い超人。詳細も聞かずに喜んで巻き込まれてくれるほど、リーのことは信頼している。
●ギル(龍の名ギルスレイド)
少し暗めの金髪に金の瞳の中級請負人で、リーの同期。二十八歳。物腰穏やかな落ち着いた人物。酒は飽きるほど飲んだらしい。
ウェルトナック、フェイと旧知の、かつて龍であったもの。人の身体の所々にくすんだ金の鱗を持つ。本人曰く、贖罪の途中。
●セーヴル
リーの同期の中級請負人。三十五歳の愛妻家。人のいいおっさん。リーは彼の妻とも知り合い。
●ユーディラル
ウェルトナックの四男で、アディーリアの兄の水龍。まだひとりでの外出許可は出ていない。同じく池から出ることを許されていないアディーリアとふたり、外に憧れている様子。
【用語解説】
●請負人
依頼を受けて解決をする組織及び組織員。通常は組織員のことを指す。北西にあるユシェイグ地区一帯を本部とし、主に魔物に関する依頼を引き受ける。
街道の交差部にある各宿場町に支部があり、近隣の依頼を受けることができる。依頼主と受けた請負人はともに割板を持ち、依頼の完了の際には割板を交換、各々が支部へと報告書とともに提出する仕組みとなっている。
請負人には上級、中級、下級の三段階の級があり、それぞれで受けられる依頼や手数料が異なる。
その場での金銭のやり取りはなく、依頼料は年に二回、各五十日ずつの猶予期間のうちに本部で手続きをすれば、前年度の給与を受け取れる。もちろん手数料や借入金は差っ引かれたあとである。
その分の保障はしっかりしており、各支部で金を借りたり、武器防具の融通など、手元に金がなくともどうにかなるだけの体制は整えられている。
各支部の職員は引退した元請負人がほとんど。
組織本部は青の二番三番、紫の二番三番に区切られたユシェイグ地区一帯。職員には龍とエルフがそれなりの数いると推測される。武器防具の開発製造も組織内で行われており、敷地内に鍛冶屋街がある。リー愛用の防具も組織内で開発されたもので、聞くに堪えない製造法をしているらしい。
●龍
魔物の頂点。それゆえ魔物が寄りつかないので、護り龍として人里の傍で棲む龍もいる。人の姿を取ることができるので、人に紛れて住むものもいる。
水龍、地龍、火龍、風龍の四種がおり、稀に種を問わず金の鱗を持つ黄金龍が生まれる。
すべてを見透かす眼を持つといわれ、人の悪意を見抜くことができる。龍の意思なく剥がすことのできない鱗、龍の名、ともに信頼したものにしか渡さない。万物から生きるための糧をもらえるため、基本経口での栄養摂取は不要。個から種へと声を伝えることができる。
龍は長い一生の間に数人の『片割れ』となる人を得る。互いに絆を結ぶことで、相手の感情と所在地がわかるようになる。人にはわからないが、龍には出逢えば片割れとわかる。龍の魂を持つといわれ、龍に好かれる特性を持つ龍の愛子は、例外なく黄金龍の片割れとなる。
水龍と風龍は手足が短く体の細長いヘビ型、地龍と火龍はどっしりとした体に太めの手足と尻尾のトカゲ型が基本形態だが、人の姿も含め、何にでも変わることができる。魔力で空を飛ぶので、飛びながらの攻撃はできない。基本飛ぶのは不得手。
●エルフ
長い耳が特徴的な、ほぼ例外なく整った容姿をしている魔法に長けた種族で、多くはその集落でひっそり暮らす。寿命は三百年ほど。
魔力量もその器も人と比べ物にならぬものを持つが、魔力を溜めおくことができないため常に垂れ流しの状態。魔力が切れたままだと、すぐに影響はなくとも、最悪の場合は死に至ることも。そのため集落は魔力の溜まる場所に作られている。集落を出るときは魔力を溜める性質を持つ石を持ち歩かねば、経口での魔力補給に頼ることになる。
その存在が人を絆す種で、耐性の低い者は無条件に恋情に近い想いを抱くことも。尤も容姿がいいのでそのせいもあると思われる。
基本引き籠って暮らしてきたため、常識に疎く頭が固い、ちょっと残念な種。個人名・家族名・性別・村の名からなる本名を略して呼ぶのは恥知らずな真似であるが、家族は後半が同じなので略してもいい。通常飲酒は禁止されているが、年に数度気紛れに行われるお祭りの間は略して呼ぶのも飲酒も許される無礼講。実は村長を始め村の大人たちが酒を飲みたくなったら開催されるのだが、子どもはその理由を知らない。
●お金
高い順から、丸金貨、角金貨、丸銀貨、角銀貨、丸銅貨、角銅貨。それぞれ十枚で次の硬貨一枚分。
丸銅貨二枚ほどで大人が一食食べられる。
●街道
街道は格子状に七本ずつ。
東西を結ぶ街道は、北から一番〜七番まで。
南北を結ぶ街道は、東から白黄橙赤紫青黒の七本。
一区画は徒歩二日、馬なら一日。中央に宿泊施設がある。両側に木が植えられた光景はどの街道も同じような造り。
交差部には宿場町、たとえば白の一番と、交差する街道名で呼ばれる。
各町村へは街道から横道があり、分岐点には道標が立てられている。
【『双子のエルフとはぐれ火龍』はこんな話!】
ひょんなことから龍の依頼を受けることになったリー。
シングラリアと名付けられた未知の存在との戦いの中、様々なものと思惑に出会い、やがては己の真実を知ることになる。
ほとんど人物紹介と用語解説中に書いてしまったために、あらすじとして書くことがこれ以上ありません!
もちろん書いてないことも少しはありますが…。
ちなみに。
前作のテーマは『葛藤』、種ではなく、特性でもなく、個として在るために。
今作のテーマは『挫折』です。
思ったよりも長くなってしまいましたが、おつきあいありがとうございます。
これより本編開始です。




