探索者協会札幌支部
「そういえばここどこだ?」
悲鳴が聞こえた後地図もみないで走ってきたから現在地が全然わからん。
「え、あ、わからないです...」
それはそうだよな...。あんなのと会ったらいろいろ他の事を忘れてもおかしくない。地図、確認するか。あれ、そういえば俺の槍と鞄どこいった?確かこの子を助けたときに投げ出したような...。
「あ、そういえば多分これ、悠斗さんのですよね?」
「そ、そうだけど。回収しててくれたのか」
怖いはずなのによくやるよ。ところで今どっから出した?
「えへへ、昔父さんからもらったマジックバックです。容量大きいやつで、いつもいろんなもの入れてます」
驚いてるのが顔に出てたか。にしても、大きいサイズのマジックバックなんて車帰るレベルで高いぞ?
「実家が金持ちなのか?」
「ま、まぁ一応そうですかね? 他の人達と比べると全然ですよ?」
多分他の人ってのは、同じ社長令嬢のお友達とかそんな感じだろう。一般人の家庭なんてそうマジックバックを買えるようなもんじゃないからな。
まぁいい。かかわるのもこれっきりだし、そういう人もいるもんだと覚えておこう。
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現在地が分からなくて少し苦労したが地図を見て、何とかダンジョンから出ることができた。道中俺たち二人とも少しも怪我をせずに出てくることができた。あんだけ怖い思いをしたんだ。これ以上怖い思いをしてほしくはないからな。道中あったゴブリンは全て深淵の槍でワンパンした。
「悠斗さん、ありがとうございました! あなたのおかげで無事にダンジョンからでられました!」
「ああ、よかったな。俺も美佳に怪我がなくてよかったよ」
いろんな意味でな。ちなみに名前呼びは道中でそうするように言われた。『苗字にさん付けなんて距離を感じますね...。ぜひ名前で呼び捨てでお呼びください!』だってさ。
「え、えへへ...」
なんかにやにやしてる。これをおっさんがやってたら犯罪者なのに美佳がやるとかわいいから不思議だよな...。
「とりあえず改札から出て探索者協会札幌支部に向かおう。そこで今回の件を処理してくれるはずだ」
「そうですね...。今は午後4時ですか。ここからだと札幌支部までは歩きだと1時間強かかってしまいますし...。私の家の車を呼びますね。悠斗さんも乗って行っていださい!」
ここはタクシーを使おうってはっそうにならない辺り、すごいよなぁ。完全にタクシー使う気でいたぞ俺。
「あ、ああ。わかった」
「もしもし矢部さん?GPSで今いるところはわかるでしょう?そこに車を。...なるべく早めにね」
...。GPS?相当金持ちなんだな、美佳の家。
「10分くらいでつくと思います。それまで少しお話しませんか?」
「構わないよ。何を話すんだ?」
「あの、LUIN、交換しません?」
LUINはスマホのチャット、通話用アプリだ。俺は家族の連絡先しかもってない。
「俺はいいけど...。いいのか?」
今まで一人も俺と交換してくれようとはしなかったからな。
「もちろんですよ! むしろ交換したいです!!」
「お、おう。じゃあこれ、読み込めば交換できるんだろ?」
そういってQRコードの画面を差し出す。昔暇なときに意味もなく見てたりしたなぁ。交換する相手いないのに。
「ありがとうございます! よし、これでお友達です!」
友達の欄に初めて追加された名前を見て、俺は密に感動を覚えていた。うれしいものだな、連絡先が増えるの。
そういえば急にはなるが、なんで美佳はダンジョンの中にいたんだ?
「そういえば美佳、なんでダンジョンの中にいたんだ?」
「先週探索者登録をしまして。スキルが欲しかったんですよね。それで武器持ちゴブリンくらいなら倒せると思って初ドロップを持ち帰ろうとしてあそこにいたって感じです」
なるほど。確かに武器持ちゴブリンくらいは倒せるか。そもそもあんな化けものがいる階層にいるものだと錯覚してしまった。そういえばあれはイレギュラーだもんな。
「私も質問いいですか?」
「ん、いいぞ?」
「あんま聞くべき質問じゃないってことはわかるんですけど...。あの闇の槍とか剣とか、魔法ですよね? どんな魔法なんですか!?」
普通、人のスキルやステータスについて聞くのはマナー違反だけどな。まぁ俺はあまり隠すつもりもないし、教えてもいいか。
「撃つたびにステータスが上がる夢のような特別な固有魔法だよ。まぁデメリットっぽいのもあるけど」
そう。俺のステータスが上がらなかったのはこのスキルのデメリットだったと俺は思ってる。思えばレベル5を超えた後、ある程度はこのスキルが覚醒していたのかもしれない。スキルの欄がなしから該当なしになっていたしな。
「わぁ! そんなスキルが手にはいったんですね! 私はまだレベル4だから、スキルを持ってなくて...」
そうだったのかレベル4で武器持ちゴブリンを倒すってすごいな。
「武器はなにを使うんだ?」
「え? 素手ですよ?」
あらやだパワー系お嬢様。
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そうこうしてるうちに美佳も家の車が来て、探索者協会札幌支部まで送っていただいた。今は札幌支部の中に来ている。二人で受付まで行って受付嬢さんに事情を話す。ちなみに受付嬢さんのネームプレートには樫本と書いてあった。
「少々お待ちくださいね...。支部長にこの件について伝えてまいります」
そういって裏の方に消えて行った。今は完全に待ち時間である。
「やっぱり結構大事になりそうだな」
「そうですね...。軽い事情聴取くらいはありそうです」
仕方ないな。あわや一人が犠牲になるかもしれなかった事件だからな。ましてや今後犠牲者が増える危険もある。それは詳しい事情関連が必要だろうよ。
「そういえば、ホブゴブリンの話は自分でできるか?無理そうだったら俺が話すけど」
「いえ、トラウマにはなりましたけど、助けていただきましたし。自分で話せますよ」
「そうか、じゃあ頼んだよ」
その後適当な雑談をして過ごしていると15分くらいで樫本さんが戻ってきた。
「お二人とも奥へ来ていただくことはできますか?支部長が話を聞きたいそうです」
まぁそりゃそうだよな。待たされてたし。
了承の意を伝えると、支部長室へ通された。中には大きな事務机が置いてあり、そこには50ちょいくらいのイケおじが座っていた。中年太りしてないし、なんだかかっこいいな。
「ようこそ、まぁ座って」
支部長っぽい人がそういうと、一緒に中に入ってきていた樫本さんが壁に立てかけてあったパイプ椅子を出してくれた。美佳と俺は椅子に腰をかける。
「私は探索者協会札幌支部の支部長、七司 健介。今日は遅いのに時間をもらってすまないね」
声もかっこいいし所作もかっこいいな。こんな風に年を取りたいものだ。
「いえいえ、こちらこそ支部長の貴重なお時間をいただいて申し訳ない限りです」
俺はこういう場は少し苦手だから、先ほどの話合いの間に、基本は美佳がしゃべると決めていた。
「早速本題に入ってもいいかな?」
「はい、問題ないですよ」
いかがでしたでしょうか。
少しでも、面白いなと思っていただくことができましたらこれからも私の作品を読んでいただけるとありがたいです。




